芥川賞のすべて・のようなもの
第156回
  • =受賞者=
  • 山下澄人
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Last Update[H29]2017/2/15

山下澄人
Yamashita Sumito
生没年月日【注】 昭和41年/1966年1月25日~
受賞年齢 50歳11ヵ月
経歴 兵庫県生まれ。神戸市立神戸商業高等学校卒。平成8年/1996年より劇団FICTIONを主宰。
受賞歴・候補歴
  • |候補| 第147回芥川賞(平成24年/2012年上期)「ギッちょん」
  • 第34回野間文芸新人賞(平成24年/2012年)『緑のさる』
  • |候補| 第149回芥川賞(平成25年/2013年上期)「砂漠ダンス」
  • |候補| 第150回芥川賞(平成25年/2013年下期)「コルバトントリ」
  • |候補| 第29回三島由紀夫賞(平成27年/2015年度)『鳥の会議』
  • 第156回芥川賞(平成28年/2016年下期)「しんせかい」
備考
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芥川賞 第147回候補  一覧へ
「ギッちょん」(『文學界』平成24年/2012年6月号)
媒体・作品情報
誌名 「文學界」
巻号 第66巻 第6号  別表記6月号
印刷/発行年月日 発行 平成24年/2012年6月1日
発行者等 編集人 田中光子 発行人 村上和宏 印刷人 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社 DTP制作 株式会社ローヤル企画
発行所 株式会社文藝春秋(東京都)
総ページ数 360 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
27字
×24行
×2段
本文ページ 176~209
(計34頁)
測定枚数 105
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書誌
>>平成25年/2013年3月・文藝春秋刊『ギッちょん』所収
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候補者 山下澄人 男46歳
選考委員 評価 行数 評言
高樹のぶ子
女66歳
9 「時間をシャッフルして6歳から62歳までを行き来する形式で書かれているが、人の記憶はそもそもシャッフルされた状態で収納されているのだから、その混沌からいかに記述を引き出すかの方法にこそ、芸と技とテーマ性が宿るのでは無いか。」
堀江敏幸
男48歳
17 「流れと無関係なひとことふたことから滲み出る、遠くに見える大切な人を指で隠すような独特のさみしさの方に私は惹かれた。」「年齢にほぼ対応している章割りの数字がなければ、捻れは深いところまで、正しく届いたかもしれない。」
小川洋子
女50歳
46 「最も興味深く読んだ。」「母が死んだ時、“わたし”は病院の廊下にある計器の目盛を眺める。次の段落で彼は、目盛を確認する夜警の仕事に就いている。この静かな飛躍に、作品の魅力が凝縮されている気がする。」「“わたし”はまるで言葉を持たない動物のように振る舞う。彼の姿は饒舌な人間よりずっと深く胸に突き刺さってくる。」
奥泉光
男56歳
25 「候補作で一番推したいと考えた」「小説ならではの自由な時間処理を前提に、語る「わたし」と語られる「わたし」が分裂し、複層化していくメタフィクションで、明瞭な方法意識がスリリングなテクストを生み出している。だが、一点において、自分はこの作品を推しきれなかった。というのは、小説中で中心的な役割を果たす「ギッちょん」なる人物の造形に、身体的な欠損を導入している点である。」
川上弘美
女54歳
20 「遠くから海を眺めていて、いつの間にか一日がたっていた。そのあいだ、いったい自分は何を見ていたのか。波が寄せる。波がくだける。波がまた寄せる。それだけのことなのに、ずっと見入ってしまった。そういう小説でした。」「ずいぶん惹かれましたが、カシワダが男だと知った断章の表題が「36.07.36」だったのは、なぜなのでしょう。もっとたくさんの時間が出てきたのに。」
山田詠美
女53歳
16 「時間軸をいじくり過ぎて、私には、主人公が変な人に見える。もしかしたら、病気かも解んないから病院行った方が良いよ、と勧めたくなるくらい。これほど、凝った構成にするのなら、そんなふうに感じさせないくらいに用意周到でなければ。」
島田雅彦
男51歳
26 「時間の処理に独特の冴えを見せる。」「山下は、シャッフルしたい欲望と整理したい欲望のせめぎ合いを、各チャプターの冒頭にその出来事があった時点の年齢の数字を示してみせることで乗り切ったようである。」
宮本輝
男65歳
24 「(引用者注:「ひっ」「河童日誌」と共に)みな達者な文章力を持っている。(引用者中略)だが、今回の候補作は、小説を創りだすためにむりやり寄せ集めたエピソードと一風変わった登場人物たちを動かして、小説のようなものをでっちあげてしまっている。それは、いわば劇画やコミックを文章化したにすぎないのだ。」
村上龍
男60歳
0  
選評出典:『文藝春秋』平成24年/2012年9月号
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芥川賞 第149回候補  一覧へ

さばく
砂漠ダンス」(『文藝』平成25年/2013年夏季号[5月])
媒体・作品情報
誌名 「文藝」  別表記表紙 「bungei」併記
巻号 第52巻 第2号  別表記夏/summer
印刷/発行年月日 発行 平成25年/2013年5月1日
発行者等 編集人 高木れい子 発行人 小野寺優 印刷人 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社(東京都)
発行所 株式会社河出書房新社(東京都)
総ページ数 343 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
28字
×24行
×2段
本文ページ 156~185
(計30頁)
測定枚数 96
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書誌
>>平成25年/2013年8月・河出書房新社刊『砂漠ダンス』所収
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候補者 山下澄人 男47歳
選考委員 評価 行数 評言
小川洋子
女51歳
10 「山下澄人さんは意図的に“わたし”の人間性を描こうとはしていない。」「人間を描くのが小説だ、などという前提に、山下さんは独自のやり方で歯向かっている。その方向は評価されるべきだと思う。」
島田雅彦
男52歳
18 「自己と他者、夢と現実のあいだを彷徨う「わたし」の変容を描いた作品」「確かに小説家は複数のキャラクターに段落ごとに憑依しているのだから、多重人格は大歓迎だけれども、そんな「わたし」の向かう先に何が見えたのかはあきらかにはされていない。この手法はもちろん「あり」だけれども、まだ自我が崩壊した先まで見通せていない。」
堀江敏幸
男49歳
18 「人の心を素通りしていく冷えた言葉が思いがけないところでなにかとぶつかって小さな火を熾す、以前の作にあった奇跡は起きない。起きて欲しいわけではないけれど、その兆しがあるかないかでダンスの質は変わると思う。」
高樹のぶ子
女67歳
0  
宮本輝
男66歳
8 「現実と非現実の境界を行き来する手法だが、その手を使って何を描きたかったのか、私には深読みしてもわからなかった。シュールであればるほど主題は明晰でなければならないと思う。」
川上弘美
女55歳
12 「方法と、描かれる光景と、作者のこめたいもの。それらがすべて有機的にからみあった時、短篇は輝きをはなつのだと思います。この小説の方法は、ほんとうに面白い。ただ、光景とこめたいものが、方法にささえてもらいすぎなのではないか。」
山田詠美
女54歳
10 「万華鏡に〈わたし〉というひと粒を落とし込んで、ぐるぐる回しながら覗き込んだような奇妙な魅力があると感じた。でも、残念なことに、〈わたし〉以外のエピソードの欠片に魅力がないから、いくら回してみても、おもしろい絵が見られない。」
村上龍
男61歳
0  
奥泉光
男57歳
24 「方法への意識の高さには前の候補作同様大いに注目し、強く推す声があれば、と思ったけれど、残念ながらそうはならなかった。何かが足りない、としたら、その何かとは何か。それはエンターテイメント性であるかもしれないし、あるいは「実験的」な方法の背後にじわり浮かび上がるリアルなものの手触りかもしれない。」
選評出典:『文藝春秋』平成25年/2013年9月号
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芥川賞 第150回候補  一覧へ
「コルバトントリ」(『文學界』平成25年/2013年10月号)
媒体・作品情報
誌名 「文學界」
巻号 第67巻 第10号  別表記10月号
印刷/発行年月日 発行 平成25年/2013年10月1日
発行者等 編集人 田中光子 発行人 吉安 章 印刷人 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社 DTP制作 株式会社ローヤル企画
発行所 株式会社文藝春秋(東京都)
総ページ数 360 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
27字
×25行
×2段
本文ページ 156~191
(計36頁)
測定枚数 115
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書誌
>>平成26年/2014年2月・文藝春秋刊『コルバトントリ』
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候補者 山下澄人 男47歳
選考委員 評価 行数 評言
村上龍
男61歳
0  
川上弘美
女55歳
22 「視点や時制があちらこちらに飛びつつ世界全体を俯瞰する、という表現方法をこの作者はいつも使っています。今回も、「またかー」と、内心でぶうぶう言いながら(だって、ちょっとこの文体に飽きてきましたし)読んでいたのですが、後半になってから、ぶうぶうはすっかり引っこみました。そうか、作者は、これが書きたかったんだ! と、はっきりわかったような気がしたからです。」「わたしにとって、次点の作品でした。」
小川洋子
女51歳
38 「(引用者注:「さようなら、オレンジ」と共に)推した。」「本来記憶は混乱しているものであり、小説は時間の流れから人を解放するものではあるが、“ぼく”の描く無邪気なほどに自在な軌跡は、山下さんにしか表現できない模様を浮かび上がらせている。何を言われようと、山下さんが目指す方向へ、果ての果てまで突き進んで行ってほしい。」
宮本輝
男66歳
11 「時系列を入れ替えて、何がどうなっているのかわからなくさせる手法が、作者の意図的な企みなのか、自然発生的なものなのか区別がつかない。誤魔化されたという印象をぬぐうことができなかった。」
堀江敏幸
男50歳
31 「「ぼく」の周囲では時間軸がゆらぎ、人物関係が不分明になる。」「登場人物はみなどこか遠い山の麓の、国王などいない小さな村の住人のようだ。しかも全体に漂う寂しさや悲しさと、王の不在は無関係である。そこがいい。」
高樹のぶ子
女67歳
0  
山田詠美
女54歳
16 「チャーミングな言葉の行きかう黄泉の国の物語として、私は読んだ。〈月の番をしているおじいさん〉を始めとしたいじらしい人々がいっぱいで胸に残る。」「(引用者注:「穴」の世界と)ネガとポジのようにも感じられ、両方に心惹かれて、どちらにも丸を付けた。」
奥泉光
男57歳
17 「(引用者注:「穴」と共に)推してもよいと考えて自分は選考会に臨んだ。」「山下氏特有の時空や人称に意図的な混乱を呼び込む手法は今回、この手法でなければ浮かび上がらぬ世界の感触を生み出すことに成功していると自分は感じた。」「これは方法に徹底する作者の勝利といってよいだろう。」
島田雅彦
男52歳
23 「山下澄人の文章は粗削りで、稚拙なのだが、それゆえに感情に直接突き刺さってくるところが魅力だ。」「登場人物たちが妙にリアルで、ああこれは山下版の『雪国』なのだなと思って、読むと、腑に落ちる。しかし、それは深読みというもので、読者がよほど解釈を補ってやらないと、今朝見た夢と同様、午後には記憶から消えてしまうのである。」
選評出典:『文藝春秋』平成26年/2014年3月号
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芥川賞 第156受賞  一覧へ
「しんせかい」(『新潮』平成28年/2016年7月号)
媒体・作品情報
誌名 「新潮」  別表記表紙 「The Shincho Monthly」「今年112年目の文芸誌」併記
巻号 第113巻 第7号  別表記7月号/1338号
印刷/発行年月日 発行 平成28年/2016年7月7日 発売 平成28年/2016年6月7日
発行者等 編集兼発行者 矢野 優 印刷者 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社(東京都)
発行所 株式会社新潮社(東京都)
総ページ数 372 表記上の枚数 表紙・背・目次 160枚 基本の文字組
(1ページ当り)
27字
×25行
×2段
本文ページ 7~58
(計52頁)
測定枚数 167
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書誌
>>平成28年/2016年10月・新潮社刊『しんせかい』所収
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候補者 山下澄人 男50歳
選考委員 評価 行数 評言
吉田修一
男48歳
40 「たいていの十九歳は、自分がいる場所を生ぬるく感じている。(引用者中略)おそらく今作の主人公もまた、この生ぬるさが厭で、例えば「俺は誰かに胸ぐらを掴まれたいんだ」くらいの気持ちになって【谷】へ向かったのだと思う。ただ、やはりそこにも胸ぐらを掴んでくれるような人はいない。しかし、それが現実であり、人生であると気づく十九歳。この空振り感。そしてこの空振り感と出会えたことが、その後の人生をどれほど豊かにしたかに気づく五十歳。この三十年余りの距離こそが、本作を一流の青春小説に成らしめている。」
小川洋子
女54歳
27 「(引用者注:「ビニール傘」と共に)作家の本能に逆らうようにして書かれた、ユニークな作品だった。」「山下さんは主人公の心を一切描こうとしない。」「ここに文学があるはずだ、と皆が信じている場所を、山下さんは素通りする。言葉にできないものを言葉にする、などという幻想から遠く離れた地点に立っている。そこから見える世界を描けるのは、山下さん一人である。」
村上龍
男64歳
59 「10名に増えた選考委員の、ギリギリ過半数を得て、受賞が決まった。(引用者中略)わたしの記憶と印象では、熱烈な支持も、強烈な拒否もなく、芥川賞を受賞した。」「『しんせかい』には、強烈な要素が何もない。そして、わたしは、「それが現代という時代だ」と納得することはできない。葛藤や苦悩や絶望、それにはかない希望は、複雑に絡みあった現実の背後に、また最深部に、まだ潜んでいると考える。」「つまらない、わたしは『しんせかい』を読んで、そう思った。他の表現は思いつかない。「良い」でも「悪い」でもなく、「つまらない」それだけだった。」
高樹のぶ子
女70歳
14 「モデルとなった塾や脚本家の先行イメージを外すと、青春小説としては物足りないし薄味。難解だったこれまでの候補作にも頭を抱えたが、このあっさり感にも困った。青春小説とは、何かが内的に起きるものではないのか。」
奥泉光
男60歳
16 「若かりしあの時間を、「出来事」との距離を細心に計算しながら描いた作品で、そこに魅力はあり、さりげない叙述の流れのなかで、切実なものの感触を伝えることに成功している。けれども(引用者中略)作者の自意識の影ごときものがときおりちらつくのが邪魔になる感はあって、しかし受賞作とすることには賛成した。」
山田詠美
女57歳
12 「シンプル イズ ベスト。その美点を充分に生かしていて、だからこそ、ここぞというところで文章が光耀く。〈それでもこの星はものすごい速度で太陽のまわりを回っていたから、熱と光の最も届かぬ位置から抜け出して、春が来た〉……ただの文字の羅列が作者の采配次第で新品に生まれ変わる見本。お見事。」
宮本輝
男69歳
18 「主人公である十九歳の寡黙な青年は、寡黙なのではなく語彙を持っていないだけであり、それはじつは作者その人の語彙不足なのではないかという懸念を払うことができなかった。」「実際に存在した北海道の演劇塾での一年間には、もっとどろどろした人間の葛藤があったはずだが、作者はそれを避けてしまっている。その点も大きな不満だった。」
堀江敏幸
男53歳
23 「最小限の糸で自分の過去を縫う。それが山下澄人さんの「しんせかい」である。」「使っているうちに濁ってくる感情を縫う糸が、ところどころで切れている。にもかかわらず、読後、一瞬の間を置いてこちらの心がざわつきはじめる。「しんせかい」は、読者の胸にある。そこに惹かれた。」
島田雅彦
男55歳
11 「山下清の日記に通じるペーソスもあり、また人間関係の悩みも機微も排除した結果、立ち上がってくる無意味さに味があるものの、なぜこれが受賞作になるのかよくわからなかった。」
川上弘美
女58歳
30 「今回の選考の場で、わたしは(引用者中略)「なんだかいいんですが、うまく説明できないんです」と、そのままのまぬけな言葉で推し、(引用者中略)」「平凡で覚えにくい名字のひとたちが十人以上でてくるのですが、そのひとたちを、ちゃんと区別できた、というあたりに、この小説の秘密があるのかもしれないと、今はにらんでいるのですが、どうでしょうか。言葉につまりながら、「しんせかい」を、いちばんに推しました。」
選評出典:『文藝春秋』平成29年/2017年3月号
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