芥川賞のすべて・のようなもの
第149回
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平成25年/2013年上半期
(平成25年/2013年7月17日決定発表/『文藝春秋』平成25年/2013年9月号選評掲載)
選考委員  小川洋子
女51歳
島田雅彦
男52歳
堀江敏幸
男49歳
高樹のぶ子
女67歳
宮本輝
男66歳
川上弘美
女55歳
山田詠美
女54歳
村上龍
男61歳
奥泉光
男57歳
選評総行数  88 115 103 81 94 88 91 79 153
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
藤野可織 「爪と目」
109
女33歳
37 20 31 8 26 19 10 15 22
いとうせいこう 「想像ラジオ」
260
男52歳
6 48 21 67 16 29 28 59 73
戌井昭人 「すっぽん心中」
65
男41歳
8 10 16 0 9 16 17 6 17
鶴川健吉 「すなまわり」
95
男31歳
42 19 17 6 12 18 26 0 17
山下澄人 「砂漠ダンス」
96
男47歳
10 18 18 0 8 12 10 0 24
                 
年齢/枚数の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『文藝春秋』平成25年/2013年9月号
1行当たりの文字数:13字


選考委員
小川洋子女51歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
二作を推す 総行数88 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
藤野可織
女33歳
37 「(引用者注:「すなまわり」と共に)推した。」「『爪と目』が恐ろしいのは、三歳の女の子が“あなた”について語っているという錯覚を、読み手に植えつける点である。しかも語り口が、報告書のように無表情なのだ。弱者であるはずの“わたし”は、少しずつ“あなた”を上回る不気味さで彼女を支配しはじめる。二人がラスト、“あとはだいたい、おなじ”の一行で一つに重なり合う瞬間、瑣末な日常に走る亀裂に触れたような、快感を覚えた。」
いとうせいこう
男52歳
6 「死者の声はあくまでも無音だ。無音を言葉に変換するのではなく、無音のままに言葉で描くのが小説ではないだろうか。『想像ラジオ』を読んでそんなことを考えた。」
戌井昭人
男41歳
8 「すっぽんを殺す場面は秀逸だった。モモに隠された黒々としたエネルギーが一気に噴出している。しかしモモの存在感に比べ、田野の魅力が希薄だった。情けない田野の姿をもっと読みたかった。」
鶴川健吉
男31歳
42 「(引用者注:「爪と目」と共に)推した。」「『すなまわり』の主人公は、挫折も成長も拒否する。傷ついた自分を哀れんだり、希望を見出そうとしてもがいたり、理不尽な他者を攻撃したりしない。自分の居場所をただありのままに描写するだけだ。にもかかわらず、彼の抱える空虚さがひっそりと浮かび上がって見えてくる。」
山下澄人
男47歳
10 「山下澄人さんは意図的に“わたし”の人間性を描こうとはしていない。」「人間を描くのが小説だ、などという前提に、山下さんは独自のやり方で歯向かっている。その方向は評価されるべきだと思う。」
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他の選考委員
島田雅彦
堀江敏幸
高樹のぶ子
宮本輝
川上弘美
山田詠美
村上龍
奥泉光
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選考委員
島田雅彦男52歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
忘却との戦い 総行数115 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
藤野可織
女33歳
20 「成功例の少ない二人称小説としては、例外的にうまくいっている。」「語り手は成長するにつれ、愛人との関係を書き換えてゆく。ストーカーのように相手をじっと見つめるその目は、彼女のことを理解し、彼女に似てくる自分にも向けられている。これは父の愛人を介して描いた自画像でもあったのだ。これは文句なく、藤野可織の最高傑作である。」
いとうせいこう
男52歳
48 「じっくり読めば読むほどに、この作品は微笑を誘う小ネタ満載で、実にサービス精神の行き届いたエンターティメントに仕上がっていることがわかる。」「だが、逆にこのウエルメードぶりにあざとさを感じてしまうのも事実で、たとえていえば、司会があまりに芸達者なので、ゆっくり死を思うことができない葬儀に列席しているような感覚である。」
戌井昭人
男41歳
10 「個人的にはこの手の現代落語風のやさぐれ徘徊記は大好きで、戌井氏は確固たる芸風を確立している。しかし、以前の候補作「ひっ」や「ぴんぞろ」の方がはるかに作品完成度は高かった。」
鶴川健吉
男31歳
19 「笑える青春小説だった。」「ただのニートの日常を描いても、凡百だが、行司の世界でそれをやると、読める作品になる。しかし、毎回、小説のために職業を変え、経験を積んでいたら、二年に一本しか書けない計算になり、かなり非効率だが、次はどんな新機軸で攻めてくるか、楽しみではある。」
山下澄人
男47歳
18 「自己と他者、夢と現実のあいだを彷徨う「わたし」の変容を描いた作品」「確かに小説家は複数のキャラクターに段落ごとに憑依しているのだから、多重人格は大歓迎だけれども、そんな「わたし」の向かう先に何が見えたのかはあきらかにはされていない。この手法はもちろん「あり」だけれども、まだ自我が崩壊した先まで見通せていない。」
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他の選考委員
小川洋子
堀江敏幸
高樹のぶ子
宮本輝
川上弘美
山田詠美
村上龍
奥泉光
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選考委員
堀江敏幸男49歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
砂が舞う 総行数103 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
藤野可織
女33歳
31 「「わたし」は「あなた」との、書かれていない「その後」の対話を通じて知らない時間を生き直し、「あなた」の半生を描くと同時に自伝をも書いているのだ。視力の弱い「あなた」の目に異物を装着する結末に吹く風は、繊細な手法とは裏腹な「平明さ」で、過去と未来を同一線上に繋いでくれる。」「「わたし」と「あなた」のあいだにある聞こえていない声の帯域に、読者としての私は深く入り込んでいた。」
いとうせいこう
男52歳
21 「高度な語りの技術と構成力は出色である。」「死者の声を聞こうと言いながら反対の声も入れておく誠実さ。この誠実さが周到さと読み違えられる危険も覚悟のうえで、作者はこの小説を書いた。だからこそ、次にやってくる想像上のDJが沈黙でしか表現できない人だったらどうなるのか、と余計なことも考えさせられた。」
戌井昭人
男41歳
16 「《心中》とは、天然のスッポンを捕まえに行った奇妙な男女の《心中(ルビ:しんちゅう)》と、甲羅を砕かれて無駄死にしたその個体をあらわすのに過不足ない言葉だが、スッポンは養殖のほうが、やわらかくて美味らしい。ここに書かれているのは、養殖のふりをした天然である。」
鶴川健吉
男31歳
17 「主人公は相撲の行司。二つのマッスの動き全体をとらえつつ、足下から決して目を離さない特異な立ち位置と的確な描写に惹きつけられた。」「細部を見逃さないこの眼差しが直径十五尺の円の外でも徹底されていたら、言葉は職種の特権から逃れてより自由な旋風を起こし、砂風呂の砂さえ巻きあげて行っただろう。」
山下澄人
男47歳
18 「人の心を素通りしていく冷えた言葉が思いがけないところでなにかとぶつかって小さな火を熾す、以前の作にあった奇跡は起きない。起きて欲しいわけではないけれど、その兆しがあるかないかでダンスの質は変わると思う。」
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他の選考委員
小川洋子
島田雅彦
高樹のぶ子
宮本輝
川上弘美
山田詠美
村上龍
奥泉光
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選考委員
高樹のぶ子女67歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
蛮勇には蛮勇を 総行数81 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
藤野可織
女33歳
8 「まず私は女性の内向きでネガティブな攻撃性が苦手である。冒頭の一文からつまずき、文学的評価は他の委員に譲るしかなかった。」
いとうせいこう
男52歳
67 「小説を書く目的として最も相応しくないのがヒューマニズムだということも、作者は知っている。この作品をヒューマニズムの枠組で読まれることなど望まず、作者としては樹上の死者のDJを愉しんで貰いたかったのではないか。」「小説に出来ることはその程度だ。その程度しか出来ないという哀しみから、書く蛮勇はうまれる。」「今回の候補作中、もっとも大きな小説だったと、選考委員として私も、蛮勇をふるって言いたい。」
戌井昭人
男41歳
0  
鶴川健吉
男31歳
6 「行司という特殊な職業を黙々と生きる姿が、確かな文章で書かれてあり好感を持てたものの、その先にある伝えたいものが見えて来なかった。」
山下澄人
男47歳
0  
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他の選考委員
小川洋子
島田雅彦
堀江敏幸
宮本輝
川上弘美
山田詠美
村上龍
奥泉光
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選考委員
宮本輝男66歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
深読みの功罪 総行数94 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
藤野可織
女33歳
26 「幼い女の子の「わたし」が、じつはおとなになってからの「わたし」の視点によることも深読みしなくてもわかる。」「だが、私は題にもなっている「爪と目」を使っての最後の場面が、単なるホラー趣味以外の何物でもない気がして首をかしげざるを得なかった。爪と目が、この小説の奥に置こうとしたものの暗喩になりきっていなくて、強くは推せなかった。」
いとうせいこう
男52歳
16 「もっと論議の対象になると思っていたが、案外に票を集めなかった。」「生死という難題を小手先ですり抜けるわけにはいくまい。おちゃらけでは済まない重いテーマを、いとうさんの得手の手口だけで小説にするのは無理だったと思う。」
戌井昭人
男41歳
9 「読みやすくてわかりやすい小品で、うまい書き手だ。だがなぜ「心中」なのかが解せない。街で知り合った男と女の、つかのまの道行きから生まれてくる世界をもっと見せてもらいたかったというのが私の感想である。」
鶴川健吉
男31歳
12 「珍しい素材であり、ほとんど説明を排して、描写だけで押し通したことには膂力を感じる。だが「すなまわり」の目に見える表面しか描けていない。水が湧くほど深くとは言わないが、せめて五十センチ下くらいは見せてほしい。」
山下澄人
男47歳
8 「現実と非現実の境界を行き来する手法だが、その手を使って何を描きたかったのか、私には深読みしてもわからなかった。シュールであればるほど主題は明晰でなければならないと思う。」
  「過度な深読みなしではただの文章の垂れ流しでしかないという作品が芥川賞の候補作となるようになって久しい。新しい書き手のなかには、読み手に深読みを強要させる小説にこそ文学性の濃さがあると錯覚している人が、ひとむかし前よりも増えてきたと思う。今回もそのての小説が多かった。」
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他の選考委員
小川洋子
島田雅彦
堀江敏幸
高樹のぶ子
川上弘美
山田詠美
村上龍
奥泉光
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選考委員
川上弘美女55歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
越えてゆく 総行数88 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
藤野可織
女33歳
19 「ていねい、という言葉を、この小説を読んでいるあいだじゅう、思っていました。周到、ではなく、ていねい、です。そのていねいさは、小説というものに対する情愛からくるのだと思います。」「(引用者注:「想像ラジオ」とともに)少しずつ推しました。二作とも、足りないものがある。けれど足りないものを越えるものを、ちゃんとふくんでいる。そう思ったのです。」
いとうせいこう
男52歳
29 「このテーマを描こうとしたいとうさんを、わたしは尊敬します。トライしないで平穏でいるよりも、トライして突き当たる、それが小説家の心意気だと思うので。」「(引用者注:「爪と目」とともに)少しずつ推しました。二作とも、足りないものがある。けれど足りないものを越えるものを、ちゃんとふくんでいる。そう思ったのです。」
戌井昭人
男41歳
16 「濃密にも描くことのできる材料を、淡く描きつつ、それでいて奥底にうごめく不穏なものも表現されていて、わたしはこの作品に好意をいだきました。」「「短くて面白い話」に終わってしまっている、という意見もありましたが、短篇は短くていいと思うのです。」「ただし、短いからという油断が作者にあると、それはやはり「短くて面白い話」に終わってしまう。難しいです。」
鶴川健吉
男31歳
18 「感傷を排した文章のつくりが、よかった。」「ただ、もてあますほどの相撲好きだった「自分」と、現在の「自分」が、どうつながっているのか。そのことが、もう少しだけでもかぎとれれば、この小説世界の中に、もっと深く入りこめたのではないかと、惜しむのです。」
山下澄人
男47歳
12 「方法と、描かれる光景と、作者のこめたいもの。それらがすべて有機的にからみあった時、短篇は輝きをはなつのだと思います。この小説の方法は、ほんとうに面白い。ただ、光景とこめたいものが、方法にささえてもらいすぎなのではないか。」
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他の選考委員
小川洋子
島田雅彦
堀江敏幸
高樹のぶ子
宮本輝
山田詠美
村上龍
奥泉光
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選考委員
山田詠美女54歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
選評 総行数91 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
藤野可織
女33歳
10 「どうせなら、もっとサイコホラー寄りに徹して、小説にしか出来ない技を駆使して展開させていたら、映画を連想させることなどない、言葉による、そこはかとない恐怖に覆われた魅力が出たと思う。」
いとうせいこう
男52歳
28 「この軽くも感じられるスタイルを取ったのは、死者を悼む人間の知恵だなあ、と感心した。しかしながら、やり過ぎの感もあり、死者のための鎮魂歌が鎮魂歌のための死者方向に重心を傾けたようで気になった。」
戌井昭人
男41歳
17 「〈物凄くスタイルが良くて、年齢は三〇歳くらいだろうか、若くして金を持っているマダム風だった〉……(引用者中略)せっかく自分だけの小説世界を作って行く冒頭で、いったい何故に、こんなにも怠惰なやり方で女を描写するのか。私には、まったく理解出来ない。ここには、そうした手抜きの文章がいくつもあって呆気に取られる。」
鶴川健吉
男31歳
26 「新人の才能のひとつに、まだ誰もが手を付けていない世界を描くこと、というのがある。もちろん、そこに、文章力を始めとしたさまざまなものが付いて来なければお話にならないが、この作者は、私の考えるレベルをクリアしている。見たものを見たように、感じたことを感じただけ過不足なく書けるのは、りっぱ。」「受賞作に推した。」
山下澄人
男47歳
10 「万華鏡に〈わたし〉というひと粒を落とし込んで、ぐるぐる回しながら覗き込んだような奇妙な魅力があると感じた。でも、残念なことに、〈わたし〉以外のエピソードの欠片に魅力がないから、いくら回してみても、おもしろい絵が見られない。」
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他の選考委員
小川洋子
島田雅彦
堀江敏幸
高樹のぶ子
宮本輝
川上弘美
村上龍
奥泉光
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選考委員
村上龍男61歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
選評 総行数79 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
藤野可織
女33歳
15 「(引用者注:「想像ラジオ」「砂漠ダンス」と共に)表現方法にそれぞれ意匠を凝らした作品」「意匠を凝らすというのは、リアリズムからの意図的な逸脱ということだ。(引用者中略)程度の差はあるが、読む側は戸惑いと負荷を覚える。」
いとうせいこう
男52歳
59 「わたしたちは3・11という三つの数字を見ただけで、そのあとに見た膨大な量の映像を自動的に想起する。」「『想像ラジオ』の著者は、安易なヒューマニズムに陥らないために、いろいろな意匠を凝らしたのだと思う。だが、既出の映像が膨大かつ強烈で、文学としてそれらに「立ち向かう」ことがあまりに困難だったために、結果的に、また極めて残念なことに、作品からはヒューマニズムだけが抽出されることになった。」
戌井昭人
男41歳
6 「(引用者注:候補作のなかで)わたしが、興味を持って読めたのは『すっぽん心中』だけだったが、作品の質と完成度は低く、積極的に推すには至らなかった。」
鶴川健吉
男31歳
0  
山下澄人
男47歳
0  
  「今回は、低調だった。」
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他の選考委員
小川洋子
島田雅彦
堀江敏幸
高樹のぶ子
宮本輝
川上弘美
山田詠美
奥泉光
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選考委員
奥泉光男57歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
やや困惑 総行数153 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
藤野可織
女33歳
22 「主人公を「あなた」の二人称に設定することで、その後の母娘の長い時間にわたる関係の濃密さを予感させ、小説世界に奥行きを与えることに成功している。筋だてにやや分かりにくい部分があり、ことにラストのイメージが不鮮明であるなどの疵はあるとは思ったけれど、方法の貫徹ぶりを評価し、受賞に推す声に賛成した。」
いとうせいこう
男52歳
73 「この十六年間、いとう氏とともに「文芸漫談」なるトークイベントを定期的に行い、小説をめぐるあれこれを観客の前で語ってきた私は、いとう氏の小説への考え方や思いにつき知るところが少なくなく、(引用者中略)この作品が最終候補作として送られてきたときにはやや戸惑った。」「結果、本作の選考については他の委員に委ねる感じになってしまったが、選考会で出た意見には、肯定的なものにも批判的なものにも、それぞれ頷かされた。」
戌井昭人
男41歳
17 「楽しく読めたが、やや重量感を欠く印象があった。これは長さの問題ではない。」「たとえば「どこが、とはいえないけれど、なんだかイイ感じがする」小説が目指されているのだとすれば、私自身がそういう小説の方法を持っていないので、もっとユーモアを、くらいのことしかとりあえずは云えない。」
鶴川健吉
男31歳
17 「相撲取りや行司仲間など、描けばよほど魅力的になりそうな人物をさらりとしか描かぬのは、作者の意図的な方法なのだろうが、何か物足りぬ印象が残るのは、方法の効果が発揮されきれぬままに終わっているからだろう。どういう方向であれ、さらなる徹底が必要かと感じた。」
山下澄人
男47歳
24 「方法への意識の高さには前の候補作同様大いに注目し、強く推す声があれば、と思ったけれど、残念ながらそうはならなかった。何かが足りない、としたら、その何かとは何か。それはエンターテイメント性であるかもしれないし、あるいは「実験的」な方法の背後にじわり浮かび上がるリアルなものの手触りかもしれない。」
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他の選考委員
小川洋子
島田雅彦
堀江敏幸
高樹のぶ子
宮本輝
川上弘美
山田詠美
村上龍
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受賞者・作品
藤野可織女33歳×各選考委員 
「爪と目」
短篇 109
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
小川洋子
女51歳
37 「(引用者注:「すなまわり」と共に)推した。」「『爪と目』が恐ろしいのは、三歳の女の子が“あなた”について語っているという錯覚を、読み手に植えつける点である。しかも語り口が、報告書のように無表情なのだ。弱者であるはずの“わたし”は、少しずつ“あなた”を上回る不気味さで彼女を支配しはじめる。二人がラスト、“あとはだいたい、おなじ”の一行で一つに重なり合う瞬間、瑣末な日常に走る亀裂に触れたような、快感を覚えた。」
島田雅彦
男52歳
20 「成功例の少ない二人称小説としては、例外的にうまくいっている。」「語り手は成長するにつれ、愛人との関係を書き換えてゆく。ストーカーのように相手をじっと見つめるその目は、彼女のことを理解し、彼女に似てくる自分にも向けられている。これは父の愛人を介して描いた自画像でもあったのだ。これは文句なく、藤野可織の最高傑作である。」
堀江敏幸
男49歳
31 「「わたし」は「あなた」との、書かれていない「その後」の対話を通じて知らない時間を生き直し、「あなた」の半生を描くと同時に自伝をも書いているのだ。視力の弱い「あなた」の目に異物を装着する結末に吹く風は、繊細な手法とは裏腹な「平明さ」で、過去と未来を同一線上に繋いでくれる。」「「わたし」と「あなた」のあいだにある聞こえていない声の帯域に、読者としての私は深く入り込んでいた。」
高樹のぶ子
女67歳
8 「まず私は女性の内向きでネガティブな攻撃性が苦手である。冒頭の一文からつまずき、文学的評価は他の委員に譲るしかなかった。」
宮本輝
男66歳
26 「幼い女の子の「わたし」が、じつはおとなになってからの「わたし」の視点によることも深読みしなくてもわかる。」「だが、私は題にもなっている「爪と目」を使っての最後の場面が、単なるホラー趣味以外の何物でもない気がして首をかしげざるを得なかった。爪と目が、この小説の奥に置こうとしたものの暗喩になりきっていなくて、強くは推せなかった。」
川上弘美
女55歳
19 「ていねい、という言葉を、この小説を読んでいるあいだじゅう、思っていました。周到、ではなく、ていねい、です。そのていねいさは、小説というものに対する情愛からくるのだと思います。」「(引用者注:「想像ラジオ」とともに)少しずつ推しました。二作とも、足りないものがある。けれど足りないものを越えるものを、ちゃんとふくんでいる。そう思ったのです。」
山田詠美
女54歳
10 「どうせなら、もっとサイコホラー寄りに徹して、小説にしか出来ない技を駆使して展開させていたら、映画を連想させることなどない、言葉による、そこはかとない恐怖に覆われた魅力が出たと思う。」
村上龍
男61歳
15 「(引用者注:「想像ラジオ」「砂漠ダンス」と共に)表現方法にそれぞれ意匠を凝らした作品」「意匠を凝らすというのは、リアリズムからの意図的な逸脱ということだ。(引用者中略)程度の差はあるが、読む側は戸惑いと負荷を覚える。」
奥泉光
男57歳
22 「主人公を「あなた」の二人称に設定することで、その後の母娘の長い時間にわたる関係の濃密さを予感させ、小説世界に奥行きを与えることに成功している。筋だてにやや分かりにくい部分があり、ことにラストのイメージが不鮮明であるなどの疵はあるとは思ったけれど、方法の貫徹ぶりを評価し、受賞に推す声に賛成した。」
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他の候補作
いとうせいこう
「想像ラジオ」
戌井昭人
「すっぽん心中」
鶴川健吉
「すなまわり」
山下澄人
「砂漠ダンス」
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候補者・作品
いとうせいこう男52歳×各選考委員 
「想像ラジオ」
中篇 260
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
小川洋子
女51歳
6 「死者の声はあくまでも無音だ。無音を言葉に変換するのではなく、無音のままに言葉で描くのが小説ではないだろうか。『想像ラジオ』を読んでそんなことを考えた。」
島田雅彦
男52歳
48 「じっくり読めば読むほどに、この作品は微笑を誘う小ネタ満載で、実にサービス精神の行き届いたエンターティメントに仕上がっていることがわかる。」「だが、逆にこのウエルメードぶりにあざとさを感じてしまうのも事実で、たとえていえば、司会があまりに芸達者なので、ゆっくり死を思うことができない葬儀に列席しているような感覚である。」
堀江敏幸
男49歳
21 「高度な語りの技術と構成力は出色である。」「死者の声を聞こうと言いながら反対の声も入れておく誠実さ。この誠実さが周到さと読み違えられる危険も覚悟のうえで、作者はこの小説を書いた。だからこそ、次にやってくる想像上のDJが沈黙でしか表現できない人だったらどうなるのか、と余計なことも考えさせられた。」
高樹のぶ子
女67歳
67 「小説を書く目的として最も相応しくないのがヒューマニズムだということも、作者は知っている。この作品をヒューマニズムの枠組で読まれることなど望まず、作者としては樹上の死者のDJを愉しんで貰いたかったのではないか。」「小説に出来ることはその程度だ。その程度しか出来ないという哀しみから、書く蛮勇はうまれる。」「今回の候補作中、もっとも大きな小説だったと、選考委員として私も、蛮勇をふるって言いたい。」
宮本輝
男66歳
16 「もっと論議の対象になると思っていたが、案外に票を集めなかった。」「生死という難題を小手先ですり抜けるわけにはいくまい。おちゃらけでは済まない重いテーマを、いとうさんの得手の手口だけで小説にするのは無理だったと思う。」
川上弘美
女55歳
29 「このテーマを描こうとしたいとうさんを、わたしは尊敬します。トライしないで平穏でいるよりも、トライして突き当たる、それが小説家の心意気だと思うので。」「(引用者注:「爪と目」とともに)少しずつ推しました。二作とも、足りないものがある。けれど足りないものを越えるものを、ちゃんとふくんでいる。そう思ったのです。」
山田詠美
女54歳
28 「この軽くも感じられるスタイルを取ったのは、死者を悼む人間の知恵だなあ、と感心した。しかしながら、やり過ぎの感もあり、死者のための鎮魂歌が鎮魂歌のための死者方向に重心を傾けたようで気になった。」
村上龍
男61歳
59 「わたしたちは3・11という三つの数字を見ただけで、そのあとに見た膨大な量の映像を自動的に想起する。」「『想像ラジオ』の著者は、安易なヒューマニズムに陥らないために、いろいろな意匠を凝らしたのだと思う。だが、既出の映像が膨大かつ強烈で、文学としてそれらに「立ち向かう」ことがあまりに困難だったために、結果的に、また極めて残念なことに、作品からはヒューマニズムだけが抽出されることになった。」
奥泉光
男57歳
73 「この十六年間、いとう氏とともに「文芸漫談」なるトークイベントを定期的に行い、小説をめぐるあれこれを観客の前で語ってきた私は、いとう氏の小説への考え方や思いにつき知るところが少なくなく、(引用者中略)この作品が最終候補作として送られてきたときにはやや戸惑った。」「結果、本作の選考については他の委員に委ねる感じになってしまったが、選考会で出た意見には、肯定的なものにも批判的なものにも、それぞれ頷かされた。」
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他の候補作
藤野可織
「爪と目」
戌井昭人
「すっぽん心中」
鶴川健吉
「すなまわり」
山下澄人
「砂漠ダンス」
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候補者・作品
戌井昭人男41歳×各選考委員 
「すっぽん心中」
短篇 65
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
小川洋子
女51歳
8 「すっぽんを殺す場面は秀逸だった。モモに隠された黒々としたエネルギーが一気に噴出している。しかしモモの存在感に比べ、田野の魅力が希薄だった。情けない田野の姿をもっと読みたかった。」
島田雅彦
男52歳
10 「個人的にはこの手の現代落語風のやさぐれ徘徊記は大好きで、戌井氏は確固たる芸風を確立している。しかし、以前の候補作「ひっ」や「ぴんぞろ」の方がはるかに作品完成度は高かった。」
堀江敏幸
男49歳
16 「《心中》とは、天然のスッポンを捕まえに行った奇妙な男女の《心中(ルビ:しんちゅう)》と、甲羅を砕かれて無駄死にしたその個体をあらわすのに過不足ない言葉だが、スッポンは養殖のほうが、やわらかくて美味らしい。ここに書かれているのは、養殖のふりをした天然である。」
高樹のぶ子
女67歳
0  
宮本輝
男66歳
9 「読みやすくてわかりやすい小品で、うまい書き手だ。だがなぜ「心中」なのかが解せない。街で知り合った男と女の、つかのまの道行きから生まれてくる世界をもっと見せてもらいたかったというのが私の感想である。」
川上弘美
女55歳
16 「濃密にも描くことのできる材料を、淡く描きつつ、それでいて奥底にうごめく不穏なものも表現されていて、わたしはこの作品に好意をいだきました。」「「短くて面白い話」に終わってしまっている、という意見もありましたが、短篇は短くていいと思うのです。」「ただし、短いからという油断が作者にあると、それはやはり「短くて面白い話」に終わってしまう。難しいです。」
山田詠美
女54歳
17 「〈物凄くスタイルが良くて、年齢は三〇歳くらいだろうか、若くして金を持っているマダム風だった〉……(引用者中略)せっかく自分だけの小説世界を作って行く冒頭で、いったい何故に、こんなにも怠惰なやり方で女を描写するのか。私には、まったく理解出来ない。ここには、そうした手抜きの文章がいくつもあって呆気に取られる。」
村上龍
男61歳
6 「(引用者注:候補作のなかで)わたしが、興味を持って読めたのは『すっぽん心中』だけだったが、作品の質と完成度は低く、積極的に推すには至らなかった。」
奥泉光
男57歳
17 「楽しく読めたが、やや重量感を欠く印象があった。これは長さの問題ではない。」「たとえば「どこが、とはいえないけれど、なんだかイイ感じがする」小説が目指されているのだとすれば、私自身がそういう小説の方法を持っていないので、もっとユーモアを、くらいのことしかとりあえずは云えない。」
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他の候補作
藤野可織
「爪と目」
いとうせいこう
「想像ラジオ」
鶴川健吉
「すなまわり」
山下澄人
「砂漠ダンス」
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候補者・作品
鶴川健吉男31歳×各選考委員 
「すなまわり」
短篇 95
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
小川洋子
女51歳
42 「(引用者注:「爪と目」と共に)推した。」「『すなまわり』の主人公は、挫折も成長も拒否する。傷ついた自分を哀れんだり、希望を見出そうとしてもがいたり、理不尽な他者を攻撃したりしない。自分の居場所をただありのままに描写するだけだ。にもかかわらず、彼の抱える空虚さがひっそりと浮かび上がって見えてくる。」
島田雅彦
男52歳
19 「笑える青春小説だった。」「ただのニートの日常を描いても、凡百だが、行司の世界でそれをやると、読める作品になる。しかし、毎回、小説のために職業を変え、経験を積んでいたら、二年に一本しか書けない計算になり、かなり非効率だが、次はどんな新機軸で攻めてくるか、楽しみではある。」
堀江敏幸
男49歳
17 「主人公は相撲の行司。二つのマッスの動き全体をとらえつつ、足下から決して目を離さない特異な立ち位置と的確な描写に惹きつけられた。」「細部を見逃さないこの眼差しが直径十五尺の円の外でも徹底されていたら、言葉は職種の特権から逃れてより自由な旋風を起こし、砂風呂の砂さえ巻きあげて行っただろう。」
高樹のぶ子
女67歳
6 「行司という特殊な職業を黙々と生きる姿が、確かな文章で書かれてあり好感を持てたものの、その先にある伝えたいものが見えて来なかった。」
宮本輝
男66歳
12 「珍しい素材であり、ほとんど説明を排して、描写だけで押し通したことには膂力を感じる。だが「すなまわり」の目に見える表面しか描けていない。水が湧くほど深くとは言わないが、せめて五十センチ下くらいは見せてほしい。」
川上弘美
女55歳
18 「感傷を排した文章のつくりが、よかった。」「ただ、もてあますほどの相撲好きだった「自分」と、現在の「自分」が、どうつながっているのか。そのことが、もう少しだけでもかぎとれれば、この小説世界の中に、もっと深く入りこめたのではないかと、惜しむのです。」
山田詠美
女54歳
26 「新人の才能のひとつに、まだ誰もが手を付けていない世界を描くこと、というのがある。もちろん、そこに、文章力を始めとしたさまざまなものが付いて来なければお話にならないが、この作者は、私の考えるレベルをクリアしている。見たものを見たように、感じたことを感じただけ過不足なく書けるのは、りっぱ。」「受賞作に推した。」
村上龍
男61歳
0  
奥泉光
男57歳
17 「相撲取りや行司仲間など、描けばよほど魅力的になりそうな人物をさらりとしか描かぬのは、作者の意図的な方法なのだろうが、何か物足りぬ印象が残るのは、方法の効果が発揮されきれぬままに終わっているからだろう。どういう方向であれ、さらなる徹底が必要かと感じた。」
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他の候補作
藤野可織
「爪と目」
いとうせいこう
「想像ラジオ」
戌井昭人
「すっぽん心中」
山下澄人
「砂漠ダンス」
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候補者・作品
山下澄人男47歳×各選考委員 
「砂漠ダンス」
短篇 96
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
小川洋子
女51歳
10 「山下澄人さんは意図的に“わたし”の人間性を描こうとはしていない。」「人間を描くのが小説だ、などという前提に、山下さんは独自のやり方で歯向かっている。その方向は評価されるべきだと思う。」
島田雅彦
男52歳
18 「自己と他者、夢と現実のあいだを彷徨う「わたし」の変容を描いた作品」「確かに小説家は複数のキャラクターに段落ごとに憑依しているのだから、多重人格は大歓迎だけれども、そんな「わたし」の向かう先に何が見えたのかはあきらかにはされていない。この手法はもちろん「あり」だけれども、まだ自我が崩壊した先まで見通せていない。」
堀江敏幸
男49歳
18 「人の心を素通りしていく冷えた言葉が思いがけないところでなにかとぶつかって小さな火を熾す、以前の作にあった奇跡は起きない。起きて欲しいわけではないけれど、その兆しがあるかないかでダンスの質は変わると思う。」
高樹のぶ子
女67歳
0  
宮本輝
男66歳
8 「現実と非現実の境界を行き来する手法だが、その手を使って何を描きたかったのか、私には深読みしてもわからなかった。シュールであればるほど主題は明晰でなければならないと思う。」
川上弘美
女55歳
12 「方法と、描かれる光景と、作者のこめたいもの。それらがすべて有機的にからみあった時、短篇は輝きをはなつのだと思います。この小説の方法は、ほんとうに面白い。ただ、光景とこめたいものが、方法にささえてもらいすぎなのではないか。」
山田詠美
女54歳
10 「万華鏡に〈わたし〉というひと粒を落とし込んで、ぐるぐる回しながら覗き込んだような奇妙な魅力があると感じた。でも、残念なことに、〈わたし〉以外のエピソードの欠片に魅力がないから、いくら回してみても、おもしろい絵が見られない。」
村上龍
男61歳
0  
奥泉光
男57歳
24 「方法への意識の高さには前の候補作同様大いに注目し、強く推す声があれば、と思ったけれど、残念ながらそうはならなかった。何かが足りない、としたら、その何かとは何か。それはエンターテイメント性であるかもしれないし、あるいは「実験的」な方法の背後にじわり浮かび上がるリアルなものの手触りかもしれない。」
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他の候補作
藤野可織
「爪と目」
いとうせいこう
「想像ラジオ」
戌井昭人
「すっぽん心中」
鶴川健吉
「すなまわり」
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