芥川賞のすべて・のようなもの
第51回
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昭和39年/1964年上半期
(昭和39年/1964年7月21日決定発表/『文藝春秋』昭和39年/1964年9月号選評掲載)
選考委員  石川達三
男59歳
中村光夫
男53歳
高見順
男57歳
瀧井孝作
男70歳
丹羽文雄
男59歳
永井龍男
男60歳
石川淳
男65歳
舟橋聖一
男59歳
川端康成
男65歳
井上靖
男57歳
井伏鱒二
男66歳
選評総行数  28 31 31 32 22 27 33 43      
選評なし 選評なし 選評なし
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
柴田翔 「されどわれらが日々――」
300
男29歳
15 15 7 5 10 7 30 22            
佐江衆一 「素晴しい空」
61
男30歳
0 2 4 3 4 0 2 0            
坂口䙥子 「風葬」
96
女49歳
4 2 5 4 5 0 0 4            
長谷川敬 「青の儀式」
92
男33歳
0 2 3 3 0 3 1 0            
五代夏夫 「那覇の木馬」
101
男(47歳)
1 3 3 5 4 4 2 0            
立原正秋 「薪能」
99
男38歳
7 2 3 6 0 2 0 8            
小牧永典 「影絵」
66
男(39歳)
0 0 3 3 0 0 0 0            
三好三千子 「どくだみ」
52
女30歳
0 3 1 3 0 4 0 0            
山川方夫 「愛のごとく」
84
男34歳
0 5 6 3 0 5 0 8            
    欠席
書面回答
          欠席 欠席 欠席
年齢/枚数の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『芥川賞全集 第七巻』昭和57年/1982年8月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和39年/1964年9月号)
1行当たりの文字数:26字


選考委員
石川達三男59歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
青春のロマン 総行数28 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
柴田翔
男29歳
15 「芥川賞は一応短篇小説と言うことになっているので、此の作品は長過ぎる。しかし他の候補作品にくらべて力倆は抜群であると思われるので、特に推すことにした。」「青春小説である。そして青春のロマンが歌われている。そこに稚なさもあり香気もある。読み終って心の中に一種の香気が残る。それが貴重だと私は思う。」
佐江衆一
男30歳
0  
坂口䙥子
女49歳
4 「面白く読んだ。」「苦心の作であると思う。異色のある小説であるが、作者の考え過ぎか、いじり過ぎのようなものがありはしなかったか。」
長谷川敬
男33歳
0  
五代夏夫
男(47歳)
1 「面白く読んだ。」
立原正秋
男38歳
7 「私は(引用者注:受賞作に次いで)第二に推した。尖鋭なきらめくような表現があちこちにあって、この作者の才能は充分に示されているが、二三の無理な構成があって作品を傷つけている。」「しかし主人公の女性をこれだけに描けるというのは凡手でない。」
小牧永典
男(39歳)
0  
三好三千子
女30歳
0  
山川方夫
男34歳
0  
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他の選考委員
中村光夫
高見順
瀧井孝作
丹羽文雄
永井龍男
石川淳
舟橋聖一
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選考委員
中村光夫男53歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
若さの唄 総行数31 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
柴田翔
男29歳
15 「長さの点から、候補作とみとめるかどうかについて、論議が交されましたが、それがきまると、授賞作もこれに自然落付いてしまったのは、作品の比重から云って当然でしょう。」「小説としての欠点はいくらでもあげられます。」「しかしその代り、この小説の根底には、ほとんど生臭いほどみずみずしい抒情の欲求があり、読みおわると稚拙な表現を通じて、それがはっきり伝わってきます。作者の人生にたいする姿勢の問題です。」
佐江衆一
男30歳
2 「この作者にいま少し飛躍がほしい」
坂口䙥子
女49歳
2 「しっかりした筆致ですが、せっかくの空想が途中から型にはまってしまいます。」
長谷川敬
男33歳
2 「内容の稚なさはともかく、文章が粗雑すぎます。」
五代夏夫
男(47歳)
3 「粗雑な文章と未熟な小説意識が面白い材料を殺していて、その意味で惜しい作品です。」
立原正秋
男38歳
2 「(引用者注:山川方夫と)同じうますぎる危険は立川正秋氏の「薪能」にも感じられます。」
小牧永典
男(39歳)
0  
三好三千子
女30歳
3 「素質は感じられますが、まだそれだけのもので、小説につくろうとする意識が強すぎるのが気になります。」
山川方夫
男34歳
5 「技術としては格段にすぐれていながら、作者が文学の世界に迷いこんでいるような物足りなさを感じさせます。」
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他の選考委員
石川達三
高見順
瀧井孝作
丹羽文雄
永井龍男
石川淳
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選考委員
高見順男57歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
病床の感想 総行数31 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
柴田翔
男29歳
7 「最初「文學界」で読んだとき、「六全協」前後ということにこだわりすぎたせいか、文学的気どりのようなものが感じられ、また傍観的な見方が物たりなく思われた。」「他の候補作と一緒に再読してみて、やはりこれが一番と思った。ひとつの世代が――現代の青春と言ってもいい、それがあざやかに描かれている。やはり近来出色の作品だと思う。」
佐江衆一
男30歳
4 「妻や娘に逃げられた孤独な老人と少年という組合せが何かいかにも小説くさく、そうなると過去の回想の点綴までが小説的装飾を思わせて損をしている。」
坂口䙥子
女49歳
5 「前世(原文傍点)の私が島へ送られる話がくどく、現在の私の日常性と物語の異常さに分裂がある。最後の子供の死体の話はすごみがあって面白いが。」
長谷川敬
男33歳
3 「新人らしい野性的な魅力があるが、それが時に大ゲサな見ぶり(表現)とも見られる。」
五代夏夫
男(47歳)
3 「強烈なストーリーの面白さ」「幼さが感じられる。」
立原正秋
男38歳
3 「すでに職業作家を思わせるうまさだ。非のうちどころのないほどのうまさが、かえって新人のみずみずしさから遠ざけているうらみがある。」
小牧永典
男(39歳)
3 「男女の心理のこまかいひだを書きこんだうまさに感心したが、タブローでなくデッサンの感がある。」
三好三千子
女30歳
1 「習作のうまさだ。」
山川方夫
男34歳
6 「(引用者注:受賞作の)次に私が心をひかれた」「特に最後において強烈な印象を私に与えた。それだけに自己の異常を説得的に説明しようとしているはじめの部分が私にはいささか気にいらない。」
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他の選考委員
石川達三
中村光夫
瀧井孝作
丹羽文雄
永井龍男
石川淳
舟橋聖一
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選考委員
瀧井孝作男70歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
立原氏の文章 総行数32 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
柴田翔
男29歳
5 「力はあるようだが、筆も荒っぽく、理窟ぽく、仰々しく、長すぎて、読むのに少し退屈した。」
佐江衆一
男30歳
3 「何かキメのこまかい筆のようだが、弱くて、印象は淡かった。」
坂口䙥子
女49歳
4 「読みごたえはあるが、昔の話やら今の話やら混雑して、筋のわからぬ所もあった。」
長谷川敬
男33歳
3 「小説に作りすぎて、浅果かなものになって居た。」
五代夏夫
男(47歳)
5 「うまい筆とは云えなかった。」
立原正秋
男38歳
6 「文章も、この題材にふさわしい、しなやかな絹糸のような感触があり、私は、今回の予選作の中ではこれが一番よいかと思った。ただ、小説としても、余りに芝居じみて、小道具も多くて、少し古い感じがしたのは惜しい。」
小牧永典
男(39歳)
3 「印象が淡かった。」
三好三千子
女30歳
3 「好意は持ったが、当選作には少し軽いかと思った。」
山川方夫
男34歳
3 「図式的の性小説のようで、私は好きにはなれなかった。」
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他の選考委員
石川達三
中村光夫
高見順
丹羽文雄
永井龍男
石川淳
舟橋聖一
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選考委員
丹羽文雄男59歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
多すぎる挿話 総行数22 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
柴田翔
男29歳
10 「力量には、感心した。が、二八〇枚を努力してよまねばならなかった。理論家の小説のせいかも知れない。その意味では、日本文学にとってユニークな存在となるだろう。しかし、(引用者中略)自分のために妊娠中絶、自殺する女子学生の運命まで単に照明役だけに使うというのは、納得できなかった。」
佐江衆一
男30歳
4 「私はこういう小説が好きだ。平凡な一人の運命をしみじみと感じさせる。が、授賞となるとその上に何かが加わらねばならない。」
坂口䙥子
女49歳
5 「楢山節考を聯想させるが、このひとにこれほどの奔放な才能があることをよろこびたいと思った。期待がもてる。この作品は構成に難があった。」
長谷川敬
男33歳
0  
五代夏夫
男(47歳)
4 「面白いと思った。拙劣というのではないが、古くさい文章が気になった。」「調子で書いている文章が折角のすばらしい材料を殺した。惜しいと思った。」
立原正秋
男38歳
0  
小牧永典
男(39歳)
0  
三好三千子
女30歳
0  
山川方夫
男34歳
0  
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他の選考委員
石川達三
中村光夫
高見順
瀧井孝作
永井龍男
石川淳
舟橋聖一
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選考委員
永井龍男男60歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
本来の短篇を 総行数27 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
柴田翔
男29歳
7 「短篇にしては長過ぎ、長篇にしては肉が足りない。」「構成の点に難があり平面的な感をまぬかれないが、私は同じ作者の「ロクタル管の話」に感心したおぼえもあり、中村光夫氏の説にもあった若さという点を買って、授賞の大勢にしたがうことにした。」
佐江衆一
男30歳
0  
坂口䙥子
女49歳
0  
長谷川敬
男33歳
3 「若さに溢れていて、好感を持った。すぐれた習作と思いたい。」
五代夏夫
男(47歳)
4 「惜しい作品である。これだけの材料を描破しながら、文章が未熟であったり、結末を持ってまわった欠点のために、興味を持たれつつ支持を失ってしまった。」
立原正秋
男38歳
2 「達者なもので、すでに一家をなしている感がある。小説の味に堪能な人なのであろう。」
小牧永典
男(39歳)
0  
三好三千子
女30歳
4 「同人雑誌擦れがなくて、気持のよい作品である。だいたい習作という評が多かったが、私はそれ以上に、短篇小説として認めた。」
山川方夫
男34歳
5 「山川方夫氏の持ち前を生かした代表的な作品かと思う。美点も嫌らしさも、巧さも思い上りも(人生上の)、すべて縒り合わせて独自の作品を成している。すでに数冊の作品集を出している作者が、候補作なぞということで騒がれるのは、迷惑なことかも知れない。」
  「候補作品の枚数について、委員の間に申合わせが行われたが、近来力作型の作品が重んじられ、芥川賞本来の短篇というものが表てに出にくい。そういう点を、委員の一人として反省もするし、待望したいと思う。」
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他の選考委員
石川達三
中村光夫
高見順
瀧井孝作
丹羽文雄
石川淳
舟橋聖一
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選考委員
石川淳男65歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
不可解な傷痕 総行数33 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
柴田翔
男29歳
30 「(引用者注:これを)推すほかない。」「作者はあり来りのことばをもって、すなわちたくみならざる技術をもって、ところどころ不恰好に、ともかく六全協前後の青春の歴史の一節を叙している。」「最後に女の傷痕が「もし痛むのなら、抱いて暖めてやりたいのだが――」という何の変哲もないことばを措いて、それがあまったれの感情にひびかないのは、作者みずから受けとめた傷痕の作用のように目測される。稚拙な筆つきではあるが、この界隈は小説の場に力がうごきはじめる一端でないこともない。」
佐江衆一
男30歳
2 「力よわく、」
坂口䙥子
女49歳
0  
長谷川敬
男33歳
1 「作者の料簡がわからず、」
五代夏夫
男(47歳)
2 「可憐というのみ。」
立原正秋
男38歳
0  
小牧永典
男(39歳)
0  
三好三千子
女30歳
0  
山川方夫
男34歳
0  
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他の選考委員
石川達三
中村光夫
高見順
瀧井孝作
丹羽文雄
永井龍男
舟橋聖一
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選考委員
舟橋聖一男59歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
柴田・山川・立原・坂口 総行数43 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
柴田翔
男29歳
22 「私は七〇パーセントほど支持した。」「それまで信じていた党の根本的な政策がぐらつき、共産党軍事組織の秘密が、解体させられるその動機と指令の実体がよく出ていないのが弱い。」「然し、安保デモ当時の学生のせっぱ詰った状況と絶望を、単なる安保ルポ以上に、小説化したのはお手柄」「既成文壇人の好みには適わなくても、こういう小説は存在していいと思う。」
佐江衆一
男30歳
0  
坂口䙥子
女49歳
4 「無理な気取りがあるようで、前作に劣ると見た。然し度々候補作になるのを見ると、腕のある女流作家には違いない。」
長谷川敬
男33歳
0  
五代夏夫
男(47歳)
0  
立原正秋
男38歳
8 「面白く読んだ。最後の心中場面がなければ、授賞作たり得たかもしれない。あんな仰々しい、大時代な心中はウソが目立って、かなわない。」「然し、夫の公三と女が寝ている旅館へ、昌子がはいって行く前後は、迫力があって、読ませる。」
小牧永典
男(39歳)
0  
三好三千子
女30歳
0  
山川方夫
男34歳
8 「彼の前作「演技の果て」や「海岸公園」などより、肚の出来た作品だが、やや悪達者な点があって、一委員のごときは、彼を巧みな売文業者と極めつけた。山川が(引用者中略)それに反撥して、浴びせかけられる非難を押し破れるようなら、これも鞭撻の一つと思って書いておく。」
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他の選考委員
石川達三
中村光夫
高見順
瀧井孝作
丹羽文雄
永井龍男
石川淳
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受賞者・作品
柴田翔男29歳×各選考委員 
「されどわれらが日々――」
中篇 300
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三
男59歳
15 「芥川賞は一応短篇小説と言うことになっているので、此の作品は長過ぎる。しかし他の候補作品にくらべて力倆は抜群であると思われるので、特に推すことにした。」「青春小説である。そして青春のロマンが歌われている。そこに稚なさもあり香気もある。読み終って心の中に一種の香気が残る。それが貴重だと私は思う。」
中村光夫
男53歳
15 「長さの点から、候補作とみとめるかどうかについて、論議が交されましたが、それがきまると、授賞作もこれに自然落付いてしまったのは、作品の比重から云って当然でしょう。」「小説としての欠点はいくらでもあげられます。」「しかしその代り、この小説の根底には、ほとんど生臭いほどみずみずしい抒情の欲求があり、読みおわると稚拙な表現を通じて、それがはっきり伝わってきます。作者の人生にたいする姿勢の問題です。」
高見順
男57歳
7 「最初「文學界」で読んだとき、「六全協」前後ということにこだわりすぎたせいか、文学的気どりのようなものが感じられ、また傍観的な見方が物たりなく思われた。」「他の候補作と一緒に再読してみて、やはりこれが一番と思った。ひとつの世代が――現代の青春と言ってもいい、それがあざやかに描かれている。やはり近来出色の作品だと思う。」
瀧井孝作
男70歳
5 「力はあるようだが、筆も荒っぽく、理窟ぽく、仰々しく、長すぎて、読むのに少し退屈した。」
丹羽文雄
男59歳
10 「力量には、感心した。が、二八〇枚を努力してよまねばならなかった。理論家の小説のせいかも知れない。その意味では、日本文学にとってユニークな存在となるだろう。しかし、(引用者中略)自分のために妊娠中絶、自殺する女子学生の運命まで単に照明役だけに使うというのは、納得できなかった。」
永井龍男
男60歳
7 「短篇にしては長過ぎ、長篇にしては肉が足りない。」「構成の点に難があり平面的な感をまぬかれないが、私は同じ作者の「ロクタル管の話」に感心したおぼえもあり、中村光夫氏の説にもあった若さという点を買って、授賞の大勢にしたがうことにした。」
石川淳
男65歳
30 「(引用者注:これを)推すほかない。」「作者はあり来りのことばをもって、すなわちたくみならざる技術をもって、ところどころ不恰好に、ともかく六全協前後の青春の歴史の一節を叙している。」「最後に女の傷痕が「もし痛むのなら、抱いて暖めてやりたいのだが――」という何の変哲もないことばを措いて、それがあまったれの感情にひびかないのは、作者みずから受けとめた傷痕の作用のように目測される。稚拙な筆つきではあるが、この界隈は小説の場に力がうごきはじめる一端でないこともない。」
舟橋聖一
男59歳
22 「私は七〇パーセントほど支持した。」「それまで信じていた党の根本的な政策がぐらつき、共産党軍事組織の秘密が、解体させられるその動機と指令の実体がよく出ていないのが弱い。」「然し、安保デモ当時の学生のせっぱ詰った状況と絶望を、単なる安保ルポ以上に、小説化したのはお手柄」「既成文壇人の好みには適わなくても、こういう小説は存在していいと思う。」
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他の候補作
佐江衆一
「素晴しい空」
坂口䙥子
「風葬」
長谷川敬
「青の儀式」
五代夏夫
「那覇の木馬」
立原正秋
「薪能」
小牧永典
「影絵」
三好三千子
「どくだみ」
山川方夫
「愛のごとく」
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候補者・作品
佐江衆一男30歳×各選考委員 
「素晴しい空」
短篇 61
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三
男59歳
0  
中村光夫
男53歳
2 「この作者にいま少し飛躍がほしい」
高見順
男57歳
4 「妻や娘に逃げられた孤独な老人と少年という組合せが何かいかにも小説くさく、そうなると過去の回想の点綴までが小説的装飾を思わせて損をしている。」
瀧井孝作
男70歳
3 「何かキメのこまかい筆のようだが、弱くて、印象は淡かった。」
丹羽文雄
男59歳
4 「私はこういう小説が好きだ。平凡な一人の運命をしみじみと感じさせる。が、授賞となるとその上に何かが加わらねばならない。」
永井龍男
男60歳
0  
石川淳
男65歳
2 「力よわく、」
舟橋聖一
男59歳
0  
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他の候補作
柴田翔
「されどわれらが日々――」
坂口䙥子
「風葬」
長谷川敬
「青の儀式」
五代夏夫
「那覇の木馬」
立原正秋
「薪能」
小牧永典
「影絵」
三好三千子
「どくだみ」
山川方夫
「愛のごとく」
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候補者・作品
坂口䙥子女49歳×各選考委員 
「風葬」
短篇 96
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三
男59歳
4 「面白く読んだ。」「苦心の作であると思う。異色のある小説であるが、作者の考え過ぎか、いじり過ぎのようなものがありはしなかったか。」
中村光夫
男53歳
2 「しっかりした筆致ですが、せっかくの空想が途中から型にはまってしまいます。」
高見順
男57歳
5 「前世(原文傍点)の私が島へ送られる話がくどく、現在の私の日常性と物語の異常さに分裂がある。最後の子供の死体の話はすごみがあって面白いが。」
瀧井孝作
男70歳
4 「読みごたえはあるが、昔の話やら今の話やら混雑して、筋のわからぬ所もあった。」
丹羽文雄
男59歳
5 「楢山節考を聯想させるが、このひとにこれほどの奔放な才能があることをよろこびたいと思った。期待がもてる。この作品は構成に難があった。」
永井龍男
男60歳
0  
石川淳
男65歳
0  
舟橋聖一
男59歳
4 「無理な気取りがあるようで、前作に劣ると見た。然し度々候補作になるのを見ると、腕のある女流作家には違いない。」
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他の候補作
柴田翔
「されどわれらが日々――」
佐江衆一
「素晴しい空」
長谷川敬
「青の儀式」
五代夏夫
「那覇の木馬」
立原正秋
「薪能」
小牧永典
「影絵」
三好三千子
「どくだみ」
山川方夫
「愛のごとく」
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候補者・作品
長谷川敬男33歳×各選考委員 
「青の儀式」
短篇 92
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三
男59歳
0  
中村光夫
男53歳
2 「内容の稚なさはともかく、文章が粗雑すぎます。」
高見順
男57歳
3 「新人らしい野性的な魅力があるが、それが時に大ゲサな見ぶり(表現)とも見られる。」
瀧井孝作
男70歳
3 「小説に作りすぎて、浅果かなものになって居た。」
丹羽文雄
男59歳
0  
永井龍男
男60歳
3 「若さに溢れていて、好感を持った。すぐれた習作と思いたい。」
石川淳
男65歳
1 「作者の料簡がわからず、」
舟橋聖一
男59歳
0  
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他の候補作
柴田翔
「されどわれらが日々――」
佐江衆一
「素晴しい空」
坂口䙥子
「風葬」
五代夏夫
「那覇の木馬」
立原正秋
「薪能」
小牧永典
「影絵」
三好三千子
「どくだみ」
山川方夫
「愛のごとく」
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候補者・作品
五代夏夫男(47歳)×各選考委員 
「那覇の木馬」
短篇 101
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三
男59歳
1 「面白く読んだ。」
中村光夫
男53歳
3 「粗雑な文章と未熟な小説意識が面白い材料を殺していて、その意味で惜しい作品です。」
高見順
男57歳
3 「強烈なストーリーの面白さ」「幼さが感じられる。」
瀧井孝作
男70歳
5 「うまい筆とは云えなかった。」
丹羽文雄
男59歳
4 「面白いと思った。拙劣というのではないが、古くさい文章が気になった。」「調子で書いている文章が折角のすばらしい材料を殺した。惜しいと思った。」
永井龍男
男60歳
4 「惜しい作品である。これだけの材料を描破しながら、文章が未熟であったり、結末を持ってまわった欠点のために、興味を持たれつつ支持を失ってしまった。」
石川淳
男65歳
2 「可憐というのみ。」
舟橋聖一
男59歳
0  
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他の候補作
柴田翔
「されどわれらが日々――」
佐江衆一
「素晴しい空」
坂口䙥子
「風葬」
長谷川敬
「青の儀式」
立原正秋
「薪能」
小牧永典
「影絵」
三好三千子
「どくだみ」
山川方夫
「愛のごとく」
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候補者・作品
立原正秋男38歳×各選考委員 
「薪能」
短篇 99
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三
男59歳
7 「私は(引用者注:受賞作に次いで)第二に推した。尖鋭なきらめくような表現があちこちにあって、この作者の才能は充分に示されているが、二三の無理な構成があって作品を傷つけている。」「しかし主人公の女性をこれだけに描けるというのは凡手でない。」
中村光夫
男53歳
2 「(引用者注:山川方夫と)同じうますぎる危険は立川正秋氏の「薪能」にも感じられます。」
高見順
男57歳
3 「すでに職業作家を思わせるうまさだ。非のうちどころのないほどのうまさが、かえって新人のみずみずしさから遠ざけているうらみがある。」
瀧井孝作
男70歳
6 「文章も、この題材にふさわしい、しなやかな絹糸のような感触があり、私は、今回の予選作の中ではこれが一番よいかと思った。ただ、小説としても、余りに芝居じみて、小道具も多くて、少し古い感じがしたのは惜しい。」
丹羽文雄
男59歳
0  
永井龍男
男60歳
2 「達者なもので、すでに一家をなしている感がある。小説の味に堪能な人なのであろう。」
石川淳
男65歳
0  
舟橋聖一
男59歳
8 「面白く読んだ。最後の心中場面がなければ、授賞作たり得たかもしれない。あんな仰々しい、大時代な心中はウソが目立って、かなわない。」「然し、夫の公三と女が寝ている旅館へ、昌子がはいって行く前後は、迫力があって、読ませる。」
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他の候補作
柴田翔
「されどわれらが日々――」
佐江衆一
「素晴しい空」
坂口䙥子
「風葬」
長谷川敬
「青の儀式」
五代夏夫
「那覇の木馬」
小牧永典
「影絵」
三好三千子
「どくだみ」
山川方夫
「愛のごとく」
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候補者・作品
小牧永典男(39歳)×各選考委員 
「影絵」
短篇 66
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三
男59歳
0  
中村光夫
男53歳
0  
高見順
男57歳
3 「男女の心理のこまかいひだを書きこんだうまさに感心したが、タブローでなくデッサンの感がある。」
瀧井孝作
男70歳
3 「印象が淡かった。」
丹羽文雄
男59歳
0  
永井龍男
男60歳
0  
石川淳
男65歳
0  
舟橋聖一
男59歳
0  
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他の候補作
柴田翔
「されどわれらが日々――」
佐江衆一
「素晴しい空」
坂口䙥子
「風葬」
長谷川敬
「青の儀式」
五代夏夫
「那覇の木馬」
立原正秋
「薪能」
三好三千子
「どくだみ」
山川方夫
「愛のごとく」
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候補者・作品
三好三千子女30歳×各選考委員 
「どくだみ」
短篇 52
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三
男59歳
0  
中村光夫
男53歳
3 「素質は感じられますが、まだそれだけのもので、小説につくろうとする意識が強すぎるのが気になります。」
高見順
男57歳
1 「習作のうまさだ。」
瀧井孝作
男70歳
3 「好意は持ったが、当選作には少し軽いかと思った。」
丹羽文雄
男59歳
0  
永井龍男
男60歳
4 「同人雑誌擦れがなくて、気持のよい作品である。だいたい習作という評が多かったが、私はそれ以上に、短篇小説として認めた。」
石川淳
男65歳
0  
舟橋聖一
男59歳
0  
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他の候補作
柴田翔
「されどわれらが日々――」
佐江衆一
「素晴しい空」
坂口䙥子
「風葬」
長谷川敬
「青の儀式」
五代夏夫
「那覇の木馬」
立原正秋
「薪能」
小牧永典
「影絵」
山川方夫
「愛のごとく」
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候補者・作品
山川方夫男34歳×各選考委員 
「愛のごとく」
短篇 84
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三
男59歳
0  
中村光夫
男53歳
5 「技術としては格段にすぐれていながら、作者が文学の世界に迷いこんでいるような物足りなさを感じさせます。」
高見順
男57歳
6 「(引用者注:受賞作の)次に私が心をひかれた」「特に最後において強烈な印象を私に与えた。それだけに自己の異常を説得的に説明しようとしているはじめの部分が私にはいささか気にいらない。」
瀧井孝作
男70歳
3 「図式的の性小説のようで、私は好きにはなれなかった。」
丹羽文雄
男59歳
0  
永井龍男
男60歳
5 「山川方夫氏の持ち前を生かした代表的な作品かと思う。美点も嫌らしさも、巧さも思い上りも(人生上の)、すべて縒り合わせて独自の作品を成している。すでに数冊の作品集を出している作者が、候補作なぞということで騒がれるのは、迷惑なことかも知れない。」
石川淳
男65歳
0  
舟橋聖一
男59歳
8 「彼の前作「演技の果て」や「海岸公園」などより、肚の出来た作品だが、やや悪達者な点があって、一委員のごときは、彼を巧みな売文業者と極めつけた。山川が(引用者中略)それに反撥して、浴びせかけられる非難を押し破れるようなら、これも鞭撻の一つと思って書いておく。」
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他の候補作
柴田翔
「されどわれらが日々――」
佐江衆一
「素晴しい空」
坂口䙥子
「風葬」
長谷川敬
「青の儀式」
五代夏夫
「那覇の木馬」
立原正秋
「薪能」
小牧永典
「影絵」
三好三千子
「どくだみ」
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