嶋津輝（しまづてる）-直木賞候補作家

第170回

＝受賞者＝
河﨑秋子
万城目　学

＝候補者＝
加藤シゲアキ
嶋津　輝
宮内悠介
村木　嵐

Last Update●[R7]2025/12/13

	Shimazu Teru
	生没年月日【注】	昭和44年/1969年～
	経歴	東京都生まれ。日本大学法学部卒。平成28年/2016年に「姉といもうと」で第96回オール讀物新人賞を受賞。
	受賞歴・候補歴	\|候補\| 第114回文學界新人賞（平成24年/2012年上期）「ノー・スプラッシュ」嶋津照名義 \|候補\| 第1回林芙美子文学賞（平成27年/2015年）「カシさん」第96回オール讀物新人賞（平成28年/2016年）「姉といもうと」 \|候補\| 第3回林芙美子文学賞（平成29年/2017年）「同宿　リバーサイド」 \|候補\| 第170回直木賞（令和5年/2023年下期）『襷がけの二人』 \|候補\| 第174回直木賞（令和7年/2025年下期）『カフェーの帰り道』
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第170回候補

『襷(たすき)がけの二人(ふたり)』（令和5年/2023年9月・文藝春秋刊）

媒体・作品情報

作品名別表記	カバールビ有り「たすき」　奥付ルビ有り「たすき」「ふたり」
印刷/発行年月日	発行令和5年/2023年9月30日（第1刷）
発行者等	発行者花田朋子　印刷所・製本所大日本印刷　組版言語社
発行所	株式会社文藝春秋（東京都）			形態	四六判　並製
装幀/装画等	装画合田里美　装丁野中深雪
総ページ数	364	表記上の枚数	―	基本の文字組（1ページ当り）	42字 ×19行 ×1段
本文ページ	5～364 （計360頁）	測定枚数	652枚

書誌

書下ろし

選評の概要

この回の全概要　見方・注意点

候補者　嶋津輝　54歳
選考委員		評価	行数	評言
京極夏彦	60歳	■	28	「戦争を分岐点とする主従逆転の構図や結果的に自立ではなく共棲を選択するに至る経緯などが細やかに、かつ巧みに描かれており、とても初の長編とは思えない。ただ主人公のコンプレックスを身体性に落とし込んだことで、そうした焦点がやや分散してしまった感があることは否めないように思う。」
浅田次郎	72歳	△	22	「あわただしい現実を忘れて、つかの間の小説世界にひたることができる。しかしながらこの時代に近い家庭環境に生育した私から見ると、うまく書かれているところと得心できぬ部分が半ばした。近代を舞台とした小説の難しさである。」
桐野夏生	72歳	○	19	「女が誰にも言えずに一人苦悩する姿を描いている点に深く共感する。」「市井の片隅に生きる女たちの世界を、女でしか書けない視点で描いた作者の勇気と筆力に感動した。」
高村薫	70歳	○	22	「主要人物の女性二人の姿が鮮明に浮かぶという点で、過不足のない小説の姿をしている。」「活き活きとした女性たちに比べて男性の登場人物たちがみな輪郭も個性もないのは、作者の眼中に初めから男性が入っていないということだろう。その意味で、女性たちだけで完結している世界はちょっと歪でもあり、その歪さが本作をまさに小説にしているのだと思う。」
林真理子	69歳	△	12	「女性二人がかもし出すなんともいえないユーモアが、この作品の魅力であるが、やはりいろいろな解釈が出来る。女中と奥さんという格差が、たやすく入れ替わるものだというテーマの他に、女性器のルッキズムという全く新しい主題も込められていた。」
三浦しをん	47歳	◎	24	「（引用者注：「八月の御所グラウンド」と共に）推した。」「市井に生きる女性の生活と人生に焦点を当てながら、説得力をもって時代のうねりを描くという試みが成功している。独特の肌ざわりと余韻が残るのは、この作者にしか書けない、ちょっと変わった着眼点が随所にあるからだろう。」
宮部みゆき	63歳	△	81	「嶋津さんのことをもう少しよく知るために、デビュー短編集『駐車場のねこ』を読んでみました。すると、嶋津さんが作家として（少なくとも今現在）こだわりと興味を持っているのは、男女を問わない人間の身体性だと理解することができました。」「正直、男性読者には勧めにくいタイプのお話なので、老若男女に読んでもらいたい直木賞には向いていない（だから落ちたのではなく、合わなかったのだと思ってください）作品でしたが、『八月の御所グラウンド』と決選投票になるくらい、評価は高かった。」
角田光代	56歳	△	25	「なんとも妙味のある小説だった。」「千代ののほほんとした性格が、彼女自身を守りもするし他者を傷つけもする、そのさりげない描きかたも巧い。」「主だった千代がのちには使用人に、使用人だった初衣が主となることで、私たちの役割や立場などさしたる意味がないのではないかと思わせる説得力がある。」
選評出典：『オール讀物』令和6年/2024年3・4月合併号

第170回推薦候補

大衆選考会での推薦

推薦者	推薦日	推薦文
とろぽぽ	令和5年/2023年12月12日	なし
さと	令和5年/2023年12月13日	するりと入ってくる文章が心地よいです

文量

長篇

第174回候補

『カフェーの帰(かえ)り道(みち)』（令和7年/2025年11月・東京創元社刊）

媒体・作品情報

作品名別表記	奥付ルビ有り「かえ」「みち」
印刷/発行年月日	発行令和7年/2025年11月14日（初版）
発行者等	発行者渋谷健太郎　組版キャップス　印刷萩原印刷　製本加藤製本
発行所	株式会社東京創元社（東京都）			形態	四六判　並製
装幀/装画等	カバー図案「美術海」(c)芸艸堂　装幀鈴木久美
総ページ数	227	表記上の枚数	―	基本の文字組（1ページ当り）	42字 ×18行 ×1段
本文ページ	5～227 （計223頁）	測定枚数	364枚

収録作品の書誌

稲子のカフェー

初出『紙魚の手帖』vol.19［令和6年/2024年10月号］

噓つき美登里

初出『紙魚の手帖』vol.20［令和6年/2024年12月号］

出戻りセイ

初出『紙魚の手帖』vol.22［令和7年/2025年4月号］

タイ子の昔

書下ろし

幾子のお土産

書下ろし

選評の概要

この回の全概要　見方・注意点

候補者　嶋津輝　56歳
選考委員		評価	行数	評言
浅田次郎	74歳			未
角田光代	58歳			未
京極夏彦	62歳			未
桐野夏生	74歳			未
辻村深月	45歳			未
林真理子	71歳			未
三浦しをん	49歳			未
宮部みゆき	65歳			未
米澤穂信	47歳			未

文量

連作短篇集〔5篇〕

稲子のカフェー

噓つき美登里

出戻りセイ

タイ子の昔

幾子のお土産