青崎有吾（あおさきゆうご）-直木賞候補作家

第171回

＝受賞者＝
一穂ミチ

＝候補者＝
青崎有吾
麻布競馬場
岩井圭也
柚木麻子

Last Update●[R6]2024/9/26

	Aosaki Yugo
	生没年月日【注】	平成3年/1991年～
	経歴	神奈川県横浜市生まれ。明治大学文学部卒。大学在学中の平成24年/2012年に「体育館の殺人」で鮎川哲也賞を受賞、作家デビューする。
	受賞歴・候補歴	第22回鮎川哲也賞（平成24年/2012年）「体育館の殺人」 \|候補\| 第14回本格ミステリ大賞［小説部門］（平成26年/2014年）『水族館の殺人』 \|候補\| 第70回日本推理作家協会賞［長編および連作短編集部門］（平成28年/2016年）『ノッキンオン・ロックドドア』 \|候補\| 第73回日本推理作家協会賞［長編および連作短編集部門］（令和1年/2019年）『早朝始発の殺風景』 \|候補\| 第74回日本推理作家協会賞［短編部門］（令和2年/2020年）「風ヶ丘合唱祭事件」第77回日本推理作家協会賞［長編および連作短編集部門］（令和5年/2023年）『地雷グリコ』第37回山本周五郎賞（令和5年/2023年度）『地雷グリコ』第24回本格ミステリ大賞［小説部門］（令和6年/2024年）『地雷グリコ』 \|候補\| 第171回直木賞（令和6年/2024年上期）『地雷グリコ』
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第171回候補

『地雷(じらい)グリコ』（令和5年/2023年11月・KADOKAWA刊）

媒体・作品情報

作品名別表記	カバー「GLICO WITH LANDMINES」併記　奥付ルビ有り「じらい」
印刷/発行年月日	発行令和5年/2023年11月27日（初版）
測定媒体発行年月日	発行令和6年/2024年6月5日（6版）
発行者等	発行者山下直久　印刷所旭印刷株式会社　製本所本間製本株式会社
発行所	株式会社KADOKAWA（東京都）			形態	四六判　並製
装幀/装画等	装丁川名潤　本文図版二見亜矢子
総ページ数	348	表記上の枚数	―	基本の文字組（1ページ当り）	43字 ×20行 ×1段
本文ページ	5～348 （計344頁）	測定枚数	657枚

収録作品の書誌

地雷グリコ

初出『小説屋sari-sari』平成29年/2017年11月号

坊主衰弱

初出『カドブンノベル』令和2年/2020年11月号

自由律ジャンケン

初出『小説野性時代』令和4年/2022年3月号

だるまさんがかぞえた

初出『小説野性時代』令和5年/2023年2月号

フォールーム・ポーカー

書下ろし

選評の概要

この回の全概要　見方・注意点

候補者　青崎有吾　33歳
選考委員		評価	行数	評言
京極夏彦	61歳	△	24	「本作は途中から解明役を含む多視点にスイッチしている。連作としての結構を保つための構造変更なのだろう。結果的にミステリ以外の感興を呼び込むことにも成功しているし、独立した短編としては申し分ない完成度なのだが、通読した際にそのゆらぎはやや気になった。」
角田光代	57歳	■	16	「ゲームのルールと、ルールで言及されないことがらを、作者が緻密に考えて、登場人物たちが作者の考えたとおりに動いていくのは、この小説上とうぜんのことなのだが、それをおもしろいと思えず、ルールの妙ではなくルール以外のなんでもありという部分をもたのしめなかった私は、この小説の良い読み手ではないのだろう。」
三浦しをん	47歳	○	30	「（引用者注：「令和元年の人生ゲーム」と共に）丸をつけた。」「作中で繰り広げられるゲーム対決のおもしろさに加え、青春小説としても良質で胸躍る。」「少し惜しいと感じたのは、真兎と絵空の対比の効きがやや弱い気がした点だ。」「しかし、過度なドラマ性を排した、暑苦しくない筆致と展開が本作の美点でもあるので、もちろん瑕疵とは思わない。」
林真理子	70歳	●	10	「私には統計とゲームの抜け道を読まされているようであまり面白くなかった。図版に頼るのが小説といえるのかどうか。新しい小説というほどの企みも魅力もあるとは思えなかった。」
宮部みゆき	63歳	△	30	「悲しいことに、私には『グリコ』をちゃんと理解しているという自信がありませんでした。白状します。「読んでいるあいだは判った気になってすごく面白いんだけど、読み終えるとどこがどう面白いのかちゃんと説明できない」。」「この自信のなさ故に、強く支持することができませんでした。」
浅田次郎	72歳	■	13	「直木賞の候補作でさえなければ面白く読んだはずである。」「そもそもミステリーについては門外漢なので真価はわからぬが、少くとも人間を描くという文学の基準にはあてはまらないであろう。」
高村薫	71歳	●	18	「エンタメ精神全開ではある。とはいえ、五本のゲームはいずれもルール設定でいかに落とし穴を仕掛けるかというインチキ比べで、「事前に禁止と言っていないからＯＫ」といった何でもありの出し抜き合戦は結局ワンパターンで、途中で結末が読めてしまう自縄自縛に陥ってしまった。」
桐野夏生	72歳	■	40	「ルールに書いてなければ何をやってもいい、という発想は抜け道というより、一般常識が通用しなくなった世界を知らしめている感があって逆に怖い。」「気になったのは、人称の多用である。（引用者中略）一人称の当事者や人称が変わるのは甚だ安定が悪く、進行を著しく妨げる。」
選評出典：『オール讀物』令和6年/2024年9・10月合併号

山本周五郎賞 第37回受賞