津島佑子（つしまゆうこ）-芥川賞候補作家｜芥川賞のすべて・のようなもの

第67回

＝受賞者＝
宮原昭夫
畑山　博

Last Update●[H28]2016/2/19

	Tsushima Yuko
	生没年月日【注】	昭和22年/1947年3月30日～平成28年/2016年2月18日
	経歴	本名＝津島里子（サトコ）。東京都北多摩郡三鷹町（現・三鷹市）生まれ。白百合女子大学文学部英文科卒。在学中より『文芸首都』に加わる。父は作家の太宰治。
	受賞歴・候補歴	\|候補\| 第67回芥川賞（昭和47年/1972年上期）「狐を孕む」 \|候補\| 第69回芥川賞（昭和48年/1973年上期）「壜のなかの子ども」 \|候補\| 第12回女流文学賞（昭和48年/1973年）『童子の影』 \|候補\| 第1回泉鏡花文学賞（昭和48年/1973年）『生き物の集まる家』 \|候補\| 第70回芥川賞（昭和48年/1973年下期）「火屋（ほや）」第16回田村俊子賞（昭和50年/1975年）『葎の母』 \|候補\| 第3回泉鏡花文学賞（昭和50年/1975年）『我が父たち』 \|候補\| 第16回女流文学賞（昭和52年/1977年）『草の臥所』第5回泉鏡花文学賞（昭和52年/1977年）『草の臥所』第17回女流文学賞（昭和53年/1978年）『寵児』第1回野間文芸新人賞（昭和54年/1979年）『光の領分』第10回川端康成文学賞（昭和58年/1983年）「黙市」第38回読売文学賞［小説賞］（昭和61年/1986年）『夜の光に追われて』第17回平林たい子文学賞［小説部門］（平成1年/1989年）『真昼へ』 \|候補\| 第27回谷崎潤一郎賞（平成3年/1991年）『大いなる夢よ、光よ』第6回伊藤整文学賞［小説部門］（平成7年/1995年）『風よ、空駆ける風よ』第34回谷崎潤一郎賞（平成10年/1998年）『火の山―山猿記』第51回野間文芸賞（平成10年/1998年）『火の山―山猿記』第28回大佛次郎賞（平成13年/2001年）『笑いオオカミ』第55回芸術選奨文部科学大臣賞［文学部門］（平成16年/2004年度）『ナラ・レポート』第15回紫式部文学賞（平成17年/2005年）『ナラ・レポート』第53回毎日芸術賞（平成23年/2011年度）『黄金の夢の歌』
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第67回候補

「狐(きつね)を孕(はら)む」（『文芸』昭和47年/1972年5月号）

媒体・作品情報

誌名	「文芸」
巻号	第11巻第5号別表記5月特大号
印刷/発行年月日	発行昭和47年/1972年5月1日
発行者等	編集者寺田博　発行者佐藤晧三　印刷者北島義俊　印刷所大日本印刷株式会社（東京都）
発行所	株式会社河出書房新社（東京都）
総ページ数	296	表記上の枚数	目次 120枚	基本の文字組（1ページ当り）	26字 ×24行 ×2段
本文ページ	36～77 （計42頁）	測定枚数	119枚

書誌

昭和48年/1973年3月・河出書房新社刊『童子の影』所収

昭和54年/1979年8月・集英社／集英社文庫『童子の影』所収

選評の概要

この回の全概要　見方・注意点

候補者　津島佑子　25歳
選考委員		評価	行数	評言
大岡昇平	63歳	△	4	「今期は題材的にも技法上にも特色のある作品が多かった。」「まだ形が整っていないが、いわゆる感覚ではなく、ものの考え方に新しさがあると思った。」
井上靖	65歳	―	0
吉行淳之介	48歳	―	0
安岡章太郎	52歳	△	5	「決して十分小説になっているとはいえないが、これまでの作品のいたずらに装飾的な言葉の多かったのにくらべて、今回の作品は何かをつかみかけていることがわり、今後を期待させるものがある。」
中村光夫	61歳	△	3	「面白く読みました。」
丹羽文雄	67歳	△	5	「いかにも太宰治の娘さんらしい感覚のあふれたものだった。こうした才能は大切に育てたい。」「太宰治をはねかえすほどに大きくなるには、他の作家の経験しない苦しみがあることが想像される。」
永井龍男	68歳	―	0
瀧井孝作	78歳	―	0
舟橋聖一	67歳	―	0
選評出典：『芥川賞全集　第九巻』昭和57年/1982年10月・文藝春秋刊　再録（初出：『文藝春秋』昭和47年/1972年9月号）

第69回候補

「壜(びん)のなかの子(こ)ども」（『群像』昭和48年/1973年2月号）

媒体・作品情報

誌名	「群像」
巻号	第28巻第2号別表記2月号
印刷/発行年月日	印刷昭和48年/1973年1月5日　発行昭和48年/1973年2月1日
発行者等	編集人徳島高義　発行人三木章　印刷人澤村嘉一　印刷所凸版印刷株式会社
発行所	株式会社講談社（東京都）
総ページ数	292	表記上の枚数	表紙・目次 119枚	基本の文字組（1ページ当り）	26字 ×22行 ×2段
本文ページ	50～91 （計42頁）	測定枚数	117枚

書誌

昭和50年/1975年4月・講談社刊『我が父たち』所収

昭和55年/1980年5月・講談社／講談社文庫『我が父たち』所収

選評の概要

この回の全概要　見方・注意点

候補者　津島佑子　26歳
選考委員		評価	行数	評言
舟橋聖一	68歳	■	4	「最後の場面で男と少女が男の店の前を素通りするところが、印象に残った。しかし父親を男と書くことは、気取りすぎているのではあるまいか。」
中村光夫	62歳	△	5	「面白く思いました。」「（引用者注：「失われた絵」と共に）「自分の鶏」にかけた作品と思われます。もう少し読者の思惑を考える余裕があれば、と惜しまれます。」
大岡昇平	64歳	―	0
吉行淳之介	49歳	■	4	「この前より進歩していて、随所に鮮烈な箇所があったが、全体を作者が掴めておらず、矛盾が多い。肝心のところが、二行ずつほど余分に書いてあって、そこが逆効果になっていたりもする。」
瀧井孝作	79歳	△	5	「悲痛な実感がもっとよく出れば、成功したか。異色の構想と見た。」
永井龍男	69歳	―	0
安岡章太郎	53歳	△	5	「私としては印象に残ったが、（引用者中略）大いに技巧を弄しながら、なおかつ幼稚であり、そのことにおいて個性的なのである。」
井上靖	66歳	―	0
丹羽文雄	68歳	◎	5	「「壜のなかの子ども」を候補作品八篇の中でマークして、審査場にのぞんだ。支持者が少なかったのでがっかりした。」「不具な子供を持った父親の屈折した気持がよく描かれていて、心に残るものがあった。」
選評出典：『芥川賞全集　第十巻』昭和57年/1982年11月・文藝春秋刊　再録（初出：『文藝春秋』昭和48年/1973年9月号）

第70回候補

「火屋(ほや)（ほや）」（『群像』昭和48年/1973年12月号）

媒体・作品情報

誌名	「群像」
巻号	第28巻第12号別表記12月号
印刷/発行年月日	印刷昭和48年/1973年11月5日　発行昭和48年/1973年12月1日
発行者等	編集人大村彦次郎　発行人三木章　印刷人澤村嘉一　印刷所凸版印刷株式会社
発行所	株式会社講談社（東京都）
総ページ数	276	表記上の枚数	表紙・目次 114枚	基本の文字組（1ページ当り）	26字 ×22行 ×2段
本文ページ	86～123 （計38頁）	測定枚数	105枚

書誌

昭和50年/1975年4月・講談社刊『我が父たち』所収

昭和53年/1978年3月・筑摩書房刊『筑摩現代文学大系97　竹西寛子・高橋たか子・富岡多恵子・津島佑子集』所収

昭和55年/1980年5月・講談社／講談社文庫『我が父たち』所収

選評の概要

この回の全概要　見方・注意点

候補者　津島佑子　26歳
選考委員		評価	行数	評言
大岡昇平	64歳	―	0
瀧井孝作	79歳	■	4	「巧みすぎて回りくどかった。筆は初いういしいものがあるのだから、もっと素直に書いた方が伸びると思った。」
井上靖	66歳	―	0
中村光夫	62歳	―	0
永井龍男	69歳	―	0
丹羽文雄	69歳	■	3	「才能には期待をしているが、何か本道からそれていくような危険をつよく感じた。」
吉行淳之介	49歳	■	4	「才能十分で注目しているのだが、作品に出来不出来がある。」「「火屋」には票を入れることができなかった。」
安岡章太郎	53歳	―	0
舟橋聖一	69歳	―	0
選評出典：『芥川賞全集　第十巻』昭和57年/1982年11月・文藝春秋刊　再録（初出：『文藝春秋』昭和49年/1974年3月号）