遠田潤子（とおだじゅんこ）-直木賞候補作家｜直木賞のすべて

直木賞のすべて

第163回

＝受賞者＝
馳　星周

＝候補者＝
伊吹有喜
今村翔吾
澤田瞳子
遠田潤子

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Last Update●[R5]2023/7/18

	Toda Junko
	生没年月日【注】	昭和41年/1966年☆月☆日～
	経歴	大阪府生まれ。関西大学文学部独逸文学科卒。平成21年/2009年に「月桃夜」で日本ファンタジーノベル大賞を受賞し作家デビュー。
	受賞歴・候補歴	第21回日本ファンタジーノベル大賞（平成21年/2009年）「月桃夜」 \|候補\| 第15回大藪春彦賞（平成24年/2012年度）『アンチェルの蝶』第1回未来屋小説大賞（平成29年/2017年）『冬雷』 \|候補\| 第71回日本推理作家協会賞［長編および連作短編集部門］（平成30年/2018年）『冬雷』 \|候補\| 第22回大藪春彦賞（令和1年/2019年度）『ドライブインまほろば』 \|候補\| 第163回直木賞（令和2年/2020年上期）『銀花の蔵』
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第163回候補

『銀花(ぎんか)の蔵(くら)』（令和2年/2020年4月・新潮社刊）

媒体・作品情報

作品名別表記	奥付ルビ有り「ぎんか」「くら」
印刷/発行年月日	発行令和2年/2020年4月25日
発行者等	発行者佐藤隆信　印刷所株式会社光邦　製本所加藤製本株式会社
発行所	株式会社新潮社（東京都）			形態	四六判　上製
装幀/装画等	装画長光雅世　装幀新潮社装幀室
総ページ数	325	表記上の枚数	―	基本の文字組（1ページ当り）	43字 ×20行 ×1段
本文ページ	1～325 （計325頁）	測定枚数	627枚

書誌

書下ろし

令和4年/2022年11月・新潮社／新潮文庫『銀花の蔵』

選評の概要

この回の全概要　見方・注意点

候補者　遠田潤子　54歳
選考委員		評価	行数	評言
浅田次郎	68歳	■	20	「おそらく精密な設計図を引いているのだろうが、書きながら際限なく想像が膨らんで、むしろ制御することに苦心してしまったのではあるまいか。具体的には、これだけ多角的にぎっしりと詰めこんだストーリーを、主人公の一視点で描き切るには手法上の無理がある。」
宮部みゆき	59歳	△	25	「（引用者注：「じんかん」と）甲乙つけ難い秀作でした。」「陰の中心人物は母親の美乃里でしょう。この女性像は出色ですし、彼女のこしらえる料理の何と美味しそうなことよ！」「選考会で「この小説には外部がない」「この一家が町の人々からどう見られているのかという意識がない」というご意見に、ちょっとぐうの音も出なくなりました。」
北方謙三	72歳	■	25	「力作という印象で書けてはいるが、主人公の晩年になってくると、急いだという感じが強くなる。すると老境における感慨が、ありきたりのものに思えてしまうのだ。はじめに座敷童が出てきたが、それから先はなにかの象徴のように昇華されていて、そのあたりは手堅い力量を感じさせた。」
桐野夏生	68歳	■	20	「揺れ幅のなさは、確かに連続テレビ小説のようではあるが、日常の連なりのそれではない。人間ってそういうものだろうか、と疑問が浮かぶのは、銀花の半生を描こうとするあまり、年月を経過させることに囚われているせいではないか。」
伊集院静	70歳	―	0
角田光代	53歳	■	25	「冒頭に、座敷童の頭蓋骨が出てきて、その不気味さに一気に引きこまれた。醤油蔵のある山尾家には理不尽で不可解な事故や事件が次々と起こるのだが、その不気味さがあんまり生きておらず、いい話に変換されていくのが惜しいと私は思った。重要な秘密が明かされるとき話者が変わるのも、その部分だけあらすじのように平坦になってしまう。」
高村薫	67歳	○	19	「人がいくらか都合よく死に過ぎる点や、主人公の父母にリアリティがない点など、拙さはあるが、「夾竹桃」や「紅茶に浸したパンの耳」といった印象に残る比喩は、作者の人間観察眼の確かさの証であろう。どこにでもいそうな市井の人間が、小説のなかで無二の顔をもって立ち上がってくる――これが、詰まるところ人間を描くということである。」
林真理子	66歳	■	12	「面白く読んだが、ややひねり過ぎたか、登場人物すべての人が秘密を抱えているため、途中から息苦しくなってくる。」「ストーリーの都合よく、すぐに秘密が解かれていくのも気になった。」
三浦しをん	43歳	■	24	「全編に綿密な計算が働いており、しかしそれを計算と思わせぬ語り口と熱量があるので、クライマックスの怒濤の真相畳みかけにも納得させられる。ただ、「この世界には雀醤油の一家とその関係者しか存在しないのか？」と感じたのも事実」
選評出典：『オール讀物』令和2年/2020年9・10月合併号

文量
長篇
章立て
「序章　竹の秋」「1　一九六八年夏」「2　一九六八年秋～一九七三年」「3　一九七四年～一九七六年」「4　一九七七年～一九八二年」「5　一九八三年～二〇一八年春」「終章　竹の春」
時代設定	場所設定
［同時代］～1968年～2018年	大阪～奈良
登場人物
●山尾銀花（小学生～醤油蔵の跡継ぎへ） ●尚孝（銀花の父親、醤油蔵の跡継ぎ、画家志望） ●美乃里（銀花の母親） ●多鶴子（尚孝の母親） ●桜子（尚孝の年の離れた妹） ●大原剛（醤油蔵の杜氏の息子）

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