雫井脩介（しずくいしゅうすけ）-直木賞候補作家

第168回

＝受賞者＝
小川　哲
千早　茜

＝候補者＝
一穂ミチ
雫井脩介
凪良ゆう

Last Update●[R5]2023/06/16

	Shizukui Shusuke
	生没年月日【注】	昭和43年/1968年11月14日～
	経歴	愛知県生まれ。専修大学文学部卒。出版社や社会保険労務士事務所に勤務。平成11年/1999年、新潮ミステリー倶楽部賞を受賞して作家デビュー。
	受賞歴・候補歴	第4回新潮ミステリー倶楽部賞（平成11年/1999年）「栄光一途」 \|候補\| 第4回大藪春彦賞（平成13年/2001年度）『虚貌』第7回大藪春彦賞（平成16年/2004年度）『犯人に告ぐ』 \|候補\| 第26回吉川英治文学新人賞（平成16年/2004年度）『犯人に告ぐ』 \|第7位\| 第2回2005年本屋大賞（平成17年/2005年）『犯人に告ぐ』 \|候補\| 第7回山田風太郎賞（平成28年/2016年）『望み』 \|候補\| 第168回直木賞（令和4年/2022年下期）『クロコダイル・ティアーズ』
	サブサイトリンク	文学賞の世界▼全26件

『火(ひ)の粉(こ)』（平成15年/2003年2月・幻冬舎刊）

書誌

平成15年/2003年6月・幻冬舎／幻冬舎スタンダード『火の粉』

平成16年/2004年8月・幻冬舎／幻冬舎文庫『火の粉』

第129回推薦候補

大衆選考会での推薦

推薦者	推薦日	推薦文
Michi	平成15年/2003年3月29日	（なし）

『犯人(はんにん)に告(つ)ぐ』（平成16年/2004年7月・双葉社刊）

書誌

平成19年/2007年9月・双葉社／双葉文庫『犯人に告ぐ』(上)(下)

吉川英治文学新人賞 第26回候補

選評の概要

この回の全概要　見方・注意点

候補者　雫井脩介　36歳
選考委員		評価	行数	評言
浅田次郎	53歳	■	5	「堅実さも小説家の美徳であると言いたい。前半の鋭利さとダイナミズムが後半で失速した感があり、強く推すことはできなかった。」
伊集院静	55歳	―	0
大沢在昌	48歳	□	4	「惜しいところだった。受賞二作の評価がとび抜けたため、得票的には次点であった。しかしすぐれた警察小説である。」
高橋克彦	57歳	―	0
宮部みゆき	44歳	◎	15	「残念ながら次点に終わった『犯人に告ぐ』には、さまざまな点で作者の勇気を感じました。」「賞讃すべき点は多々ありました。本来、もっと受賞作に肉薄して健闘することができたはずなのに、そこに届かなかったのは、強く推しつつも、劇場型捜査という画期的なギミックを活かし切れなかったのではないかという指摘に、弱気になってしまった私の責任です。」
選評出典：『群像』平成17年/2005年5月号

第132回推薦候補

大衆選考会での推薦

推薦者	推薦日	推薦文
藤倉薫	平成16年/2004年12月16日	伊坂さんと恩田さんにもとってもらいたいんですが、今回は『犯人に告ぐ』が良いと思います。『このミス！』７位には驚きましたが。もっと上に行くと思っていたので。ラインナップされている鹿島田真希『白バラ四姉妹殺人事件』には芥川賞を取ってもらいたいです。すいません、書いてから思い出しました。『白バラ四姉妹殺人事件』は、芥川賞としては前期の作品(初出が「新潮」3月号）なんですね。

第168回候補

『クロコダイル・ティアーズ』（令和4年/2022年9月・文藝春秋刊）

媒体・作品情報

印刷/発行年月日	発行令和4年/2022年9月30日（第1刷）
発行者等	発行者花田朋子　印刷所凸版印刷　製本所大口製本　組版ＬＵＳＨ
発行所	株式会社文藝春秋（東京都）			形態	四六判　上製
装幀/装画等	装画粟津泰成　装丁大久保明子
総ページ数	331	表記上の枚数	―	基本の文字組（1ページ当り）	43字 ×18行 ×1段
本文ページ	3～331 （計329頁）	測定枚数	579枚

書誌

初出『オール讀物』令和4年/2022年1月号～8月号

選評の概要

この回の全概要　見方・注意点

候補者　雫井脩介　54歳
選考委員		評価	行数	評言
浅田次郎	71歳	●	8	「サスペンス・ドラマの構造である。それは現代的な文学の手法としてはむろん可とするべきであるが、やはり本作に関してはあからさまに過ぎたと思えた。」
北方謙三	75歳	■	21	「舅と嫁の関係性など、いささか古風な情念が漂うが、鎌倉とか陶磁器店とかが、背景としてよく似合っていた。ただ、殺人の設定が、やや安直な感じがした。」「私は、結末で真相が明確にならないことに、かなりの不満を抱いた。」
宮部みゆき	62歳	△	26	「まずカタカナのタイトルで損をしていると感じました。」「選考会で、私はこの作品を「無自覚な犯罪者が無自覚だからこそしれっと成し遂げてしまった完全犯罪の話」と解釈して、他の委員の皆さんに驚かれました。」「想代子にまるっとしてやられる土岐屋吉平側の人びとにリアリティがあり、読んでいるうちに親近感を覚えてしまったので、ラストが本当に気の毒すぎてつらかった。」
高村薫	69歳	●	15	「オーナー一家が次々に破滅してゆく展開に続くのは、この嫁はいったい何者だったのかという種明かしでなく、自分には何の悪意も作為もなかったという嫁の視点の後日談である。奇をてらう余り、小説の着地点そのものが失われてしまっている。」
伊集院静	72歳	―	0
三浦しをん	46歳	■	19	「たとえ殺人事件は起きなくとも、こういった不信や齟齬はどんな人間関係にも生じうると実感できた。（ここからネタバレです）ただ、最後だけ三人称の視点人物が想代子になるのは、「信頼できない語り手」ということだとしても、想代子が語っていることが真相だとしても、うまく効果を発揮しきれていない気がした。」
林真理子	68歳	●	11	「ミステリーではなく、心理小説として読むのだったらもっとじわじわと迫ってこなくてはならない。また嫁の行動に、主観を入れていくのは、あきらかに読者を誘導している。これはルール違反であろう。」
角田光代	55歳	■	19	「想代子の涙は本物だったのかという疑念によって、現実の見えかたがまるでかわっていくさまが、薄気味悪くも強い牽引力となって先を読ませるが、ラストで想代子の視点に転換してのち、何か肩透かしを食らったような気になってしまった。」
桐野夏生	71歳	■	15	「やや無理に話を作っているきらいがある。」「疑いを助長するように書き過ぎなければ、面白い心理小説になったのでは、と思う。」
選評出典：『オール讀物』令和5年/2023年3・4月合併号

文量
長篇
章立て
「1」～「18」
時代設定	場所設定
［同時代］	神奈川県鎌倉
登場人物
●久野貞彦（陶磁器店〈土岐屋吉平〉店主、60代） ●暁美（貞彦の妻） ●康平（貞彦と暁美の息子、〈土岐屋吉平〉の跡継ぎ） ●想代子（康平の妻） ●那由太（康平と想代子の息子、3歳） ●隈本重邦（想代子の昔の交際相手） ●塚田東子（暁美の姉、雑貨店経営、元エッセイストとして活躍） ●辰也（東子の夫、元ギタリスト）