芥川賞のすべて・のようなもの
第37回
  • =受賞者=
  • 菊村 到
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Last Update[H26]2014/7/31

菊村到
Kikumura Itaru
生没年月日【注】 大正14年/1925年5月5日~平成11年/1999年4月3日
受賞年齢 32歳2ヵ月
経歴 本名=戸川雄次郎。神奈川県平塚市生まれ。早稲田大学文学部英文学科卒。読売新聞社入社。社会部、文化部の記者として活動し、昭和32年/1957年退社。父親は作家の戸川貞雄。
受賞歴・候補歴
  • |候補| 第32回芥川賞(昭和29年/1954年下期)「受胎告知」戸川雄次郎名義
  • |候補| 第1回中央公論新人賞(昭和31年/1956年)「バロン・バロング」戸川雄次郎名義
  • 第3回文學界新人賞(昭和32年/1957年)「不法所持」
  • 第37回芥川賞(昭和32年/1957年上期)「硫黄島」
  • |候補| 第37回芥川賞(昭和32年/1957年上期)「不法所持」
備考
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芥川賞 第32回候補  一覧へ

じゅたいこくち
受胎告知」(『作品』昭和29年/1954年12月号)戸川雄次郎名義
媒体・作品情報
誌名 「作品」  別表記表紙・奥付 「「現象」改題」併記
巻号 第8号  別表記12月号
印刷/発行年月日 印刷 昭和29年/1954年11月10日 発行 昭和29年/1954年11月15日
発行者等 編集兼発行人 古賀孝之 編集所 (杉浦方)(東京都) 印刷人 堀内文治郎 印刷所 堀内印刷所(東京都)
発行所 作品同人會(東京都) 発売元 三笠書房(東京都)
総ページ数 96 表記上の枚数 目次 90枚 基本の文字組
(1ページ当り)
30字
×26行
×2段
本文ページ 2~24
(計23頁)
測定枚数 83
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書誌
>>昭和33年/1958年2月・六興出版部刊『受胎告知』所収/菊村到名義
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候補者 戸川雄次郎 男29歳
選考委員 評価 行数 評言
井上靖
男47歳
3 「生硬さに於て(引用者中略)躊躇させられるものがあった。」
佐藤春夫
男62歳
0  
丹羽文雄
男50歳
0  
川端康成
男55歳
2 「今後期待する。」
宇野浩二
男63歳
5 「なかなか手のこんだ作品ではあるが、よくある男女の面倒な関係を、いやに物体ぶって、もってまわった筆法で、書いてあるだけの物である。」
石川達三
男49歳
8 「私は(引用者中略)推したが、(引用者中略)多数の同意を得るには至らなかった。」「川上、戸川両君は正面からぶつかっている。私はこの方に好感をもった。」
瀧井孝作
男60歳
0  
舟橋聖一
男50歳
0  
選評出典:『芥川賞全集 第五巻』昭和57年/1982年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和30年/1955年3月号)
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芥川賞 第37受賞  一覧へ

いおうとう
硫黄島」(『文學界』昭和32年/1957年6月号)
媒体・作品情報
誌名 「文學界」  別表記表紙 「文藝春秋編集」併記
巻号 第11巻 第6号  別表記6月号
作品名 別表記 「硫島」
印刷/発行年月日 印刷 昭和32年/1957年5月20日 発行 昭和32年/1957年6月1日
発行者等 編集人 上林吾郎 発行人 池島信 印刷人 長久保慶一 印刷所 大日本印刷株式会社
発行所 文藝春秋新社(東京都)
総ページ数 184 表記上の枚数 目次 70枚 基本の文字組
(1ページ当り)
31字
×26行
×2段
本文ページ 40~57
(計18頁)
測定枚数 68
上記のうち紫の太字はブラウザでの表示が困難な異体字(主に正字など)
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書誌
>>『文藝春秋』昭和32年/1957年9月号
>>昭和32年/1957年9月・文藝春秋新社刊『硫黄島』所収
>>昭和34年/1959年☆月・角川書店/角川文庫『硫黄島』所収
>>昭和35年/1960年11月・筑摩書房刊『新選現代日本文学全集33 戦後小説集2』所収
>>昭和35年/1960年8月・東都書房刊『日本推理小説大系 第12巻 有馬頼義・新田次郎・菊村到集』所収
>>昭和36年/1961年3月・筑摩書房/新鋭文学叢書『菊村到集』所収
>>昭和38年/1963年8月・現代芸術社刊『芥川賞作品全集 第4巻』所収
>>昭和39年/1964年☆月・集英社刊『新日本文学全集 第16 沢野久雄・菊村到集』所収
>>昭和40年/1965年8月・東都書房刊『戦争の文学4』所収
>>昭和41年/1966年2月・新潮社/新潮文庫『硫黄島・あゝ江田島』所収
>>昭和42年/1967年☆月・講談社刊『菊村到戦記文学集(上) 硫黄島』所収
>>昭和48年/1973年☆月・成瀬書房刊『硫黄島』[特装版]所収
>>昭和57年/1982年6月・文藝春秋刊『芥川賞全集 第5巻』所収
>>平成17年/2005年9月・角川書店/角川文庫『硫黄島』所収
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候補者 菊村到 男32歳
選考委員 評価 行数 評言
石川達三
男52歳
18 「多少の異論はあったけれども、大体満場一致と云ってもいいような形で、菊村君にきまった。」「今後相当多作する人ではないかという予想をした選者も二三あった。私もそう思う。」「巧みなストーリーライターではあるが、(引用者中略・注:質的な)浅さから逃れている。もっと奥ふかい、不気味なものを描いている。」
舟橋聖一
男52歳
30 「菊村到の受賞は、妥当だ。この人の作品の素材となっている知識は、雑ぱくのようでいて、あいまいではない。」「うるささがなく、適度に整理されているから、推理小説とはちがった知的な印象をあたえるのだろう。」「菊村の二作のうち、「硫黄島」が多数決で入賞したが、私は格別甲乙を附し難かった。」「私は翌日の新聞ではじめて菊村の素性を知ったような次第である。従って、文壇血統が物を云った縁故入賞ではない。」
丹羽文雄
男52歳
7 「これほど小説作りに上手になっているのには、おどろいたが、「文學界」に発表していた当時からこの素質はあった。文壇の姑根性に毒されず、どしどし書きまくってもらいたい。」
川端康成
男58歳
13 「(引用者注:他の候補作は)あまりに古風であったために、議論のしようもなく、菊村氏に決定したわけである。」「その他の候補作といちじるしく異っていた。現在の小説作法による小説である。したがって、作者が「小説作り」であるという感もないではない。」「要は作者が小説を作らないではいられないところまで、どういう風に追われて来たかの問題であろう。」
佐藤春夫
男65歳
25 「僕は菊村到一辺倒で、問題は「不法所持」か「硫黄島」かにのみあった。」「ドライな文体で針金細工のように構成された二作は甚だ斬新である。」「「不法所持」には映画物語風な通俗性があって、新しい大衆小説を見るような面白さがある。」「僕は二作のうちでは「硫黄島」を採る。」「正に自然主義描写の残滓を洗い落して新生面を拓いた、簡潔に重量感のあるこの好短篇(引用者注:「硫黄島」)を、僕は芥川賞近年のヒットだと思っている。」
井上靖
男50歳
24 「うまいという点で、他の候補作を引きはなしていた。菊村氏の二篇の中では、私は「硫黄島」の方をいいと思った。」「この種の作品はとかく観念的なものになり易いが、それをこれだけ書きこなした手腕は買っていいだろう。」「「不法所持」は、成功すれば、「硫黄島」より気の利いた、本当の意味で新しいものになったろうが、書き切れているとはいえない。」「この作者は今後どしどし書ける人である。」
中村光夫
男46歳
17 「候補作のなかで、菊村氏が抜群の才を感じさせるのは事実ですが、氏の作風にはかなり疑問の点があります。「不法所持」は力作であるだけに、物語をつくりあげる才能の逞しさとともに、欠点もはっきりでています。(引用者中略)普通の犯罪小説以上のものを狙った作者の意図は納得できても、安手なつくりものという印象を拭いきれません。」「「硫黄島」はそれにくらべると、力が弱い代りによくまとまっていて、厭味もないので、授賞作としてはこの方が適当と思いました。」
瀧井孝作
男63歳
11 「(引用者注:「残菊抄」の)次に(引用者中略)「不法所持」が佳いと思った。殺人事件の犯人を探す、探偵小説のようだが、しかし人物の心持が主に描かれて、人物の心持を追求する筆もよく伸びて、面白いと思った。」「「硫黄島」は、「不法所持」にくらべると、描写の肉附が手薄のようで、か細い弱々しい感じで、話の筋はいろいろ引っぱられるが、線だけで淡い感じだ。」
宇野浩二
男65歳
23 「『不法所持』は、最初は、新聞種だなと思って、いやいや読みはじめたが、読んでゆくうちに、突飛な話がつぎつぎに出てくるのに、ハッタリめいた所があるのに、なかなか『味』があるので、文学的に楽しみながら読みつづけた、が、終りのところで、ちょいと興ざめがした、が、「これなら、」と思った。」「(引用者注:「不法所持」「硫黄島」とも)大へんカサカサした乾燥した筆で書きながら、そのために却って効果がある。これはこれらの小説に重要な事である。唯、この二篇の小説だけではこれからの作者がどういう道をゆくかはわからない。」
選評出典:『芥川賞全集 第五巻』昭和57年/1982年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和32年/1957年9月号)
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芥川賞 第37回候補  一覧へ

ふほうしょじ
不法所持」(『文學界』昭和32年/1957年3月号)
媒体・作品情報
誌名 「文學界」  別表記表紙 「文藝春秋編集」併記
巻号 第11巻 第3号  別表記3月号
作品名 別表記 「不法持」
印刷/発行年月日 印刷 昭和32年/1957年2月20日 発行 昭和32年/1957年3月1日
発行者等 編集人 中川宗一 発行人 池島信 印刷人 長久保慶一 印刷所 大日本印刷株式会社
発行所 文藝春秋新社(東京都)
総ページ数 188 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
31字
×26行
×2段
本文ページ 8~33
(計26頁)
測定枚数 99
上記のうち紫の太字はブラウザでの表示が困難な異体字(主に正字など)
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書誌
>>昭和32年/1957年9月・文藝春秋新社刊『硫黄島』所収
>>昭和32年/1957年10月・大日本雄弁会講談社刊『創作代表選集20 昭和32年前期』所収
>>昭和34年/1959年☆月・角川書店/角川文庫『硫黄島』所収
>>昭和36年/1961年3月・筑摩書房/新鋭文学叢書『菊村到集』所収
>>昭和39年/1964年☆月・集英社刊『新日本文学全集 第16 沢野久雄・菊村到集』所収
>>昭和48年/1973年☆月・成瀬書房刊『硫黄島』[特装版]所収
>>平成17年/2005年9月・角川書店/角川文庫『硫黄島』所収
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
候補者 菊村到 男32歳
選考委員 評価 行数 評言
石川達三
男52歳
18 「多少の異論はあったけれども、大体満場一致と云ってもいいような形で、菊村君にきまった。」「今後相当多作する人ではないかという予想をした選者も二三あった。私もそう思う。」「巧みなストーリーライターではあるが、(引用者中略・注:質的な)浅さから逃れている。もっと奥ふかい、不気味なものを描いている。」
舟橋聖一
男52歳
30 「菊村到の受賞は、妥当だ。この人の作品の素材となっている知識は、雑ぱくのようでいて、あいまいではない。」「うるささがなく、適度に整理されているから、推理小説とはちがった知的な印象をあたえるのだろう。」「菊村の二作のうち、「硫黄島」が多数決で入賞したが、私は格別甲乙を附し難かった。」「私は翌日の新聞ではじめて菊村の素性を知ったような次第である。従って、文壇血統が物を云った縁故入賞ではない。」
丹羽文雄
男52歳
7 「これほど小説作りに上手になっているのには、おどろいたが、「文學界」に発表していた当時からこの素質はあった。文壇の姑根性に毒されず、どしどし書きまくってもらいたい。」
川端康成
男58歳
13 「(引用者注:他の候補作は)あまりに古風であったために、議論のしようもなく、菊村氏に決定したわけである。」「その他の候補作といちじるしく異っていた。現在の小説作法による小説である。したがって、作者が「小説作り」であるという感もないではない。」「要は作者が小説を作らないではいられないところまで、どういう風に追われて来たかの問題であろう。」
佐藤春夫
男65歳
25 「僕は菊村到一辺倒で、問題は「不法所持」か「硫黄島」かにのみあった。」「ドライな文体で針金細工のように構成された二作は甚だ斬新である。」「「不法所持」には映画物語風な通俗性があって、新しい大衆小説を見るような面白さがある。」「僕は二作のうちでは「硫黄島」を採る。」「正に自然主義描写の残滓を洗い落して新生面を拓いた、簡潔に重量感のあるこの好短篇(引用者注:「硫黄島」)を、僕は芥川賞近年のヒットだと思っている。」
井上靖
男50歳
24 「うまいという点で、他の候補作を引きはなしていた。菊村氏の二篇の中では、私は「硫黄島」の方をいいと思った。」「この種の作品はとかく観念的なものになり易いが、それをこれだけ書きこなした手腕は買っていいだろう。」「「不法所持」は、成功すれば、「硫黄島」より気の利いた、本当の意味で新しいものになったろうが、書き切れているとはいえない。」「この作者は今後どしどし書ける人である。」
中村光夫
男46歳
17 「候補作のなかで、菊村氏が抜群の才を感じさせるのは事実ですが、氏の作風にはかなり疑問の点があります。「不法所持」は力作であるだけに、物語をつくりあげる才能の逞しさとともに、欠点もはっきりでています。(引用者中略)普通の犯罪小説以上のものを狙った作者の意図は納得できても、安手なつくりものという印象を拭いきれません。」「「硫黄島」はそれにくらべると、力が弱い代りによくまとまっていて、厭味もないので、授賞作としてはこの方が適当と思いました。」
瀧井孝作
男63歳
11 「(引用者注:「残菊抄」の)次に(引用者中略)「不法所持」が佳いと思った。殺人事件の犯人を探す、探偵小説のようだが、しかし人物の心持が主に描かれて、人物の心持を追求する筆もよく伸びて、面白いと思った。」「「硫黄島」は、「不法所持」にくらべると、描写の肉附が手薄のようで、か細い弱々しい感じで、話の筋はいろいろ引っぱられるが、線だけで淡い感じだ。」
宇野浩二
男65歳
23 「『不法所持』は、最初は、新聞種だなと思って、いやいや読みはじめたが、読んでゆくうちに、突飛な話がつぎつぎに出てくるのに、ハッタリめいた所があるのに、なかなか『味』があるので、文学的に楽しみながら読みつづけた、が、終りのところで、ちょいと興ざめがした、が、「これなら、」と思った。」「(引用者注:「不法所持」「硫黄島」とも)大へんカサカサした乾燥した筆で書きながら、そのために却って効果がある。これはこれらの小説に重要な事である。唯、この二篇の小説だけではこれからの作者がどういう道をゆくかはわからない。」
選評出典:『芥川賞全集 第五巻』昭和57年/1982年6月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和32年/1957年9月号)
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