芥川賞のすべて・のようなもの
第41回
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Last Update[H26]2014/6/20

斯波四郎
Shiba Shiro
生没年月日【注】 明治43年/1910年4月7日~平成1年/1989年4月29日
受賞年齢 49歳3ヵ月
経歴 本名=柴田四郎。山口県阿東町生まれ。旧制第五高校理科甲類中退。明治大学新聞高等研究科で学び、昭和12年/1937年東京日日新聞社入社。従軍記者、『サンデー毎日』記者を経るかたわら、丹羽文雄主宰の『文学者』同人となり創作を続ける。昭和30年/1955年には同人誌『立像』を創刊。
受賞歴・候補歴
  • 第41回芥川賞(昭和34年/1959年上期)「山塔」
備考
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芥川賞 第41受賞  一覧へ

さんとう
山塔」(『早稲田文学』昭和34年/1959年5月号)
媒体・作品情報
誌名 「早稲田文学」  別表記表紙 「丹羽文雄 石川達三 火野葦平・責任編集」併記
巻号 第20巻 第5号  別表記5月特別号
印刷/発行年月日 発行 昭和34年/1959年5月1日
発行者等 編集人 岩本常雄 発行人 梅田二郎 印刷人 松村 保 印刷所 明和印刷株式会社(東京都)、カタログ社(東京都)
発行所 株式会社雪華社(東京都)
総ページ数 240 表記上の枚数 目次 80枚 基本の文字組
(1ページ当り)
31字
×26行
×2段
本文ページ 210~231
(計22頁)
測定枚数 82
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書誌
>>昭和34年/1959年8月・講談社刊『創作代表選集24 昭和34年前期』所収
>>『文藝春秋』昭和34年/1959年9月号
>>昭和34年/1959年9月・文藝春秋新社刊『山塔』所収
>>昭和35年/1960年9月・筑摩書房刊『新選現代日本文学全集32 戦後小説集1』所収
>>昭和39年/1964年7月・学習研究社/芥川賞作家シリーズ『緑の島』所収
>>昭和57年/1982年7月・文藝春秋刊『芥川賞全集 第6巻』所収
>>平成6年/1994年11月・ぎょうせい刊『ふるさと文学館 第41巻 山口』所収
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候補者 斯波四郎 男49歳
選考委員 評価 行数 評言
石川達三
男54歳
10 「私はもっと難行するだろうと思っていたが、「山塔」の良さを認める人が多かったので、予想されたほどむつかしくなかった。」「娯楽性の少い小説で、殊に冒頭のあたり解りにくいが、後半は冴えている。」「類似品のすくない作風である。リアリズム万能とでも云うようなちかごろの文壇に、こういう作家の登場はなかなか意味ふかいものがある。」「(面白かった)ということ以外の別のものがある。それが貴重なものだと私は思う。」
丹羽文雄
男54歳
31 「芥川賞にいつかこのような文学があらわれることを、私はながいあいだ待っていた。」「特異な作家であり、今日彼と類似をもとめることはまったく不可能である。」「「山塔」にも、かなりひとり合点のところがある。が、それを埋合わせするに十分な魅力がある。」「たくさん書ける作家ではない。ジャーナリズムの要求に応じて書きとばすようになれば、斯波四郎は霧散してしまうだろう。」
舟橋聖一
男54歳
17 「彼、柴田四郎の長く鬱屈したものが、曾て一度も外側へ溢れ出ず、内向また内向して、手工芸風に凝結した一例である。」「古風であるかと思えば、新しい。それが渾然としていると云っては、賞めすぎだ。むしろ、畸形である。」「当夜の会では、井上(靖)氏が「山塔」にあまり力コブを入れるので、(引用者中略)その分だけ減点したくなったのは事実だ。」
井伏鱒二
男61歳
14 「個性があるという点では(引用者中略・注:一票を)入れたいが、ところどころ表現に小さな無理があるので迷わされた。」「(引用者注:「山塔」と「三十六号室」の)二つのうち、どちらかが取りあげられる話になったらそれに賛成する。――私は病気で銓衡会に出席できなかったので、そういう意味のことを(引用者中略)電話で伝えておいた。」「文章に無理があると私が解したのは、人の使い古した言葉を避けようとして、それの度が過ぎているためかもわからない。」
中村光夫
男48歳
15 「地味でわがままな作品ですが、とりつきにくい代りに、そこに展開される世界は、はっきり作者のものです。」「人間がいるとか、人生が感じられるとかいう評語はそこからでるわけです。」「小説として欠点はいろいろあっても、作者は小説を書かずにいられぬ人であり、「山塔」はその必然性を充分感じさせます。問題は、このモチイフの必然性だけが裸で歩いているような作風にどう肉をつけて行くかですが、受賞がこれを促す転機になればと思います。」
永井龍男
男55歳
16 「(引用者注:私は)「前半が脆いように感じたが」と、述べた」「中村光夫が「他の候補作は、小説の中に小説があるだけだが、この作品には人生がある」という意味の言葉を、微笑まじりに述べられたが、どうやらその評語が、授賞のメドをついているようだ。」
川端康成
男60歳
13 「私は「山塔」に同情を、さらにすすんで同感を寄せていた。しかし、委員の多くが「山塔」を推すだろうとは考えられなかったので、これは私の迂闊であった。」「心の描き出した世界であろうが、その心の歌のわりに、風景はややぼんやりとし、風景のなかの人物はさらにあいまいで、悪く言えば、この種の類型とも思え、全体に感傷がいちじるしい。けれども、純粋の心象に貫かれて、特異な魅力をこめている。このような作品が芥川賞に選ばれたことは私には意外であり、賛成であった。」
佐藤春夫
男67歳
20 「(引用者注:「谿間にて」「山塔」「ある異邦人の死」のうちから)第一位のものを決定するに困難を感じて、それは衆議によって決してもらうつもりで審査の席に出た。」「とっつきは悪いが、じっくり読むと底光りするものがある。少しく老人性センチメンタリズムのあるのが気になるが。その難を補って余りある独自の世界の創造がある。」
井上靖
男52歳
11 「優れた作品の持っている響きのようなものが、絶えずこちらの心に伝わって来た。この作品には、人間の執念の悲しさや憤ろしさが、特異な構成とスタイルの中に捉えられてあって、心理の深部のあやめの解きほぐし方はなかなか鮮やかである。」
瀧井孝作
男65歳
12 「何か面白い所もあるが、何かよくわからない、作者のひとり合点のような所もあった。」「よくわからないのは、未だ熟さない、こなれない、欠点もあると見た。ともかく、この人には妙な独自の何かがあると思った。何かがある点では好意を持つが……。」
宇野浩二
男67歳
7 「このぐらいなら、と思い、」「『山塔』が受賞したのは、「まず」と思う」
選評出典:『芥川賞全集 第六巻』昭和57年/1982年7月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和34年/1959年9月号)
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