芥川賞のすべて・のようなもの
第53回
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昭和40年/1965年上半期
(昭和40年/1965年7月19日決定発表/『文藝春秋』昭和40年/1965年9月号選評掲載)
選考委員  石川達三
男60歳
丹羽文雄
男60歳
瀧井孝作
男71歳
高見順
男58歳
石川淳
男66歳
井上靖
男58歳
中村光夫
男54歳
永井龍男
男61歳
舟橋聖一
男60歳
川端康成
男66歳
井伏鱒二
男67歳
選評総行数  35 25 40 48 19 26 33 28 32 38  
選評なし
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
津村節子 「玩具」
78
女37歳
14 20 8 5 5 8 12 4 8 10    
青木満 「影絵」
57
男20歳
0 0 2 3 0 2 3 3 0 0    
富士正晴 「徴用老人列伝」
51
男51歳
0 0 3 5 0 3 4 2 4 5    
立原正秋 「剣ヶ崎」
133
男39歳
13 0 7 8 3 3 9 7 5 7    
高橋光子 「蝶の季節」
84
女36歳
0 0 4 4 0 4 2 3 0 8    
森万紀子 「単独者」
82
女30歳
0 0 5 5 0 2 3 4 20 0    
黒部亨 「砂の関係」
102
男36歳
0 0 6 5 0 6 10 3 4 9    
清水幸義 「十津川」
69
男(40歳)
13 0 3 9 0 0 4 2 0 0    
阿部昭 「幼年詩篇」
83
男30歳
0 0 2 3 0 0 3 2 0 0    
      欠席
書面回答
            欠席
年齢/枚数の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『芥川賞全集 第七巻』昭和57年/1982年8月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和40年/1965年9月号)
1行当たりの文字数:26字


選考委員
石川達三男60歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
私は少数意見 総行数35 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
津村節子
女37歳
14 「まとまりの良い作品であって、夫婦の生活を二人きりの場で丹念に描いている。その限りではよく書けた作品だが、それ以上のものがない。そして文学とは(それ以上)のものを要求するものだと私は思う。」「この作品には大きさも無いし高い精神も見られない。」「前作「さい果て」の方が良かったように思う。」
青木満
男20歳
0  
富士正晴
男51歳
0  
立原正秋
男39歳
13 「私は最初から「十津川」と「剣ヶ崎」を推すつもりだった。当選二人でもいいと考えていた。」「いろいろな欠点があり、それははっきりして居るが、戦争にからむ人種問題という大きな主題を懸命になって追究した作者の努力を、私は文学の正道だと思う。」「当選作「玩具」とくらべて量感に於ても質感においても劣るとは思われない。」
高橋光子
女36歳
0  
森万紀子
女30歳
0  
黒部亨
男36歳
0  
清水幸義
男(40歳)
13 「私は最初から「十津川」と「剣ヶ崎」を推すつもりだった。当選二人でもいいと考えていた。」「文章は堅実で規格正しく、地味ではあるが信用できる。色気ぬき(原文傍点)で是だけの作品を書けるのは立派だ。当選作として大衆受けはしないが、この地道な努力は買うべきだと思った。」「この作品と当選作「玩具」とをくらべて、どちらに作品の幅、大きさ、匂い、文章の緊密さ、味わいの深さを感じるだろうか。」
阿部昭
男30歳
0  
  「今回の銓衡結果には、私は不満だった。」
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選考委員
丹羽文雄男60歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
読後感 総行数25 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
津村節子
女37歳
20 「「さい果て」より小粒だと思ったが、二、三日が経つとこまかく書きこまれた一つ一つが、豊饒な情感となって私の胸をひたすようになった。」「この種の文学を、私たちはともすればわすれ勝ちになっていたのではないか。誰が他にこのような小説が書けるだろうか。」「このひとの才能には端倪すべからざるものがある。」「私は小さすぎることは、「玩具」の場合それほどの罪ではないと思った。」
青木満
男20歳
0  
富士正晴
男51歳
0  
立原正秋
男39歳
0  
高橋光子
女36歳
0  
森万紀子
女30歳
0  
黒部亨
男36歳
0  
清水幸義
男(40歳)
0  
阿部昭
男30歳
0  
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選考委員
瀧井孝作男71歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
「玩具」もよい 総行数40 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
津村節子
女37歳
8 「随筆風の作だが、随筆風に書いて、これだけ潤いのあるのは佳い。前回の候補作「さい果て」(引用者中略)も佳かったので、この「玩具」も推してもよいと思った。」
青木満
男20歳
2 「十六歳の少年と二十五歳のその従姉との色事の話だが、ふざけたものだ。」
富士正晴
男51歳
3 「戦争中に、中国の江西省あたりの奥地で日本軍に徴用された苦力が老人ばかりだったというユーモアを描いてあった。」
立原正秋
男39歳
7 「大上段に振りかぶったような筆で、ちょっと芝居じみて、通俗小説のようで、素直にはいれなかった。もっと素朴に描いてあれば、よかった。」「前回の「薪能」も、文章はよかったが、小道具が多く作りすぎてあった。」
高橋光子
女36歳
4 「メルヘンのような話だが、筆にはどうも生彩がない。これは“活字が寝て居る”と云いたい。」
森万紀子
女30歳
5 「職場もすぐかえたり、少し投げやりな所、まだ半病者らしい女の気持はちょっと描けて居た。」
黒部亨
男36歳
6 「二人の中学生の心持の関係(ルビ:かかわり)も面白く、文章も平明で、ローカル・カラーの出た、一つのユーモアと見た。」
清水幸義
男(40歳)
3 「小説にも紀行にも程遠い、これは平凡な筆だ。」
阿部昭
男30歳
2 「幼少年時の思出の小品が三つあるが、どれもたわい(原文傍点)のないとりとめのないものだ。」
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選考委員
高見順男58歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
立原氏に力量 総行数48 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
津村節子
女37歳
5 「妻を(引用者注:良人と)同じ作家志望としないところに成功の一因がある。小説の最後がメデタシメデタシの観を呈しており、妥協的なようで、実は逆だ。」
青木満
男20歳
3 「早熟のあやうさ、年にふさわしくない閉塞性があやぶまれる。」
富士正晴
男51歳
5 「苦力に徴発された中国の老農民の姿を老巧の作者はあざやかに描いている。」「授賞作にするのは小粒だが、佳篇である。」
立原正秋
男39歳
8 「今回は入選作として(引用者中略)推す。話がいささかできすぎている感が(たとえこの話が事実としても)無いでもないが、小説に必要なこの物語性を、通俗的な軽さにしていないところにこの作者の力量がある。」「がっしりした骨格をそなえていて、将来がたのしみである。」
高橋光子
女36歳
4 「当節流行の俗っぽい「現代的」な性描写がでてきて、うんざりした。」
森万紀子
女30歳
5 「題材の奇異性のわりにおもしろくない。」「すべての普通人が単独者であることを証明する小説であったほうがいい。狂人の単独者は当り前のことである。」
黒部亨
男36歳
5 「巧みな起承転結で、細心すぎて説明過多のところもあるが、少年期を通して、人間の心理の機微を、人間そのもののマスクをはいだ、みにくく悲しい姿を、少年の原型を通して巧みに描いている。立原に次いでこれをとった。」
清水幸義
男(40歳)
9 「小説というより紀行文だとニベもなく言ってしまえない、何か心をひかれるものがあった。同時にそこに不満もまつわっている。」「語り手の「私」が無色透明なのもあじけなく、同じ意味で文章もまたもうすこし個性的であることが望まれる。」
阿部昭
男30歳
3 「幼年期から少年期への心の姿を素直に書いた小説で、その点では非のうちどころがないが、ほめどころもない。」
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石川達三
丹羽文雄
瀧井孝作
石川淳
井上靖
中村光夫
永井龍男
舟橋聖一
川端康成
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選考委員
石川淳男66歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
才能は認める 総行数19 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
津村節子
女37歳
5 「この書き方ではどうも狭すぎて小説の世界にはならないという憾みがある。しかしこの作者は前回にも「さい果て」を書いていて、その素質なり才能なりは認められてよい。」
青木満
男20歳
0  
富士正晴
男51歳
0  
立原正秋
男39歳
3 「デッチあげがいけないのではなく、それが十分にデッチあげの出来なかったところに作者の力の不足がある。」
高橋光子
女36歳
0  
森万紀子
女30歳
0  
黒部亨
男36歳
0  
清水幸義
男(40歳)
0  
阿部昭
男30歳
0  
  「今回は候補作に見るべきものがないようだから、該当作品ナシとするのが妥当であったかも知れない。」「しかし、賞は出すためにあるという建前からいって、ナシが何度も続くということは必ずしも妥当でない。賞を出すときに、賞という行事の性質上幾分無理をすることは必然だという考え方がある。この考え方もあながち捨てたものではない。」
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石川達三
丹羽文雄
瀧井孝作
高見順
井上靖
中村光夫
永井龍男
舟橋聖一
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選考委員
井上靖男58歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
黒部氏に新風 総行数26 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
津村節子
女37歳
8 「前作「さい果て」に見たはっとするような冴えた箇処はなかった。併し、夫婦間の心理的機微を描いて、この作者はいささかの危気もない。」「芥川賞が何らかの形で新人の新風を求めるものだとすれば、その点多少物足りぬ気がしないでもないが、作家としての将来性には何の不安もない。」
青木満
男20歳
2 「独自なものを持っていると思った。」
富士正晴
男51歳
3 「何の気負いもなく、危っけのない筆で徴用老人を描き、充分作者の人柄も出ていて面白かった。」
立原正秋
男39歳
3 「野心的な題材と組んだ力作ではあるが、作品の持つ粗さが気になった。」
高橋光子
女36歳
4 「着想の面白さに新鮮なものを感じたが、(引用者中略)エピローグが抜き差しならぬ欠点となっていて、折角のこの作品のよさが最後で台なしにされてしまったことは惜しい。」
森万紀子
女30歳
2 「独自なものを持っていると思った。」
黒部亨
男36歳
6 「私には面白かった。子供の世界を取り扱った作品であるが、そのまま大人の世界の諷刺にもなっていて、ただ一つの新風を感じさせられた作品であった。」「私はこの作品を推すつもりで委員会に出席した」
清水幸義
男(40歳)
0  
阿部昭
男30歳
0  
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他の選考委員
石川達三
丹羽文雄
瀧井孝作
高見順
石川淳
中村光夫
永井龍男
舟橋聖一
川端康成
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選考委員
中村光夫男54歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
「玩具」を推す 総行数33 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
津村節子
女37歳
12 「(引用者注:最後に残った「玩具」「剣ヶ崎」「砂の関係」のうち)一篇を授賞作に推すのは、どれも一長一短であるだけに骨の折れる仕事でした。」「扱われた世界が狭く、盆栽のような気がしますが、作品の底をながれる感情のこまやかさと明晰な理智は珍重すべき」「将来の可能性はともかく、現在眼の前にある作品について判断すれば、(引用者中略)一番完成していると思われました。」
青木満
男20歳
3 「主人公の幼さと作者の未熟が一体になっているところに(引用者注:「幼年詩篇」と)共通した欠点があります。」
富士正晴
男51歳
4 「しっかりした筆で、気持よく読めますが、(引用者中略)「列伝」などという題をつかうに及ばない軽い回想」
立原正秋
男39歳
9 「(引用者注:最後に残った「玩具」「剣ヶ崎」「砂の関係」のうち)一篇を授賞作に推すのは、どれも一長一短であるだけに骨の折れる仕事でした。」「物語をつくる力量においては一番すぐれていて、」「作品の野心的な拡がりに比して、細部が薄手で力の空転が惜しまれます。」
高橋光子
女36歳
2 「着想の面白さを終りに自分でこわしている」
森万紀子
女30歳
3 「強靭な文才を感じさせますが、思いつきに自分で溺れすぎているのは、一考を要します。」
黒部亨
男36歳
10 「(引用者注:最後に残った「玩具」「剣ヶ崎」「砂の関係」のうち)一篇を授賞作に推すのは、どれも一長一短であるだけに骨の折れる仕事でした。」「非のうちどころは少ないのですが、全体の背丈が低く、馴れた語り口がかえって、ものたりない感じをあたえます。」
清水幸義
男(40歳)
4 「しっかりした筆で、気持よく読めますが、(引用者中略)紀行文の形をとった小説と見るには工夫がたりません。」
阿部昭
男30歳
3 「主人公の幼さと作者の未熟が一体になっているところに(引用者注:「影絵」と)共通した欠点があります。」
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他の選考委員
石川達三
丹羽文雄
瀧井孝作
高見順
石川淳
井上靖
永井龍男
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選考委員
永井龍男男61歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
別の意義 総行数28 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
津村節子
女37歳
4 「あまり世界が狭すぎると思った。」「しかし、山気のないこうした作品に授賞されることも別の意義があるかも知れぬと、いまは思っている。」
青木満
男20歳
3 「技術的にほとんど同じこと(引用者注:過去を説明する個所の手法がきわめて旧套)が云えそうである。」「惜しい作品である。」
富士正晴
男51歳
2 「巧い小説だが、老練という印象であった。」
立原正秋
男39歳
7 「難かしい主題を捉えて息切れするところなく、一貫したスタイルを保った力量は高く買うべきであろう。」「席上数氏の口から作りごととか作りものという評語が出た。」
高橋光子
女36歳
3 「エピローグに至って、作者の不用意を露呈した。」「惜しい作品である。」
森万紀子
女30歳
4 「「単独者」の虚無は、引きずり込む力を持っていたが、主人公の過去を説明する個所の手法がきわめて旧套で作品を殺してしまった。」「惜しい作品である。」
黒部亨
男36歳
3 「持ってまわって素直ではないが、作品は新鮮かつ健康で、芯が一本通っている。短篇小説としての感覚にも狂いがないので、私はこれを推した。」
清水幸義
男(40歳)
2 「小説という意図のもとに書かれたかどうか。その辺があいまいに感じられた。」
阿部昭
男30歳
2 「過去のアルバムを開くような味があるが、その味が作品としての力を弱めているような処もある。」
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他の選考委員
石川達三
丹羽文雄
瀧井孝作
高見順
石川淳
井上靖
中村光夫
舟橋聖一
川端康成
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選考委員
舟橋聖一男60歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
森万紀子の得失 総行数32 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
津村節子
女37歳
8 「私の心の中の次点(引用者中略)だった。」「前回の「さい果て」につづく佳作だ。一年の間につづけて問題になるものを書くのは、力量があるからである。で、津村を推した。」
青木満
男20歳
0  
富士正晴
男51歳
4 「心に残った。」「意慾的ではあるが、授賞に到達するには、やや届かず、」
立原正秋
男39歳
5 「心に残った。」「意慾的ではあるが、授賞に到達するには、やや届かず、」
高橋光子
女36歳
0  
森万紀子
女30歳
20 「面白く読んだ。」「虚無という程大袈裟でなく、デカダンの味が匂う。私はそこに惹かれたが、こういう作品は万人向きとは云えないので、多分授賞にはなるまいと思った。」「果して銓衡の結果、森を推しているのは私一人であった。」「森はもっと、ストレートな書き方をすべきだと思う。」「私も森の将来は保証できないが、これから先が楽しみではある。」
黒部亨
男36歳
4 「心に残った。」「意慾的ではあるが、授賞に到達するには、やや届かず、」
清水幸義
男(40歳)
0  
阿部昭
男30歳
0  
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石川淳
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永井龍男
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選考委員
川端康成男66歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
特別の感動なし 総行数38 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
津村節子
女37歳
10 「前回の「さい果て」が相当の問題となったし、才能、情感、経歴も、取るに足る作家であるから、今回は逸したくなかった。」「この一編では少し弱いと思うというか、これは前回の「さい果て」とほぼ似た感じであった。」「しかし、それは作品が悪いという意味ではない。」
青木満
男20歳
0  
富士正晴
男51歳
5 「おもしろい部分があった。」「しかし、(引用者中略)授賞の佳作とならなかったのには、なにか足りないものがありそうだ。」
立原正秋
男39歳
7 「(引用者注:「玩具」に加えて授賞作を選ぶとすれば、「剣ヶ崎」「蝶の季節」「砂の関係」の)三編のいずれかだが、いずれも問題を含み、特色はありながら、しかも一長一短であった。」「もう少し長く書いてもよく、人種問題にもう少し痛切な血が通うとよかった。」
高橋光子
女36歳
8 「(引用者注:「玩具」に加えて授賞作を選ぶとすれば、「剣ヶ崎」「蝶の季節」「砂の関係」の)三編のいずれかだが、いずれも問題を含み、特色はありながら、しかも一長一短であった。」「おもしろい着想だが、その幻想を中途、特に終りでぶちこわし、フランス女流作家の言葉の短い引用は良心的であるにしても、無用ではなかったか。」
森万紀子
女30歳
0  
黒部亨
男36歳
9 「(引用者注:「玩具」に加えて授賞作を選ぶとすれば、「剣ヶ崎」「蝶の季節」「砂の関係」の)三編のいずれかだが、いずれも問題を含み、特色はありながら、しかも一長一短であった。」「一番無難」「しかし、(引用者中略)授賞の佳作とならなかったのには、なにか足りないものがありそうだ。」
清水幸義
男(40歳)
0  
阿部昭
男30歳
0  
  「今回の候補作にも、私は特別の感動をもって推薦したい作品はなかった。」「新しい傾向の作家はいくらかの群れをなして現われる時があったものだが、今はそういう時ではないのだろうか。私はそうとは信じたくないのだけれども。」
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他の選考委員
石川達三
丹羽文雄
瀧井孝作
高見順
石川淳
井上靖
中村光夫
永井龍男
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受賞者・作品
津村節子女37歳×各選考委員 
「玩具」
短篇 78
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三
男60歳
14 「まとまりの良い作品であって、夫婦の生活を二人きりの場で丹念に描いている。その限りではよく書けた作品だが、それ以上のものがない。そして文学とは(それ以上)のものを要求するものだと私は思う。」「この作品には大きさも無いし高い精神も見られない。」「前作「さい果て」の方が良かったように思う。」
丹羽文雄
男60歳
20 「「さい果て」より小粒だと思ったが、二、三日が経つとこまかく書きこまれた一つ一つが、豊饒な情感となって私の胸をひたすようになった。」「この種の文学を、私たちはともすればわすれ勝ちになっていたのではないか。誰が他にこのような小説が書けるだろうか。」「このひとの才能には端倪すべからざるものがある。」「私は小さすぎることは、「玩具」の場合それほどの罪ではないと思った。」
瀧井孝作
男71歳
8 「随筆風の作だが、随筆風に書いて、これだけ潤いのあるのは佳い。前回の候補作「さい果て」(引用者中略)も佳かったので、この「玩具」も推してもよいと思った。」
高見順
男58歳
5 「妻を(引用者注:良人と)同じ作家志望としないところに成功の一因がある。小説の最後がメデタシメデタシの観を呈しており、妥協的なようで、実は逆だ。」
石川淳
男66歳
5 「この書き方ではどうも狭すぎて小説の世界にはならないという憾みがある。しかしこの作者は前回にも「さい果て」を書いていて、その素質なり才能なりは認められてよい。」
井上靖
男58歳
8 「前作「さい果て」に見たはっとするような冴えた箇処はなかった。併し、夫婦間の心理的機微を描いて、この作者はいささかの危気もない。」「芥川賞が何らかの形で新人の新風を求めるものだとすれば、その点多少物足りぬ気がしないでもないが、作家としての将来性には何の不安もない。」
中村光夫
男54歳
12 「(引用者注:最後に残った「玩具」「剣ヶ崎」「砂の関係」のうち)一篇を授賞作に推すのは、どれも一長一短であるだけに骨の折れる仕事でした。」「扱われた世界が狭く、盆栽のような気がしますが、作品の底をながれる感情のこまやかさと明晰な理智は珍重すべき」「将来の可能性はともかく、現在眼の前にある作品について判断すれば、(引用者中略)一番完成していると思われました。」
永井龍男
男61歳
4 「あまり世界が狭すぎると思った。」「しかし、山気のないこうした作品に授賞されることも別の意義があるかも知れぬと、いまは思っている。」
舟橋聖一
男60歳
8 「私の心の中の次点(引用者中略)だった。」「前回の「さい果て」につづく佳作だ。一年の間につづけて問題になるものを書くのは、力量があるからである。で、津村を推した。」
川端康成
男66歳
10 「前回の「さい果て」が相当の問題となったし、才能、情感、経歴も、取るに足る作家であるから、今回は逸したくなかった。」「この一編では少し弱いと思うというか、これは前回の「さい果て」とほぼ似た感じであった。」「しかし、それは作品が悪いという意味ではない。」
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他の候補作
青木満
「影絵」
富士正晴
「徴用老人列伝」
立原正秋
「剣ヶ崎」
高橋光子
「蝶の季節」
森万紀子
「単独者」
黒部亨
「砂の関係」
清水幸義
「十津川」
阿部昭
「幼年詩篇」
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候補者・作品
青木満男20歳×各選考委員 
「影絵」
短篇 57
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三
男60歳
0  
丹羽文雄
男60歳
0  
瀧井孝作
男71歳
2 「十六歳の少年と二十五歳のその従姉との色事の話だが、ふざけたものだ。」
高見順
男58歳
3 「早熟のあやうさ、年にふさわしくない閉塞性があやぶまれる。」
石川淳
男66歳
0  
井上靖
男58歳
2 「独自なものを持っていると思った。」
中村光夫
男54歳
3 「主人公の幼さと作者の未熟が一体になっているところに(引用者注:「幼年詩篇」と)共通した欠点があります。」
永井龍男
男61歳
3 「技術的にほとんど同じこと(引用者注:過去を説明する個所の手法がきわめて旧套)が云えそうである。」「惜しい作品である。」
舟橋聖一
男60歳
0  
川端康成
男66歳
0  
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他の候補作
津村節子
「玩具」
富士正晴
「徴用老人列伝」
立原正秋
「剣ヶ崎」
高橋光子
「蝶の季節」
森万紀子
「単独者」
黒部亨
「砂の関係」
清水幸義
「十津川」
阿部昭
「幼年詩篇」
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候補者・作品
富士正晴男51歳×各選考委員 
「徴用老人列伝」
短篇 51
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三
男60歳
0  
丹羽文雄
男60歳
0  
瀧井孝作
男71歳
3 「戦争中に、中国の江西省あたりの奥地で日本軍に徴用された苦力が老人ばかりだったというユーモアを描いてあった。」
高見順
男58歳
5 「苦力に徴発された中国の老農民の姿を老巧の作者はあざやかに描いている。」「授賞作にするのは小粒だが、佳篇である。」
石川淳
男66歳
0  
井上靖
男58歳
3 「何の気負いもなく、危っけのない筆で徴用老人を描き、充分作者の人柄も出ていて面白かった。」
中村光夫
男54歳
4 「しっかりした筆で、気持よく読めますが、(引用者中略)「列伝」などという題をつかうに及ばない軽い回想」
永井龍男
男61歳
2 「巧い小説だが、老練という印象であった。」
舟橋聖一
男60歳
4 「心に残った。」「意慾的ではあるが、授賞に到達するには、やや届かず、」
川端康成
男66歳
5 「おもしろい部分があった。」「しかし、(引用者中略)授賞の佳作とならなかったのには、なにか足りないものがありそうだ。」
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他の候補作
津村節子
「玩具」
青木満
「影絵」
立原正秋
「剣ヶ崎」
高橋光子
「蝶の季節」
森万紀子
「単独者」
黒部亨
「砂の関係」
清水幸義
「十津川」
阿部昭
「幼年詩篇」
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候補者・作品
立原正秋男39歳×各選考委員 
「剣ヶ崎」
短篇 133
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三
男60歳
13 「私は最初から「十津川」と「剣ヶ崎」を推すつもりだった。当選二人でもいいと考えていた。」「いろいろな欠点があり、それははっきりして居るが、戦争にからむ人種問題という大きな主題を懸命になって追究した作者の努力を、私は文学の正道だと思う。」「当選作「玩具」とくらべて量感に於ても質感においても劣るとは思われない。」
丹羽文雄
男60歳
0  
瀧井孝作
男71歳
7 「大上段に振りかぶったような筆で、ちょっと芝居じみて、通俗小説のようで、素直にはいれなかった。もっと素朴に描いてあれば、よかった。」「前回の「薪能」も、文章はよかったが、小道具が多く作りすぎてあった。」
高見順
男58歳
8 「今回は入選作として(引用者中略)推す。話がいささかできすぎている感が(たとえこの話が事実としても)無いでもないが、小説に必要なこの物語性を、通俗的な軽さにしていないところにこの作者の力量がある。」「がっしりした骨格をそなえていて、将来がたのしみである。」
石川淳
男66歳
3 「デッチあげがいけないのではなく、それが十分にデッチあげの出来なかったところに作者の力の不足がある。」
井上靖
男58歳
3 「野心的な題材と組んだ力作ではあるが、作品の持つ粗さが気になった。」
中村光夫
男54歳
9 「(引用者注:最後に残った「玩具」「剣ヶ崎」「砂の関係」のうち)一篇を授賞作に推すのは、どれも一長一短であるだけに骨の折れる仕事でした。」「物語をつくる力量においては一番すぐれていて、」「作品の野心的な拡がりに比して、細部が薄手で力の空転が惜しまれます。」
永井龍男
男61歳
7 「難かしい主題を捉えて息切れするところなく、一貫したスタイルを保った力量は高く買うべきであろう。」「席上数氏の口から作りごととか作りものという評語が出た。」
舟橋聖一
男60歳
5 「心に残った。」「意慾的ではあるが、授賞に到達するには、やや届かず、」
川端康成
男66歳
7 「(引用者注:「玩具」に加えて授賞作を選ぶとすれば、「剣ヶ崎」「蝶の季節」「砂の関係」の)三編のいずれかだが、いずれも問題を含み、特色はありながら、しかも一長一短であった。」「もう少し長く書いてもよく、人種問題にもう少し痛切な血が通うとよかった。」
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他の候補作
津村節子
「玩具」
青木満
「影絵」
富士正晴
「徴用老人列伝」
高橋光子
「蝶の季節」
森万紀子
「単独者」
黒部亨
「砂の関係」
清水幸義
「十津川」
阿部昭
「幼年詩篇」
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候補者・作品
高橋光子女36歳×各選考委員 
「蝶の季節」
短篇 84
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三
男60歳
0  
丹羽文雄
男60歳
0  
瀧井孝作
男71歳
4 「メルヘンのような話だが、筆にはどうも生彩がない。これは“活字が寝て居る”と云いたい。」
高見順
男58歳
4 「当節流行の俗っぽい「現代的」な性描写がでてきて、うんざりした。」
石川淳
男66歳
0  
井上靖
男58歳
4 「着想の面白さに新鮮なものを感じたが、(引用者中略)エピローグが抜き差しならぬ欠点となっていて、折角のこの作品のよさが最後で台なしにされてしまったことは惜しい。」
中村光夫
男54歳
2 「着想の面白さを終りに自分でこわしている」
永井龍男
男61歳
3 「エピローグに至って、作者の不用意を露呈した。」「惜しい作品である。」
舟橋聖一
男60歳
0  
川端康成
男66歳
8 「(引用者注:「玩具」に加えて授賞作を選ぶとすれば、「剣ヶ崎」「蝶の季節」「砂の関係」の)三編のいずれかだが、いずれも問題を含み、特色はありながら、しかも一長一短であった。」「おもしろい着想だが、その幻想を中途、特に終りでぶちこわし、フランス女流作家の言葉の短い引用は良心的であるにしても、無用ではなかったか。」
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他の候補作
津村節子
「玩具」
青木満
「影絵」
富士正晴
「徴用老人列伝」
立原正秋
「剣ヶ崎」
森万紀子
「単独者」
黒部亨
「砂の関係」
清水幸義
「十津川」
阿部昭
「幼年詩篇」
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候補者・作品
森万紀子女30歳×各選考委員 
「単独者」
短篇 82
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三
男60歳
0  
丹羽文雄
男60歳
0  
瀧井孝作
男71歳
5 「職場もすぐかえたり、少し投げやりな所、まだ半病者らしい女の気持はちょっと描けて居た。」
高見順
男58歳
5 「題材の奇異性のわりにおもしろくない。」「すべての普通人が単独者であることを証明する小説であったほうがいい。狂人の単独者は当り前のことである。」
石川淳
男66歳
0  
井上靖
男58歳
2 「独自なものを持っていると思った。」
中村光夫
男54歳
3 「強靭な文才を感じさせますが、思いつきに自分で溺れすぎているのは、一考を要します。」
永井龍男
男61歳
4 「「単独者」の虚無は、引きずり込む力を持っていたが、主人公の過去を説明する個所の手法がきわめて旧套で作品を殺してしまった。」「惜しい作品である。」
舟橋聖一
男60歳
20 「面白く読んだ。」「虚無という程大袈裟でなく、デカダンの味が匂う。私はそこに惹かれたが、こういう作品は万人向きとは云えないので、多分授賞にはなるまいと思った。」「果して銓衡の結果、森を推しているのは私一人であった。」「森はもっと、ストレートな書き方をすべきだと思う。」「私も森の将来は保証できないが、これから先が楽しみではある。」
川端康成
男66歳
0  
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他の候補作
津村節子
「玩具」
青木満
「影絵」
富士正晴
「徴用老人列伝」
立原正秋
「剣ヶ崎」
高橋光子
「蝶の季節」
黒部亨
「砂の関係」
清水幸義
「十津川」
阿部昭
「幼年詩篇」
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候補者・作品
黒部亨男36歳×各選考委員 
「砂の関係」
短篇 102
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三
男60歳
0  
丹羽文雄
男60歳
0  
瀧井孝作
男71歳
6 「二人の中学生の心持の関係(ルビ:かかわり)も面白く、文章も平明で、ローカル・カラーの出た、一つのユーモアと見た。」
高見順
男58歳
5 「巧みな起承転結で、細心すぎて説明過多のところもあるが、少年期を通して、人間の心理の機微を、人間そのもののマスクをはいだ、みにくく悲しい姿を、少年の原型を通して巧みに描いている。立原に次いでこれをとった。」
石川淳
男66歳
0  
井上靖
男58歳
6 「私には面白かった。子供の世界を取り扱った作品であるが、そのまま大人の世界の諷刺にもなっていて、ただ一つの新風を感じさせられた作品であった。」「私はこの作品を推すつもりで委員会に出席した」
中村光夫
男54歳
10 「(引用者注:最後に残った「玩具」「剣ヶ崎」「砂の関係」のうち)一篇を授賞作に推すのは、どれも一長一短であるだけに骨の折れる仕事でした。」「非のうちどころは少ないのですが、全体の背丈が低く、馴れた語り口がかえって、ものたりない感じをあたえます。」
永井龍男
男61歳
3 「持ってまわって素直ではないが、作品は新鮮かつ健康で、芯が一本通っている。短篇小説としての感覚にも狂いがないので、私はこれを推した。」
舟橋聖一
男60歳
4 「心に残った。」「意慾的ではあるが、授賞に到達するには、やや届かず、」
川端康成
男66歳
9 「(引用者注:「玩具」に加えて授賞作を選ぶとすれば、「剣ヶ崎」「蝶の季節」「砂の関係」の)三編のいずれかだが、いずれも問題を含み、特色はありながら、しかも一長一短であった。」「一番無難」「しかし、(引用者中略)授賞の佳作とならなかったのには、なにか足りないものがありそうだ。」
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他の候補作
津村節子
「玩具」
青木満
「影絵」
富士正晴
「徴用老人列伝」
立原正秋
「剣ヶ崎」
高橋光子
「蝶の季節」
森万紀子
「単独者」
清水幸義
「十津川」
阿部昭
「幼年詩篇」
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候補者・作品
清水幸義男(40歳)×各選考委員 
「十津川」
短篇 69
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三
男60歳
13 「私は最初から「十津川」と「剣ヶ崎」を推すつもりだった。当選二人でもいいと考えていた。」「文章は堅実で規格正しく、地味ではあるが信用できる。色気ぬき(原文傍点)で是だけの作品を書けるのは立派だ。当選作として大衆受けはしないが、この地道な努力は買うべきだと思った。」「この作品と当選作「玩具」とをくらべて、どちらに作品の幅、大きさ、匂い、文章の緊密さ、味わいの深さを感じるだろうか。」
丹羽文雄
男60歳
0  
瀧井孝作
男71歳
3 「小説にも紀行にも程遠い、これは平凡な筆だ。」
高見順
男58歳
9 「小説というより紀行文だとニベもなく言ってしまえない、何か心をひかれるものがあった。同時にそこに不満もまつわっている。」「語り手の「私」が無色透明なのもあじけなく、同じ意味で文章もまたもうすこし個性的であることが望まれる。」
石川淳
男66歳
0  
井上靖
男58歳
0  
中村光夫
男54歳
4 「しっかりした筆で、気持よく読めますが、(引用者中略)紀行文の形をとった小説と見るには工夫がたりません。」
永井龍男
男61歳
2 「小説という意図のもとに書かれたかどうか。その辺があいまいに感じられた。」
舟橋聖一
男60歳
0  
川端康成
男66歳
0  
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他の候補作
津村節子
「玩具」
青木満
「影絵」
富士正晴
「徴用老人列伝」
立原正秋
「剣ヶ崎」
高橋光子
「蝶の季節」
森万紀子
「単独者」
黒部亨
「砂の関係」
阿部昭
「幼年詩篇」
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候補者・作品
阿部昭男30歳×各選考委員 
「幼年詩篇」
短篇 83
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
石川達三
男60歳
0  
丹羽文雄
男60歳
0  
瀧井孝作
男71歳
2 「幼少年時の思出の小品が三つあるが、どれもたわい(原文傍点)のないとりとめのないものだ。」
高見順
男58歳
3 「幼年期から少年期への心の姿を素直に書いた小説で、その点では非のうちどころがないが、ほめどころもない。」
石川淳
男66歳
0  
井上靖
男58歳
0  
中村光夫
男54歳
3 「主人公の幼さと作者の未熟が一体になっているところに(引用者注:「影絵」と)共通した欠点があります。」
永井龍男
男61歳
2 「過去のアルバムを開くような味があるが、その味が作品としての力を弱めているような処もある。」
舟橋聖一
男60歳
0  
川端康成
男66歳
0  
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他の候補作
津村節子
「玩具」
青木満
「影絵」
富士正晴
「徴用老人列伝」
立原正秋
「剣ヶ崎」
高橋光子
「蝶の季節」
森万紀子
「単独者」
黒部亨
「砂の関係」
清水幸義
「十津川」
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