外村繁（とのむらしげる）-芥川賞候補作家｜芥川賞のすべて・のようなもの

第1回

＝受賞者＝
石川達三

＝候補者＝
外村　繁
高見　順
衣巻省三
太宰　治

Last Update●[H26]2014/11/28

	Tonomura Shigeru
	生没年月日【注】	明治35年/1902年12月23日～昭和36年/1961年7月28日
	経歴	本名＝外村茂。滋賀県（現・東近江市）生まれ。東京帝国大学経済学部卒。在学中に梶井基次郎らと同人誌『青空』を創刊。
	受賞歴・候補歴	\|候補\| 第1回芥川賞（昭和10年/1935年上期）「草筏」第5回池谷信三郎賞（昭和13年/1938年下期）『草筏』 \|予選候補\| 第8回芥川賞（昭和13年/1938年下期）『草筏』 \|候補\| 第2回新潮社文芸賞〔第一部〕（昭和14年/1939年）『草筏』第9回野間文芸賞（昭和31年/1956年）『筏』 \|候補\| 第13回日本藝術院賞［文芸］（昭和31年/1956年度）『筏』第12回読売文学賞［小説賞］（昭和35年/1960年）『澪標』
	サブサイトリンク	文学賞の世界▼全8件
	個人全集	『外村繁全集』全6巻（昭和37年/1962年5月～8月・講談社刊）

第1回候補

「草筏(くさいかだ)」（『世紀』昭和10年/1935年3月号、4月号）〈未完〉

媒体・作品情報

分載回数	2回（未完）
誌名	「世紀」別表記表紙「文藝雜誌」併記
巻号	(1)第2巻第2号　(2)第2巻第3号別表記(1)3月号　(2)4月号
印刷/発行年月日	(1)印刷昭和10年/1935年2月15日　発行昭和10年/1935年3月1日　(2)印刷昭和10年/1935年3月15日　発行昭和10年/1935年4月1日
発行者等	編輯兼発行印刷人大雲謙雄　印刷所ユニオン社印刷所（東京市）
発行所	三笠書房（東京市）
総ページ数	(1)60　(2)77	表記上の枚数	―	基本の文字組（1ページ当り）	54字 ×19行 ×1段
本文ページ	(1)6～25　(2)6～28 （計43頁）	測定枚数	93枚

上記のうち紫の太字はブラウザでの表示が困難な異体字（主に正字など）

書誌

昭和13年/1938年11月・砂子屋書房刊『草筏』

昭和21年/1946年11月・三島書房／三島文庫『草筏』

昭和30年/1955年9月・東方社刊『草筏』

昭和32年/1957年2月・三笠書房刊『草筏』

昭和37年/1962年7月・講談社刊『外村繁全集　第2巻』所収

平成6年/1994年6月・サンライズ印刷出版部刊『草筏』

平成7年/1995年4月・ぎょうせい刊『ふるさと文学館　第29巻　滋賀』所収

平成12年/2000年8月・サンライズ出版刊『草筏』[新装版]

選評の概要

この回の全概要　見方・注意点

候補者　外村繁　32歳
選考委員		評価	行数	評言
久米正雄	43歳	△	4	「（引用者注：「故旧忘れ得べき」と共に）未完成なのは残念だった。」「キメが細かく、信用の出来る作品であるが、篇中に今一息の手強さが欲しかった。」
佐藤春夫	43歳	△	2	「「草筏」はいいが未完だから下半期に再選される機会があろう。」
川端康成	36歳	△	5	「作家としての生活力の豊かさ強さ、材題の広さに於て、最も前途発展性ある作家と認められているが、「草筏」は長篇の冒頭ゆえ、次期の再考となった。」
山本有三	48歳	・	3
瀧井孝作	41歳	△	5	「昨年発表した「鵜の物語」という小説に感心した。こんどの「草筏」も美しい作品だ。「草筏」は長篇で世紀の三月号と四月号に連載されこの雑誌はあと出ないので長篇の続きがみられない。この続きの発表をまつ。」
佐佐木茂索	40歳	―	0
菊池寛	46歳	―
選評出典：『芥川賞全集　第一巻』昭和57年/1982年2月・文藝春秋刊　再録（初出：『文藝春秋』昭和10年/1935年9月号）

第8回予選候補

『草筏(くさいかだ)』（昭和13年/1938年11月・砂子屋書房刊）

媒体・作品情報

印刷/発行年月日	印刷昭和13年/1938年10月20日　発行昭和13年/1938年11月1日
発行者等	発行山崎剛平　印刷安田頼太郎　　 1200部印刷（初版）
発行所	砂子屋書房（東京市）
総ページ数	343	表記上の枚数	―	基本の文字組（1ページ当り）	40字 ×14行 ×1段
本文ページ	1～343 （計343頁）	測定枚数	442枚

上記のうち紫の太字はブラウザでの表示が困難な異体字（主に正字など）

書誌

書誌情報は上記（第1回候補）と同じ

選評の概要

この回の全概要　見方・注意点

候補者　外村繁　36歳
選考委員		評価	行数	評言
久米正雄	47歳	△	3	「いい立派な労作だ。が、ここでは新作家の「短篇」を本位とする事を、申合せた直後だけに、僕は絶大の敬意を払う事を付け加えて置く。」
小島政二郎	45歳	・	2
川端康成	39歳	◎	12	「私は推したかった。今回はこれ以外にないと思った。ところが、芥川賞より先きに、池谷賞に決定してしまった。」「池谷賞の委員としては、この作品の選ばれたことを喜ぶが、芥川賞の委員としては、この作品の選べぬことを惜しむという結果になった。」
横光利一	40歳	―	0
佐佐木茂索	44歳	◎	3	「候補作品十数篇を読んで、（引用者中略）「草筏」に心を決めた。ところが第一回委員会の時「草筏」が池谷賞に決定した事を知った。運不運はここで分れる。」
室生犀星	49歳	―	0
佐藤春夫	46歳	△	2	「池谷賞だという理由で除外して見るとしても」
瀧井孝作	44歳	△	8	「第一回の時に候補者になったものだが、こんどその長篇が完結して、作品も立派であり、そのわりにこれまでむくいられる所がすくないようで、今回再び候補者にあげられたが、」「池谷賞と二重に芥川賞という手もあるまいと云われたりして、しいて入選はしないことになった。」
宇野浩二	47歳	△	10	「（引用者注：第一回銓衡委員会の時）室生を除く五人（佐佐木、瀧井、横光、川端、宇野）は、外村の『草筏』が最も勝れているのではないか、という意見であったが、いろいろの事情で、外村の小説も、候補作品の中から省かれた。このいろいろの事情は他の人が書くであろうから、その方に譲る。」
菊池寛	50歳	―
選評出典：『芥川賞全集　第二巻』昭和57年/1982年3月・文藝春秋刊　再録（初出：『文藝春秋』昭和14年/1939年3月号）