芥川賞のすべて・のようなもの
第69回
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昭和48年/1973年上半期
(昭和48年/1973年7月17日決定発表/『文藝春秋』昭和48年/1973年9月号選評掲載)
選考委員  舟橋聖一
男68歳
中村光夫
男62歳
大岡昇平
男64歳
吉行淳之介
男49歳
瀧井孝作
男79歳
永井龍男
男69歳
安岡章太郎
男53歳
井上靖
男66歳
丹羽文雄
男68歳
選評総行数  46 27 24 39 33 22 31 25 26
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
三木卓 「鶸」
78
男38歳
18 7 11 5 4 9 9 15 3
野呂邦暢 「鳥たちの河口」
82
男35歳
9 5 11 8 6 9 9 16 12
中上健次 「十九歳の地図」
100
男26歳
0 0 2 2 0 4 0 0 0
青木八束 「蛇いちごの周囲」
123
男40歳
12 0 2 6 11 5 0 0 11
高橋たか子 「失われた絵」
195
女41歳
6 5 0 3 3 0 0 0 0
森内俊雄 「眉山」
76
男36歳
0 0 0 7 3 0 0 0 0
津島佑子 「壜のなかの子ども」
117
女26歳
4 5 0 4 5 0 5 0 5
加藤富夫 「口髭と虱」
84
男45歳
0 0 4 3 0 0 0 0 0
                 
年齢/枚数の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『芥川賞全集 第十巻』昭和57年/1982年11月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和48年/1973年9月号)
1行当たりの文字数:26字


選考委員
舟橋聖一男68歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
五篇について 総行数46 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
三木卓
男38歳
18 「野呂の「鳥たちの河口」を抜いて、逆転勝ちの授賞となった。」「鶸を握り殺さないほうがいいという説もあったが、やはりあの部分がこの小説の圧巻だ。」「帰宅後、文芸時評や創作合評を参考にしたうちでは、丸谷才一君の、「三木は固有名詞と日付を消し取り、あの一応のところ架空な国における一応のところ抽象的な敗戦の物語を書いた」という評語はあたっている。」
野呂邦暢
男35歳
9 「二作(引用者注:「鶸」と「鳥たちの河口」)が優劣を争ったので、銓衡が暇取った。」「病人の妻のアンカを寝ているうちに抜きとり、主人公がボール箱へ入れて、鳥の傷ついた部分を暖めてやるが、妻がおこるので、大型の水筒に熱湯を入れて、タオルで巻いて湯タンポにしてやると、腹を立てた妻が、それを蒲団の外へ蹴りだすところがある。そういう情景と心理が、鮮やかに描かれていた。」
中上健次
男26歳
0  
青木八束
男40歳
12 「書き出しの二行が実にいいので、ひきこまれて読んだが、田舎育ちの少年主人公があまりに大人くさい観察をするので、小説のリアリティーが不安定のような気がした。」「主人公の名前に作者のペンネームを使っているのも、何んとなくわざとらしい。」
高橋たか子
女41歳
6 「よけいな道草が沢山で、二百枚という枚数が多すぎる感じである。が、部分的にはなかなか秀れたところがある。主人公と雅男の母との交渉や、対立もよく書けている。」
森内俊雄
男36歳
0  
津島佑子
女26歳
4 「最後の場面で男と少女が男の店の前を素通りするところが、印象に残った。しかし父親を男と書くことは、気取りすぎているのではあるまいか。」
加藤富夫
男45歳
0  
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他の選考委員
中村光夫
大岡昇平
吉行淳之介
瀧井孝作
永井龍男
安岡章太郎
井上靖
丹羽文雄
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選考委員
中村光夫男62歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
思いつきと物語 総行数27 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
三木卓
男38歳
7 「読みよい点で群をぬいています。つまり、テーマと手法のバランスがよくとれた作品なのですが、それは新味の欠けた感じをあたえることにもなります。」
野呂邦暢
男35歳
5 「現代的な素材が抜け目なく配置されていますが、肝腎の主人公の印象が稀薄で、作者の配慮が行きとどきすぎているのが、かえって散漫な感じをあたえます。「鶸」と対照をなし、似ているところもある作品です。」
中上健次
男26歳
0  
青木八束
男40歳
0  
高橋たか子
女41歳
5 「面白く思いました。」「(引用者注:「壜のなかの子ども」と共に)「自分の鶏」にかけた作品と思われます。もう少し読者の思惑を考える余裕があれば、と惜しまれます。」
森内俊雄
男36歳
0  
津島佑子
女26歳
5 「面白く思いました。」「(引用者注:「失われた絵」と共に)「自分の鶏」にかけた作品と思われます。もう少し読者の思惑を考える余裕があれば、と惜しまれます。」
加藤富夫
男45歳
0  
  「今度の予選通過作品には、一頃とちがってまとまったテーマがはっきり感じられるものが多く、同時に作者が自分の思いつきに溺れこんで冗長に陥る傾向も目立ちました。」
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他の選考委員
舟橋聖一
大岡昇平
吉行淳之介
瀧井孝作
永井龍男
安岡章太郎
井上靖
丹羽文雄
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選考委員
大岡昇平男64歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
むずかしい選考 総行数24 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
三木卓
男38歳
11 「(引用者注:「鳥たちの河口」と)ほぼ同じぐらいの出来だと思っていた」「荒けずりだが、敗戦直後の満州の現実への視点がしっかりしている。」「この作品には氏の詩作の経験を思わすものを、見出さなかった。詩と散文を区別する方法意識は、詩人の側に生れるもんなんだなあ、というようなことを感じた。」
野呂邦暢
男35歳
11 「(引用者注:「鶸」と)ほぼ同じぐらいの出来だと思っていた」「よくできているが、少し道具立てが整いすぎている、という評があった。殊に最後に鷹に教われるところが、(引用者中略)物語の形が整っているということは、それを裏付ける感動が伴わない場合、欠点となることがある例だった。」
中上健次
男26歳
2 「将来を期待さす才能を感じた。」
青木八束
男40歳
2 「将来を期待さす才能を感じた。」
高橋たか子
女41歳
0  
森内俊雄
男36歳
0  
津島佑子
女26歳
0  
加藤富夫
男45歳
4 「「鳥たちの河口」と同じくらい巧みであり、或いはこれがダークホースになるのではないかと思ったが、案外票が集まらなかった。」
  「こん期はこれといって際立った作品がなく、最初から票が破れて、私の経験した最もむずかしい銓衡となった。」「芥川賞は二作当選が三回続いている。そう二作当選を続けるのはうまくないという気分が委員全体にあって、それを主張すると、当選作なしになる可能性があった。」
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他の選考委員
舟橋聖一
中村光夫
吉行淳之介
瀧井孝作
永井龍男
安岡章太郎
井上靖
丹羽文雄
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選考委員
吉行淳之介男49歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
汽車はすでに発車 総行数39 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
三木卓
男38歳
5 「前回私は最も高く評価したのだが、今度の作品はけっして悪くはないが、不満である。」
野呂邦暢
男35歳
8 「文章の点では私の好みからいえば抜群なのだが、作品が狭いのは一向にかまわないにしても、いささか浅い。」「当選作なしになりかかり、つづいて三木一人授賞となりかかり、そうとなれば私は野呂に一票を入れたが、僅差だった。」
中上健次
男26歳
2 「おもしろかったが、僅かだが若づくりが気になった。まだ二十代の人だから今後に期待する。」
青木八束
男40歳
6 「後半の三分の一は十分の迫力があるが、それまでが、余分のものが多い。」「苦情を言ったが、この人に入った票の中身は、三木卓のものより濃い。」
高橋たか子
女41歳
3 「成熟した女の内面をうまく書いていた(主人公が色情狂という説もあったが、私はそうはおもわない)が、筆が流れすぎるし長すぎる。」
森内俊雄
男36歳
7 「私は(引用者中略)推した。この作品は無理にツジツマを合わせようとしたり、不出来なところが多いが、作者の書きたいところに共感した。新人賞には、こういう欠点は許されるだろうと、おもった。」「なにしろ一票半しか入らなかったので引下るほかなかった。」
津島佑子
女26歳
4 「この前より進歩していて、随所に鮮烈な箇所があったが、全体を作者が掴めておらず、矛盾が多い。肝心のところが、二行ずつほど余分に書いてあって、そこが逆効果になっていたりもする。」
加藤富夫
男45歳
3 「かなり良いが、以前「玩具の兵隊」を推したとき否決され、それよりはこの作品について私の評価は下なので、あきらめた。」
  「今回の候補作は、すべて一応の水準に達していた。みんな小説がうまくなった。しかし、ここのところに問題がある。」
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他の選考委員
舟橋聖一
中村光夫
大岡昇平
瀧井孝作
永井龍男
安岡章太郎
井上靖
丹羽文雄
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選考委員
瀧井孝作男79歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
小説の脊骨 総行数33 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
三木卓
男38歳
4 「五票で当選したが、私は票は入れなかった。小説の脊骨が弱い。筆が甘い。読んでも頭に沁まなかった。」
野呂邦暢
男35歳
6 「広い天地と疎らの鳥類と孤独の男とがスッキリ描けて居た。私はこの作は今回(引用者注:「蛇いちごの周囲」に次いで)二番目によいと見たが、四票きりで落選した。」
中上健次
男26歳
0  
青木八束
男40歳
11 「こんどの予選作の中で、私はこれが一ばんよいと思った。」「人物も劇的に事物も立体的に目に映り、(引用者中略)すべて面白く描けて居た。しかし、この作は今回三票きりで、落選した。銓衡委員には各々個性があるから、私はこれを強いて推すこともしなかった。」
高橋たか子
女41歳
3 「絵にもならない徒な情事を長々と描いたものだが、文章には妙に強い所があった。」
森内俊雄
男36歳
3 「阿波の徳島のことがいろいろ出るが、描きすぎで、もう一度整理した方がよいと見た。」
津島佑子
女26歳
5 「悲痛な実感がもっとよく出れば、成功したか。異色の構想と見た。」
加藤富夫
男45歳
0  
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他の選考委員
舟橋聖一
中村光夫
大岡昇平
吉行淳之介
永井龍男
安岡章太郎
井上靖
丹羽文雄
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選考委員
永井龍男男69歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
短篇としての特徴 総行数22 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
三木卓
男38歳
9 「(引用者注:「鶸」と「鳥たちの河口」との最終投票の際)私がこの作品に一票入れたのは、この方が自分の好みに合っているからというだけのことで、「鳥たちの河口」が作品として劣るからではない。」「「鶸」の表現には、ニュアンスを重んじ過ぎて人物のシチュエーションがはっきりせぬような欠点がある。」
野呂邦暢
男35歳
9 「(引用者注:「鶸」に一票入れたのは)「鳥たちの河口」が作品として劣るからではない。」「全篇にそつ(原文傍点)がない。」
中上健次
男26歳
4 「第一印象としては、(引用者中略)私には一番おもしろかった。持って行き場のない十九歳の焦燥と、現実嫌悪の昂りがよく表現されていると思ったが、私の他に支持は一票」
青木八束
男40歳
5 「会話も地の文も一しょにすりつぶした行替えなしの文体に、相当の神経を使い苦心のほどを示しているが、これが却って大きな減点となったようだ。」「この作者の持つある力量は充分に感じとれた。」
高橋たか子
女41歳
0  
森内俊雄
男36歳
0  
津島佑子
女26歳
0  
加藤富夫
男45歳
0  
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他の選考委員
舟橋聖一
中村光夫
大岡昇平
吉行淳之介
瀧井孝作
安岡章太郎
井上靖
丹羽文雄
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選考委員
安岡章太郎男53歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
技巧的作品 総行数31 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
三木卓
男38歳
9 「(引用者注:「鳥たちの河口」と共に)短篇として一応のマトマリは見せているが、じつは(引用者中略)前回の候補作にくらべて、万遍なく欠点をとりつくろったようなところがあり、それだけ作品自体の生命力は失われているのである。」「こういう結末は甚だ技巧的であって、本当の結末にいたらないし、また本当の意味の技巧でもない。」
野呂邦暢
男35歳
9 「(引用者注:「鶸」と共に)短篇として一応のマトマリは見せているが、じつは(引用者中略)前回の候補作にくらべて、万遍なく欠点をとりつくろったようなところがあり、それだけ作品自体の生命力は失われているのである。」「こういう結末は甚だ技巧的であって、本当の結末にいたらないし、また本当の意味の技巧でもない。」
中上健次
男26歳
0  
青木八束
男40歳
0  
高橋たか子
女41歳
0  
森内俊雄
男36歳
0  
津島佑子
女26歳
5 「私としては印象に残ったが、(引用者中略)大いに技巧を弄しながら、なおかつ幼稚であり、そのことにおいて個性的なのである。」
加藤富夫
男45歳
0  
  「今回の候補作品では、これといって推したい作品はなかった。これは文運が突如下降したというようなことでは勿論ない。たまたま推したい作品はないというだけで、全般の水準は、いつもの通りといっていい。」「具体的には作品の一つ一つに個性が失われていると思われるのである。」
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他の選考委員
舟橋聖一
中村光夫
大岡昇平
吉行淳之介
瀧井孝作
永井龍男
井上靖
丹羽文雄
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選考委員
井上靖男66歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
素朴な荒々しさ 総行数25 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
三木卓
男38歳
15 「材料もいいし、作品全体を素朴な荒々しいタッチで貫いているのもいい。ただ書き足りないところや、説明不足なところが、かなり目立っている。」「枠を取り外した絵のよさもあるかわりに、その欠点もあると言えよう。」「二作(引用者注:「鶸」と「鳥たちの河口」)が候補作の中では目立っていたが、私には二作とも強く推す気にはなれなかった。」
野呂邦暢
男35歳
16 「書き出しの部分はなかなかいいと思った。」「しかし、(引用者中略)ハゲタカとの闘いも余分なら、妻の登場も作りものめいてしまっている。短い小説にこれだけのものを詰めこむのは無理である。」「二作(引用者注:「鶸」と「鳥たちの河口」)が候補作の中では目立っていたが、私には二作とも強く推す気にはなれなかった。」
中上健次
男26歳
0  
青木八束
男40歳
0  
高橋たか子
女41歳
0  
森内俊雄
男36歳
0  
津島佑子
女26歳
0  
加藤富夫
男45歳
0  
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他の選考委員
舟橋聖一
中村光夫
大岡昇平
吉行淳之介
瀧井孝作
永井龍男
安岡章太郎
丹羽文雄
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選考委員
丹羽文雄男68歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
決定までに難航 総行数26 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
三木卓
男38歳
3 「二つ残った作品(引用者注:「鶸」と「鳥たちの河口」)の中から、より欠点の少ないものというので、(引用者中略)決定した。」
野呂邦暢
男35歳
12 「(引用者注:青木八束と共に)テレビ、ラジオの台本作家であることを審査場で初めて知った。」「八篇の中ではいちばん達者な筆つきであった。が、(引用者中略)最後の見せ場をつくり上げる台本作家の習性がマイナスとなったようである。タカも病人の妻も要らないのだ。それなら大手をふって当選したであろう。」
中上健次
男26歳
0  
青木八束
男40歳
11 「(引用者注:野呂邦暢と共に)テレビ、ラジオの台本作家であることを審査場で初めて知った。」「最後の章は、じつによかった。」「小説だけを書いている人間には、とうていあの章は思いつかないものである。」「台本作者の成功であった。」
高橋たか子
女41歳
0  
森内俊雄
男36歳
0  
津島佑子
女26歳
5 「「壜のなかの子ども」を候補作品八篇の中でマークして、審査場にのぞんだ。支持者が少なかったのでがっかりした。」「不具な子供を持った父親の屈折した気持がよく描かれていて、心に残るものがあった。」
加藤富夫
男45歳
0  
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他の選考委員
舟橋聖一
中村光夫
大岡昇平
吉行淳之介
瀧井孝作
永井龍男
安岡章太郎
井上靖
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受賞者・作品
三木卓男38歳×各選考委員 
「鶸」
短篇 78
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
舟橋聖一
男68歳
18 「野呂の「鳥たちの河口」を抜いて、逆転勝ちの授賞となった。」「鶸を握り殺さないほうがいいという説もあったが、やはりあの部分がこの小説の圧巻だ。」「帰宅後、文芸時評や創作合評を参考にしたうちでは、丸谷才一君の、「三木は固有名詞と日付を消し取り、あの一応のところ架空な国における一応のところ抽象的な敗戦の物語を書いた」という評語はあたっている。」
中村光夫
男62歳
7 「読みよい点で群をぬいています。つまり、テーマと手法のバランスがよくとれた作品なのですが、それは新味の欠けた感じをあたえることにもなります。」
大岡昇平
男64歳
11 「(引用者注:「鳥たちの河口」と)ほぼ同じぐらいの出来だと思っていた」「荒けずりだが、敗戦直後の満州の現実への視点がしっかりしている。」「この作品には氏の詩作の経験を思わすものを、見出さなかった。詩と散文を区別する方法意識は、詩人の側に生れるもんなんだなあ、というようなことを感じた。」
吉行淳之介
男49歳
5 「前回私は最も高く評価したのだが、今度の作品はけっして悪くはないが、不満である。」
瀧井孝作
男79歳
4 「五票で当選したが、私は票は入れなかった。小説の脊骨が弱い。筆が甘い。読んでも頭に沁まなかった。」
永井龍男
男69歳
9 「(引用者注:「鶸」と「鳥たちの河口」との最終投票の際)私がこの作品に一票入れたのは、この方が自分の好みに合っているからというだけのことで、「鳥たちの河口」が作品として劣るからではない。」「「鶸」の表現には、ニュアンスを重んじ過ぎて人物のシチュエーションがはっきりせぬような欠点がある。」
安岡章太郎
男53歳
9 「(引用者注:「鳥たちの河口」と共に)短篇として一応のマトマリは見せているが、じつは(引用者中略)前回の候補作にくらべて、万遍なく欠点をとりつくろったようなところがあり、それだけ作品自体の生命力は失われているのである。」「こういう結末は甚だ技巧的であって、本当の結末にいたらないし、また本当の意味の技巧でもない。」
井上靖
男66歳
15 「材料もいいし、作品全体を素朴な荒々しいタッチで貫いているのもいい。ただ書き足りないところや、説明不足なところが、かなり目立っている。」「枠を取り外した絵のよさもあるかわりに、その欠点もあると言えよう。」「二作(引用者注:「鶸」と「鳥たちの河口」)が候補作の中では目立っていたが、私には二作とも強く推す気にはなれなかった。」
丹羽文雄
男68歳
3 「二つ残った作品(引用者注:「鶸」と「鳥たちの河口」)の中から、より欠点の少ないものというので、(引用者中略)決定した。」
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他の候補作
野呂邦暢
「鳥たちの河口」
中上健次
「十九歳の地図」
青木八束
「蛇いちごの周囲」
高橋たか子
「失われた絵」
森内俊雄
「眉山」
津島佑子
「壜のなかの子ども」
加藤富夫
「口髭と虱」
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候補者・作品
野呂邦暢男35歳×各選考委員 
「鳥たちの河口」
短篇 82
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
舟橋聖一
男68歳
9 「二作(引用者注:「鶸」と「鳥たちの河口」)が優劣を争ったので、銓衡が暇取った。」「病人の妻のアンカを寝ているうちに抜きとり、主人公がボール箱へ入れて、鳥の傷ついた部分を暖めてやるが、妻がおこるので、大型の水筒に熱湯を入れて、タオルで巻いて湯タンポにしてやると、腹を立てた妻が、それを蒲団の外へ蹴りだすところがある。そういう情景と心理が、鮮やかに描かれていた。」
中村光夫
男62歳
5 「現代的な素材が抜け目なく配置されていますが、肝腎の主人公の印象が稀薄で、作者の配慮が行きとどきすぎているのが、かえって散漫な感じをあたえます。「鶸」と対照をなし、似ているところもある作品です。」
大岡昇平
男64歳
11 「(引用者注:「鶸」と)ほぼ同じぐらいの出来だと思っていた」「よくできているが、少し道具立てが整いすぎている、という評があった。殊に最後に鷹に教われるところが、(引用者中略)物語の形が整っているということは、それを裏付ける感動が伴わない場合、欠点となることがある例だった。」
吉行淳之介
男49歳
8 「文章の点では私の好みからいえば抜群なのだが、作品が狭いのは一向にかまわないにしても、いささか浅い。」「当選作なしになりかかり、つづいて三木一人授賞となりかかり、そうとなれば私は野呂に一票を入れたが、僅差だった。」
瀧井孝作
男79歳
6 「広い天地と疎らの鳥類と孤独の男とがスッキリ描けて居た。私はこの作は今回(引用者注:「蛇いちごの周囲」に次いで)二番目によいと見たが、四票きりで落選した。」
永井龍男
男69歳
9 「(引用者注:「鶸」に一票入れたのは)「鳥たちの河口」が作品として劣るからではない。」「全篇にそつ(原文傍点)がない。」
安岡章太郎
男53歳
9 「(引用者注:「鶸」と共に)短篇として一応のマトマリは見せているが、じつは(引用者中略)前回の候補作にくらべて、万遍なく欠点をとりつくろったようなところがあり、それだけ作品自体の生命力は失われているのである。」「こういう結末は甚だ技巧的であって、本当の結末にいたらないし、また本当の意味の技巧でもない。」
井上靖
男66歳
16 「書き出しの部分はなかなかいいと思った。」「しかし、(引用者中略)ハゲタカとの闘いも余分なら、妻の登場も作りものめいてしまっている。短い小説にこれだけのものを詰めこむのは無理である。」「二作(引用者注:「鶸」と「鳥たちの河口」)が候補作の中では目立っていたが、私には二作とも強く推す気にはなれなかった。」
丹羽文雄
男68歳
12 「(引用者注:青木八束と共に)テレビ、ラジオの台本作家であることを審査場で初めて知った。」「八篇の中ではいちばん達者な筆つきであった。が、(引用者中略)最後の見せ場をつくり上げる台本作家の習性がマイナスとなったようである。タカも病人の妻も要らないのだ。それなら大手をふって当選したであろう。」
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他の候補作
三木卓
「鶸」
中上健次
「十九歳の地図」
青木八束
「蛇いちごの周囲」
高橋たか子
「失われた絵」
森内俊雄
「眉山」
津島佑子
「壜のなかの子ども」
加藤富夫
「口髭と虱」
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候補者・作品
中上健次男26歳×各選考委員 
「十九歳の地図」
短篇 100
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
舟橋聖一
男68歳
0  
中村光夫
男62歳
0  
大岡昇平
男64歳
2 「将来を期待さす才能を感じた。」
吉行淳之介
男49歳
2 「おもしろかったが、僅かだが若づくりが気になった。まだ二十代の人だから今後に期待する。」
瀧井孝作
男79歳
0  
永井龍男
男69歳
4 「第一印象としては、(引用者中略)私には一番おもしろかった。持って行き場のない十九歳の焦燥と、現実嫌悪の昂りがよく表現されていると思ったが、私の他に支持は一票」
安岡章太郎
男53歳
0  
井上靖
男66歳
0  
丹羽文雄
男68歳
0  
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他の候補作
三木卓
「鶸」
野呂邦暢
「鳥たちの河口」
青木八束
「蛇いちごの周囲」
高橋たか子
「失われた絵」
森内俊雄
「眉山」
津島佑子
「壜のなかの子ども」
加藤富夫
「口髭と虱」
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候補者・作品
青木八束男40歳×各選考委員 
「蛇いちごの周囲」
短篇 123
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
舟橋聖一
男68歳
12 「書き出しの二行が実にいいので、ひきこまれて読んだが、田舎育ちの少年主人公があまりに大人くさい観察をするので、小説のリアリティーが不安定のような気がした。」「主人公の名前に作者のペンネームを使っているのも、何んとなくわざとらしい。」
中村光夫
男62歳
0  
大岡昇平
男64歳
2 「将来を期待さす才能を感じた。」
吉行淳之介
男49歳
6 「後半の三分の一は十分の迫力があるが、それまでが、余分のものが多い。」「苦情を言ったが、この人に入った票の中身は、三木卓のものより濃い。」
瀧井孝作
男79歳
11 「こんどの予選作の中で、私はこれが一ばんよいと思った。」「人物も劇的に事物も立体的に目に映り、(引用者中略)すべて面白く描けて居た。しかし、この作は今回三票きりで、落選した。銓衡委員には各々個性があるから、私はこれを強いて推すこともしなかった。」
永井龍男
男69歳
5 「会話も地の文も一しょにすりつぶした行替えなしの文体に、相当の神経を使い苦心のほどを示しているが、これが却って大きな減点となったようだ。」「この作者の持つある力量は充分に感じとれた。」
安岡章太郎
男53歳
0  
井上靖
男66歳
0  
丹羽文雄
男68歳
11 「(引用者注:野呂邦暢と共に)テレビ、ラジオの台本作家であることを審査場で初めて知った。」「最後の章は、じつによかった。」「小説だけを書いている人間には、とうていあの章は思いつかないものである。」「台本作者の成功であった。」
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他の候補作
三木卓
「鶸」
野呂邦暢
「鳥たちの河口」
中上健次
「十九歳の地図」
高橋たか子
「失われた絵」
森内俊雄
「眉山」
津島佑子
「壜のなかの子ども」
加藤富夫
「口髭と虱」
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候補者・作品
高橋たか子女41歳×各選考委員 
「失われた絵」
中篇 195
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
舟橋聖一
男68歳
6 「よけいな道草が沢山で、二百枚という枚数が多すぎる感じである。が、部分的にはなかなか秀れたところがある。主人公と雅男の母との交渉や、対立もよく書けている。」
中村光夫
男62歳
5 「面白く思いました。」「(引用者注:「壜のなかの子ども」と共に)「自分の鶏」にかけた作品と思われます。もう少し読者の思惑を考える余裕があれば、と惜しまれます。」
大岡昇平
男64歳
0  
吉行淳之介
男49歳
3 「成熟した女の内面をうまく書いていた(主人公が色情狂という説もあったが、私はそうはおもわない)が、筆が流れすぎるし長すぎる。」
瀧井孝作
男79歳
3 「絵にもならない徒な情事を長々と描いたものだが、文章には妙に強い所があった。」
永井龍男
男69歳
0  
安岡章太郎
男53歳
0  
井上靖
男66歳
0  
丹羽文雄
男68歳
0  
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他の候補作
三木卓
「鶸」
野呂邦暢
「鳥たちの河口」
中上健次
「十九歳の地図」
青木八束
「蛇いちごの周囲」
森内俊雄
「眉山」
津島佑子
「壜のなかの子ども」
加藤富夫
「口髭と虱」
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候補者・作品
森内俊雄男36歳×各選考委員 
「眉山」
短篇 76
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
舟橋聖一
男68歳
0  
中村光夫
男62歳
0  
大岡昇平
男64歳
0  
吉行淳之介
男49歳
7 「私は(引用者中略)推した。この作品は無理にツジツマを合わせようとしたり、不出来なところが多いが、作者の書きたいところに共感した。新人賞には、こういう欠点は許されるだろうと、おもった。」「なにしろ一票半しか入らなかったので引下るほかなかった。」
瀧井孝作
男79歳
3 「阿波の徳島のことがいろいろ出るが、描きすぎで、もう一度整理した方がよいと見た。」
永井龍男
男69歳
0  
安岡章太郎
男53歳
0  
井上靖
男66歳
0  
丹羽文雄
男68歳
0  
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他の候補作
三木卓
「鶸」
野呂邦暢
「鳥たちの河口」
中上健次
「十九歳の地図」
青木八束
「蛇いちごの周囲」
高橋たか子
「失われた絵」
津島佑子
「壜のなかの子ども」
加藤富夫
「口髭と虱」
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候補者・作品
津島佑子女26歳×各選考委員 
「壜のなかの子ども」
短篇 117
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
舟橋聖一
男68歳
4 「最後の場面で男と少女が男の店の前を素通りするところが、印象に残った。しかし父親を男と書くことは、気取りすぎているのではあるまいか。」
中村光夫
男62歳
5 「面白く思いました。」「(引用者注:「失われた絵」と共に)「自分の鶏」にかけた作品と思われます。もう少し読者の思惑を考える余裕があれば、と惜しまれます。」
大岡昇平
男64歳
0  
吉行淳之介
男49歳
4 「この前より進歩していて、随所に鮮烈な箇所があったが、全体を作者が掴めておらず、矛盾が多い。肝心のところが、二行ずつほど余分に書いてあって、そこが逆効果になっていたりもする。」
瀧井孝作
男79歳
5 「悲痛な実感がもっとよく出れば、成功したか。異色の構想と見た。」
永井龍男
男69歳
0  
安岡章太郎
男53歳
5 「私としては印象に残ったが、(引用者中略)大いに技巧を弄しながら、なおかつ幼稚であり、そのことにおいて個性的なのである。」
井上靖
男66歳
0  
丹羽文雄
男68歳
5 「「壜のなかの子ども」を候補作品八篇の中でマークして、審査場にのぞんだ。支持者が少なかったのでがっかりした。」「不具な子供を持った父親の屈折した気持がよく描かれていて、心に残るものがあった。」
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他の候補作
三木卓
「鶸」
野呂邦暢
「鳥たちの河口」
中上健次
「十九歳の地図」
青木八束
「蛇いちごの周囲」
高橋たか子
「失われた絵」
森内俊雄
「眉山」
加藤富夫
「口髭と虱」
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候補者・作品
加藤富夫男45歳×各選考委員 
「口髭と虱」
短篇 84
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
舟橋聖一
男68歳
0  
中村光夫
男62歳
0  
大岡昇平
男64歳
4 「「鳥たちの河口」と同じくらい巧みであり、或いはこれがダークホースになるのではないかと思ったが、案外票が集まらなかった。」
吉行淳之介
男49歳
3 「かなり良いが、以前「玩具の兵隊」を推したとき否決され、それよりはこの作品について私の評価は下なので、あきらめた。」
瀧井孝作
男79歳
0  
永井龍男
男69歳
0  
安岡章太郎
男53歳
0  
井上靖
男66歳
0  
丹羽文雄
男68歳
0  
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他の候補作
三木卓
「鶸」
野呂邦暢
「鳥たちの河口」
中上健次
「十九歳の地図」
青木八束
「蛇いちごの周囲」
高橋たか子
「失われた絵」
森内俊雄
「眉山」
津島佑子
「壜のなかの子ども」
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