芥川賞のすべて・のようなもの
第47回
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昭和37年/1962年上半期
(昭和37年/1962年7月23日決定発表/『文藝春秋』昭和37年/1962年9月号選評掲載)
選考委員  中村光夫
男51歳
瀧井孝作
男68歳
石川淳
男63歳
永井龍男
男58歳
石川達三
男57歳
舟橋聖一
男57歳
井上靖
男55歳
井伏鱒二
男64歳
丹羽文雄
男57歳
川端康成
男63歳
高見順
男55歳
選評総行数  29 38 22 25 27 39 24 16 21 26 39
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
川村晃 「美談の出発」
133
男34歳
9 8 0 13 22 9 9 9 3 1 8
坂口䙥子 「猫のいる風景」
87
女47歳
10 4 0 0 0 3 6 0 5 0 3
小佐井伸二 「雪の上の足跡」
52
男29歳
0 6 7 0 0 0 0 0 0 0 2
田久保英夫 「睡蓮」
103
男34歳
8 4 0 0 0 10 4 0 0 0 6
吉村昭 「石の微笑」
84
男35歳
8 4 0 0 4 13 0 0 4 0 17
久保輝巳 「白い塑像」
63
男34歳
0 4 0 0 0 0 3 0 0 0 3
河野多恵子 「雪」
73
女36歳
3 3 0 0 4 4 4 0 6 0 5
須田作次 「烏のしらが」
166
男36歳
5 3 0 7 4 0 3 7 4 3 2
              欠席      
年齢/枚数の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『芥川賞全集 第六巻』昭和57年/1982年7月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和37年/1962年9月号)
1行当たりの文字数:26字


選考委員
中村光夫男51歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
書きたいものを持つこと 総行数29 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
川村晃
男34歳
9 「作者が、ひとり合点を楽しんでいる小説で、そのいい気なところに反撥する人がいるのは当然だし、技術的に未熟という評もあたっています。しかし作者が何か書きたいものを持ち、それがはっきりしない形でも、とにかくでていることは確かです。」「新人への授賞は、折紙をつける場合も、賭けする気持でする場合もあり、それでよいのだと思います。」
坂口䙥子
女47歳
10 「或る水準にはたしかに達しています。ただ、それをつきぬける何かがかけていて、それが文学作品にもっとも本質的なもののように思われるのは、作者も考えてほしいと思います。」「(引用者注:坂口、田久保、吉村の中では)筆が枯れているだけに、一番抵抗なく読めました。」
小佐井伸二
男29歳
0  
田久保英夫
男34歳
8 「或る水準にはたしかに達しています。ただ、それをつきぬける何かがかけていて、それが文学作品にもっとも本質的なもののように思われるのは、作者も考えてほしいと思います。」
吉村昭
男35歳
8 「或る水準にはたしかに達しています。ただ、それをつきぬける何かがかけていて、それが文学作品にもっとも本質的なもののように思われるのは、作者も考えてほしいと思います。」
久保輝巳
男34歳
0  
河野多恵子
女36歳
3 「文章がうまいがうますぎる感じで、話もうまく(ことに終りの部分で)つくりすぎていますが、才の有る人という印象をうけました。」
須田作次
男36歳
5 「ひどく冗漫で、読んで行くのが苦痛でしたが、読み終ると何かあるという気がしました。いい気でひとり合点なところをなくなせといっても無理でしょうが、それをうまく文章に生かしてもらいたいと思います。」
  「今度も同じような出来栄えの作品が多くて、票がわれるのではないかと思って出席しました。」
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他の選考委員
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石川淳
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選考委員
瀧井孝作男68歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
子供っぽい作 総行数38 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
川村晃
男34歳
8 「一番いいと思った。」「暗いが、しかし、何か読ませる力があるのだ。文章には、まだ淡いが、この作家の持味もあるようだ。」「「美談の出発」という題は、この主人公の自嘲の意味もあるらしかった。」
坂口䙥子
女47歳
4 「わざと面白おかしく描いたのか、何か猥雑で、いやな感じがした。」「「蕃婦ロポウの話」は、佳作だったが。」
小佐井伸二
男29歳
6 「淡くて夢のようで、恰も雪の上の足跡のように消えやすい、このとりとめのない所が面白いのだろうか。」
田久保英夫
男34歳
4 「稍古くさい感じのものになって、これは失敗作だろうが、この新作家が、世俗の題材に勇ましく取組んだ意欲は、認めてもよいかと思った。」
吉村昭
男35歳
4 「余りに小説らしく仕組んで、古くさい感じになった、これも失敗作だろう。」「「透明標本」の方がずっと佳かったが。」
久保輝巳
男34歳
4 「この人のものは、前回の予選作「海の屑」の方が未だしもよかったが。」
河野多恵子
女36歳
3 「女の特異の感情を美しく見せたものだが、抽象化されて、きれい事のようで、恰も美術人形のようで、僕は採れなかった。」
須田作次
男36歳
3 「「楢山節考」などの捨老譚にも似通う哀音めいたものに、古めかしいものに、溺れすぎた小説だろう。」
  「今回は、大体に子供っぽい作ばかりで、もっと、大人の小説を読みたいと思った。」
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選考委員
石川淳男63歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
少数の異議 総行数22 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
川村晃
男34歳
0  
坂口䙥子
女47歳
0  
小佐井伸二
男29歳
7 「わたしはまず(引用者中略)推した。これ一本のことにして見れば、とくにまんぞくな作品とはいえない。」「ただ提出された八篇のワクの中では、傾向からいって、わたしとしてこれを取るほかなかった。」
田久保英夫
男34歳
0  
吉村昭
男35歳
0  
久保輝巳
男34歳
0  
河野多恵子
女36歳
0  
須田作次
男36歳
0  
  「今回はどの作品も力がよわいのだから、該当作品なしとするのが妥当であったように、わたしは今でもそうおもっている。」「あたえられた条件にしたがって、落すよりはなるべく取るほうに踏みきるべきことは承知してはいるが、どうもと二の足を踏むものばかりでは張合がない。」
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選考委員
永井龍男男58歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
個性ある作品効果 総行数25 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
川村晃
男34歳
13 「二篇(引用者注:「美談の出発」と「烏のしらが」)を、私は選んだ。」「なに一つ高い声を立てることなく、ひとかたまりの飯粒ほどの人間の交渉を描いて、個性ある作品効果をあげている。」「私はその中に、主人公の使う鉄筆の音だけが、絶えずひびいているような印象をうけた。」「主人公の陰に立つ作者は、贖罪という言葉を弱々しく主人公に使わせているが、本音はもっと激しいものかも知れないと思った。」
坂口䙥子
女47歳
0  
小佐井伸二
男29歳
0  
田久保英夫
男34歳
0  
吉村昭
男35歳
0  
久保輝巳
男34歳
0  
河野多恵子
女36歳
0  
須田作次
男36歳
7 「二篇(引用者注:「美談の出発」と「烏のしらが」)を、私は選んだ。」「独自な才能を持ちながら、なんとしても無駄が多く、筆が迂回し過ぎて、支持を失ったようである。」
  「芥川賞候補に挙げられる作品が、近来徒らに長く、長くなければ力作でないかのような考え方がありとすれば、考え直す必要がありはしないか。」
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選考委員
石川達三男57歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
意外な結果 総行数27 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
川村晃
男34歳
22 「私は最後までかなり強硬に「美談の出発」に反対した。私にはこの作家が、そんなに優れているとは思われない。」「この作品から何等の感銘もうけないし、美しさをも感じない。」「案外この作者は読者の同情を求めながら、うしろを向いて舌を出すようなところが有りはしないか。私はそういうところに欺されないように警戒しなくてはならないという気がするのだ。」
坂口䙥子
女47歳
0  
小佐井伸二
男29歳
0  
田久保英夫
男34歳
0  
吉村昭
男35歳
4 「私ははじめから、今回は授賞作無しと思っていたが、その中でも「烏のしらが」や「石の微笑」や「雪」ならば、それが受賞されても特に強い反対は云わなくても済むはずだった。」
久保輝巳
男34歳
0  
河野多恵子
女36歳
4 「私ははじめから、今回は授賞作無しと思っていたが、その中でも「烏のしらが」や「石の微笑」や「雪」ならば、それが受賞されても特に強い反対は云わなくても済むはずだった。」
須田作次
男36歳
4 「私ははじめから、今回は授賞作無しと思っていたが、その中でも「烏のしらが」や「石の微笑」や「雪」ならば、それが受賞されても特に強い反対は云わなくても済むはずだった。」
  「芥川賞の銓衡にたずさわって既に十年を越えるが、私の考えと全く逆な結果が出たことは今回がはじめてだった。」
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選考委員
舟橋聖一男57歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
諸作の弱み 総行数39 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
川村晃
男34歳
9 「意外にも川村へ票が集った。」「癖や嗜好性の多い田久保・吉村らの小説作りより、「美談の出発」のような私小説風の善人ぶりのほうが、口あたりはいいかも知れないが、文壇意識がないと云うだけで、点を増すのは、銓衡の安定感を稀薄にするので、僕は反対だった。」
坂口䙥子
女47歳
3 「(引用者注:「睡蓮」「石の微笑」と共に)他の諸作の素人っぽさを脱していると見た。」
小佐井伸二
男29歳
0  
田久保英夫
男34歳
10 「(引用者注:「石の微笑」「猫のいる風景」と共に)他の諸作の素人っぽさを脱していると見た。」「達者すぎて、低俗をまぬがれず、(引用者中略)最後の部分、風呂場の中の男女の会話に至って、致命傷となったが、」「(引用者注:吉村昭と共に)文壇的には新進作家の腕前を認められている。」
吉村昭
男35歳
13 「(引用者注:「睡蓮」「猫のいる風景」と共に)他の諸作の素人っぽさを脱していると見た。」「前作の「透明標本」を買えなかった僕としては、こんどは抵抗なしに面白く読めた。」「すぐ女に心中をそそのかす男の癖を、虚無的な味に仕上げたこんどの出来栄は、悪くない。」「(引用者注:田久保英夫と共に)文壇的には新進作家の腕前を認められている。」
久保輝巳
男34歳
0  
河野多恵子
女36歳
4 「ミグレニンを呑めばすぐ治るような痛みを、大仰に甘ったれて書いていて、まだ少女小説の域を出ていないと思った。」
須田作次
男36歳
0  
  「こういう文学の銓衡の際、陥り易いのは、素材が低俗で醜悪だから、授賞をはばかるという評価の道徳性が強いことだ。作家は低俗に目をさらし、文学の照明を当てて、善意と悪意の絡み合う現実を、鮮かに描き上げて行くのが、散文芸術の腕だろう。低俗をロマネスクに書くのが、文学ではないか。」
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井上靖
井伏鱒二
丹羽文雄
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選考委員
井上靖男55歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
執拗な主題の追求 総行数24 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
川村晃
男34歳
9 「一番読みごたえがあった。動きのとれぬ人間関係を設定し、人間の善意というものの持つ弱い面と、それが辿る運命を丹念に、併し、そうむきにならずに追求した作品である。」「地味な作風だが、文章も確りしているし、主題の追求の仕方も執拗であり、それと目立たぬが、どこかにこの作家の独創性も感じられた。一票を投じたゆえんである。」
坂口䙥子
女47歳
6 「達者ではあるが、厭なものもあった。」「(引用者注:「睡蓮」より)まだ素直に読めたが、併し、坂口氏のものでは「蕃婦ロポウ」などの方が、ずっといい。」
小佐井伸二
男29歳
0  
田久保英夫
男34歳
4 「達者ではあるが、厭なものもあった。」
吉村昭
男35歳
0  
久保輝巳
男34歳
3 「前作の印象が残っていて、期待して読んだが、前作の持ったきらきらした青春の輝きはなかった。」
河野多恵子
女36歳
4 「いいと思った。新風といったものは感じられぬが、何かゆたかなものもあり、読後の印象のいい作品で、こうした作品の少い現在、充分珍重さるべきものであろう。」
須田作次
男36歳
3 「面白く読めたし、力倆のある作家だとは思うが、この作品に関する限り冗漫のそしりは免れ得まいと思う。」
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他の選考委員
中村光夫
瀧井孝作
石川淳
永井龍男
石川達三
舟橋聖一
井伏鱒二
丹羽文雄
川端康成
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選考委員
井伏鱒二男64歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
半票を投じる 総行数16 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
川村晃
男34歳
9 「今回は該当者なしと答えたいが、須田作次と川村晃に注目した。」「説明たらずのところもあるし説明過剰のところもある。しかし風変りな冒険的な生活を、よくも「個人経営の社会事業」と云ったものである。」「もしこの作品が問題作になって投票できめる場合には、自分はこれに半票を投じたい。そう申し入れておいた。」
坂口䙥子
女47歳
0  
小佐井伸二
男29歳
0  
田久保英夫
男34歳
0  
吉村昭
男35歳
0  
久保輝巳
男34歳
0  
河野多恵子
女36歳
0  
須田作次
男36歳
7 「今回は該当者なしと答えたいが、須田作次と川村晃に注目した。」「初めの方に民話を一つ二つ取入れて(あるいは創作して)それを手際よく書いてある。」「しかし作品全体から云って、物語をどぎつく荒っぽくまとめてあるので見送る気持に傾いた。」
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他の選考委員
中村光夫
瀧井孝作
石川淳
永井龍男
石川達三
舟橋聖一
井上靖
丹羽文雄
川端康成
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選考委員
丹羽文雄男57歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
題名の秘密 総行数21 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
川村晃
男34歳
3 「題名がこの小説の秘密をさらしている。そういうつもりでこの小説が書かれたのだと思うと、興ざめがする。」
坂口䙥子
女47歳
5 「このひとの文体が変ったのにまごついたが、何かをつらぬこうとする意欲は十分感じられた。全体があまりに性的にこだわりすぎているのが気になったが、それも何かに肉薄しようとする一つの過程だと解した。」
小佐井伸二
男29歳
0  
田久保英夫
男34歳
0  
吉村昭
男35歳
4 「この小説は小説つくりの秘密の不器用なところをみせている。もっと書けるひとだ。候補ずれしないことをのぞむ。」
久保輝巳
男34歳
0  
河野多恵子
女36歳
6 「私は当選させたかった。だんだんと種明かししていくあたり、心にくい技巧だが、推理めいていると評したひとがある。」「作者はそのことをすてても気にすることはいらないのだ。この作者は本質的に何かがある。豊かな情感をあたえる。文章もよろしい。」
須田作次
男36歳
4 「神経質な文学鑑賞は野暮のような気がする。しかし、そう思う私は作者を知っているせいかも知れない。これだけでもなかなかユニークな作品である。」
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他の選考委員
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瀧井孝作
石川淳
永井龍男
石川達三
舟橋聖一
井上靖
井伏鱒二
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選考委員
川端康成男63歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
さびしかった選考 総行数26 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
川村晃
男34歳
1 「私は(引用者中略)支持した。」
坂口䙥子
女47歳
0  
小佐井伸二
男29歳
0  
田久保英夫
男34歳
0  
吉村昭
男35歳
0  
久保輝巳
男34歳
0  
河野多恵子
女36歳
0  
須田作次
男36歳
3 「愛好の部分はあったが、これは疑点、欠点が多く、無駄も多いと思った。」
  「すべての候補作品が古臭くて生きが悪いと、私には感じられた。」「芥川賞というものに、候補作家よりも銓衡委員の方が夢を持っていると、委員の誰かが言ったが、鮮燿な新作家を迎えるほかに銓衡の楽しみはないのである。またしかし、現在のように芥川賞の効果があり過ぎることになっては、とにかく新作家を一人でも推輓出来る好機を逸しない方がよいであろうか。」
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他の選考委員
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瀧井孝作
石川淳
永井龍男
石川達三
舟橋聖一
井上靖
井伏鱒二
丹羽文雄
高見順
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選考委員
高見順男55歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
あるいたましさ 総行数39 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
川村晃
男34歳
8 「挫折した魂のいたましさを感じさせることで、昔の「人民文庫」の仲間の仕事を私に思わせた。」「しかし何かゲテの趣きがありそれから出るのを待ちたいと思って私は推さなかった。しかし私の推した作品が落ちて、最後の投票という時は、昔の仲間を偲ばせる共感の方に私は従った。」
坂口䙥子
女47歳
3 「経歴の古い人だが、私には「猫のいる風景」はとれなかった。」
小佐井伸二
男29歳
2 「美しい小説だがいかにも文学臭が強すぎる。」
田久保英夫
男34歳
6 「「睡蓮」は感心しなかったし、去年の「埠頭」「解禁」「樹蔭」はいささかストーリー・テラーの観があって、私は吉村を推したが、頭角をあらわす作家だと思う。」
吉村昭
男35歳
17 「私は推した。」「このところ毎回のように候補にあがっている。今度の「石の微笑」も決定打にはならない作品だが、力のある作家である。」「つとに「貝殻」(「早稲田文學」三十四年三月)から見られる死の影、あるいは骨への嗜好といったものは、現在の作品にもずっとつづいている。」「そこに私は注目しつつ「石の微笑」や「墳墓の谷」(「文學者三十七年四月。候補作にあげられた「石の微笑」より私にはこの方が面白かった)を読んで、推したのである。」
久保輝巳
男34歳
3 「後日を待ちたい気持」「「海の屑」の方が、できがよかった。」
河野多恵子
女36歳
5 「私は推した。」「「幼児狩り」や「劇場」(「新潮」二月)は異常感覚の強調がいやだったが、候補作「雪」、更に「文學者」二月の「塀の中」に私は感心した。でも、まだこれからの人とも言える。」
須田作次
男36歳
2 「饒舌の面白さに淫し、説得につとめすぎる。」
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他の選考委員
中村光夫
瀧井孝作
石川淳
永井龍男
石川達三
舟橋聖一
井上靖
井伏鱒二
丹羽文雄
川端康成
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受賞者・作品
川村晃男34歳×各選考委員 
「美談の出発」
短篇 133
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
中村光夫
男51歳
9 「作者が、ひとり合点を楽しんでいる小説で、そのいい気なところに反撥する人がいるのは当然だし、技術的に未熟という評もあたっています。しかし作者が何か書きたいものを持ち、それがはっきりしない形でも、とにかくでていることは確かです。」「新人への授賞は、折紙をつける場合も、賭けする気持でする場合もあり、それでよいのだと思います。」
瀧井孝作
男68歳
8 「一番いいと思った。」「暗いが、しかし、何か読ませる力があるのだ。文章には、まだ淡いが、この作家の持味もあるようだ。」「「美談の出発」という題は、この主人公の自嘲の意味もあるらしかった。」
石川淳
男63歳
0  
永井龍男
男58歳
13 「二篇(引用者注:「美談の出発」と「烏のしらが」)を、私は選んだ。」「なに一つ高い声を立てることなく、ひとかたまりの飯粒ほどの人間の交渉を描いて、個性ある作品効果をあげている。」「私はその中に、主人公の使う鉄筆の音だけが、絶えずひびいているような印象をうけた。」「主人公の陰に立つ作者は、贖罪という言葉を弱々しく主人公に使わせているが、本音はもっと激しいものかも知れないと思った。」
石川達三
男57歳
22 「私は最後までかなり強硬に「美談の出発」に反対した。私にはこの作家が、そんなに優れているとは思われない。」「この作品から何等の感銘もうけないし、美しさをも感じない。」「案外この作者は読者の同情を求めながら、うしろを向いて舌を出すようなところが有りはしないか。私はそういうところに欺されないように警戒しなくてはならないという気がするのだ。」
舟橋聖一
男57歳
9 「意外にも川村へ票が集った。」「癖や嗜好性の多い田久保・吉村らの小説作りより、「美談の出発」のような私小説風の善人ぶりのほうが、口あたりはいいかも知れないが、文壇意識がないと云うだけで、点を増すのは、銓衡の安定感を稀薄にするので、僕は反対だった。」
井上靖
男55歳
9 「一番読みごたえがあった。動きのとれぬ人間関係を設定し、人間の善意というものの持つ弱い面と、それが辿る運命を丹念に、併し、そうむきにならずに追求した作品である。」「地味な作風だが、文章も確りしているし、主題の追求の仕方も執拗であり、それと目立たぬが、どこかにこの作家の独創性も感じられた。一票を投じたゆえんである。」
井伏鱒二
男64歳
9 「今回は該当者なしと答えたいが、須田作次と川村晃に注目した。」「説明たらずのところもあるし説明過剰のところもある。しかし風変りな冒険的な生活を、よくも「個人経営の社会事業」と云ったものである。」「もしこの作品が問題作になって投票できめる場合には、自分はこれに半票を投じたい。そう申し入れておいた。」
丹羽文雄
男57歳
3 「題名がこの小説の秘密をさらしている。そういうつもりでこの小説が書かれたのだと思うと、興ざめがする。」
川端康成
男63歳
1 「私は(引用者中略)支持した。」
高見順
男55歳
8 「挫折した魂のいたましさを感じさせることで、昔の「人民文庫」の仲間の仕事を私に思わせた。」「しかし何かゲテの趣きがありそれから出るのを待ちたいと思って私は推さなかった。しかし私の推した作品が落ちて、最後の投票という時は、昔の仲間を偲ばせる共感の方に私は従った。」
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他の候補作
坂口䙥子
「猫のいる風景」
小佐井伸二
「雪の上の足跡」
田久保英夫
「睡蓮」
吉村昭
「石の微笑」
久保輝巳
「白い塑像」
河野多恵子
「雪」
須田作次
「烏のしらが」
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候補者・作品
坂口䙥子女47歳×各選考委員 
「猫のいる風景」
短篇 87
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
中村光夫
男51歳
10 「或る水準にはたしかに達しています。ただ、それをつきぬける何かがかけていて、それが文学作品にもっとも本質的なもののように思われるのは、作者も考えてほしいと思います。」「(引用者注:坂口、田久保、吉村の中では)筆が枯れているだけに、一番抵抗なく読めました。」
瀧井孝作
男68歳
4 「わざと面白おかしく描いたのか、何か猥雑で、いやな感じがした。」「「蕃婦ロポウの話」は、佳作だったが。」
石川淳
男63歳
0  
永井龍男
男58歳
0  
石川達三
男57歳
0  
舟橋聖一
男57歳
3 「(引用者注:「睡蓮」「石の微笑」と共に)他の諸作の素人っぽさを脱していると見た。」
井上靖
男55歳
6 「達者ではあるが、厭なものもあった。」「(引用者注:「睡蓮」より)まだ素直に読めたが、併し、坂口氏のものでは「蕃婦ロポウ」などの方が、ずっといい。」
井伏鱒二
男64歳
0  
丹羽文雄
男57歳
5 「このひとの文体が変ったのにまごついたが、何かをつらぬこうとする意欲は十分感じられた。全体があまりに性的にこだわりすぎているのが気になったが、それも何かに肉薄しようとする一つの過程だと解した。」
川端康成
男63歳
0  
高見順
男55歳
3 「経歴の古い人だが、私には「猫のいる風景」はとれなかった。」
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他の候補作
川村晃
「美談の出発」
小佐井伸二
「雪の上の足跡」
田久保英夫
「睡蓮」
吉村昭
「石の微笑」
久保輝巳
「白い塑像」
河野多恵子
「雪」
須田作次
「烏のしらが」
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候補者・作品
小佐井伸二男29歳×各選考委員 
「雪の上の足跡」
短篇 52
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
中村光夫
男51歳
0  
瀧井孝作
男68歳
6 「淡くて夢のようで、恰も雪の上の足跡のように消えやすい、このとりとめのない所が面白いのだろうか。」
石川淳
男63歳
7 「わたしはまず(引用者中略)推した。これ一本のことにして見れば、とくにまんぞくな作品とはいえない。」「ただ提出された八篇のワクの中では、傾向からいって、わたしとしてこれを取るほかなかった。」
永井龍男
男58歳
0  
石川達三
男57歳
0  
舟橋聖一
男57歳
0  
井上靖
男55歳
0  
井伏鱒二
男64歳
0  
丹羽文雄
男57歳
0  
川端康成
男63歳
0  
高見順
男55歳
2 「美しい小説だがいかにも文学臭が強すぎる。」
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他の候補作
川村晃
「美談の出発」
坂口䙥子
「猫のいる風景」
田久保英夫
「睡蓮」
吉村昭
「石の微笑」
久保輝巳
「白い塑像」
河野多恵子
「雪」
須田作次
「烏のしらが」
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候補者・作品
田久保英夫男34歳×各選考委員 
「睡蓮」
短篇 103
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
中村光夫
男51歳
8 「或る水準にはたしかに達しています。ただ、それをつきぬける何かがかけていて、それが文学作品にもっとも本質的なもののように思われるのは、作者も考えてほしいと思います。」
瀧井孝作
男68歳
4 「稍古くさい感じのものになって、これは失敗作だろうが、この新作家が、世俗の題材に勇ましく取組んだ意欲は、認めてもよいかと思った。」
石川淳
男63歳
0  
永井龍男
男58歳
0  
石川達三
男57歳
0  
舟橋聖一
男57歳
10 「(引用者注:「石の微笑」「猫のいる風景」と共に)他の諸作の素人っぽさを脱していると見た。」「達者すぎて、低俗をまぬがれず、(引用者中略)最後の部分、風呂場の中の男女の会話に至って、致命傷となったが、」「(引用者注:吉村昭と共に)文壇的には新進作家の腕前を認められている。」
井上靖
男55歳
4 「達者ではあるが、厭なものもあった。」
井伏鱒二
男64歳
0  
丹羽文雄
男57歳
0  
川端康成
男63歳
0  
高見順
男55歳
6 「「睡蓮」は感心しなかったし、去年の「埠頭」「解禁」「樹蔭」はいささかストーリー・テラーの観があって、私は吉村を推したが、頭角をあらわす作家だと思う。」
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他の候補作
川村晃
「美談の出発」
坂口䙥子
「猫のいる風景」
小佐井伸二
「雪の上の足跡」
吉村昭
「石の微笑」
久保輝巳
「白い塑像」
河野多恵子
「雪」
須田作次
「烏のしらが」
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候補者・作品
吉村昭男35歳×各選考委員 
「石の微笑」
短篇 84
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
中村光夫
男51歳
8 「或る水準にはたしかに達しています。ただ、それをつきぬける何かがかけていて、それが文学作品にもっとも本質的なもののように思われるのは、作者も考えてほしいと思います。」
瀧井孝作
男68歳
4 「余りに小説らしく仕組んで、古くさい感じになった、これも失敗作だろう。」「「透明標本」の方がずっと佳かったが。」
石川淳
男63歳
0  
永井龍男
男58歳
0  
石川達三
男57歳
4 「私ははじめから、今回は授賞作無しと思っていたが、その中でも「烏のしらが」や「石の微笑」や「雪」ならば、それが受賞されても特に強い反対は云わなくても済むはずだった。」
舟橋聖一
男57歳
13 「(引用者注:「睡蓮」「猫のいる風景」と共に)他の諸作の素人っぽさを脱していると見た。」「前作の「透明標本」を買えなかった僕としては、こんどは抵抗なしに面白く読めた。」「すぐ女に心中をそそのかす男の癖を、虚無的な味に仕上げたこんどの出来栄は、悪くない。」「(引用者注:田久保英夫と共に)文壇的には新進作家の腕前を認められている。」
井上靖
男55歳
0  
井伏鱒二
男64歳
0  
丹羽文雄
男57歳
4 「この小説は小説つくりの秘密の不器用なところをみせている。もっと書けるひとだ。候補ずれしないことをのぞむ。」
川端康成
男63歳
0  
高見順
男55歳
17 「私は推した。」「このところ毎回のように候補にあがっている。今度の「石の微笑」も決定打にはならない作品だが、力のある作家である。」「つとに「貝殻」(「早稲田文學」三十四年三月)から見られる死の影、あるいは骨への嗜好といったものは、現在の作品にもずっとつづいている。」「そこに私は注目しつつ「石の微笑」や「墳墓の谷」(「文學者三十七年四月。候補作にあげられた「石の微笑」より私にはこの方が面白かった)を読んで、推したのである。」
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他の候補作
川村晃
「美談の出発」
坂口䙥子
「猫のいる風景」
小佐井伸二
「雪の上の足跡」
田久保英夫
「睡蓮」
久保輝巳
「白い塑像」
河野多恵子
「雪」
須田作次
「烏のしらが」
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候補者・作品
久保輝巳男34歳×各選考委員 
「白い塑像」
短篇 63
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
中村光夫
男51歳
0  
瀧井孝作
男68歳
4 「この人のものは、前回の予選作「海の屑」の方が未だしもよかったが。」
石川淳
男63歳
0  
永井龍男
男58歳
0  
石川達三
男57歳
0  
舟橋聖一
男57歳
0  
井上靖
男55歳
3 「前作の印象が残っていて、期待して読んだが、前作の持ったきらきらした青春の輝きはなかった。」
井伏鱒二
男64歳
0  
丹羽文雄
男57歳
0  
川端康成
男63歳
0  
高見順
男55歳
3 「後日を待ちたい気持」「「海の屑」の方が、できがよかった。」
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他の候補作
川村晃
「美談の出発」
坂口䙥子
「猫のいる風景」
小佐井伸二
「雪の上の足跡」
田久保英夫
「睡蓮」
吉村昭
「石の微笑」
河野多恵子
「雪」
須田作次
「烏のしらが」
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候補者・作品
河野多恵子女36歳×各選考委員 
「雪」
短篇 73
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
中村光夫
男51歳
3 「文章がうまいがうますぎる感じで、話もうまく(ことに終りの部分で)つくりすぎていますが、才の有る人という印象をうけました。」
瀧井孝作
男68歳
3 「女の特異の感情を美しく見せたものだが、抽象化されて、きれい事のようで、恰も美術人形のようで、僕は採れなかった。」
石川淳
男63歳
0  
永井龍男
男58歳
0  
石川達三
男57歳
4 「私ははじめから、今回は授賞作無しと思っていたが、その中でも「烏のしらが」や「石の微笑」や「雪」ならば、それが受賞されても特に強い反対は云わなくても済むはずだった。」
舟橋聖一
男57歳
4 「ミグレニンを呑めばすぐ治るような痛みを、大仰に甘ったれて書いていて、まだ少女小説の域を出ていないと思った。」
井上靖
男55歳
4 「いいと思った。新風といったものは感じられぬが、何かゆたかなものもあり、読後の印象のいい作品で、こうした作品の少い現在、充分珍重さるべきものであろう。」
井伏鱒二
男64歳
0  
丹羽文雄
男57歳
6 「私は当選させたかった。だんだんと種明かししていくあたり、心にくい技巧だが、推理めいていると評したひとがある。」「作者はそのことをすてても気にすることはいらないのだ。この作者は本質的に何かがある。豊かな情感をあたえる。文章もよろしい。」
川端康成
男63歳
0  
高見順
男55歳
5 「私は推した。」「「幼児狩り」や「劇場」(「新潮」二月)は異常感覚の強調がいやだったが、候補作「雪」、更に「文學者」二月の「塀の中」に私は感心した。でも、まだこれからの人とも言える。」
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他の候補作
川村晃
「美談の出発」
坂口䙥子
「猫のいる風景」
小佐井伸二
「雪の上の足跡」
田久保英夫
「睡蓮」
吉村昭
「石の微笑」
久保輝巳
「白い塑像」
須田作次
「烏のしらが」
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候補者・作品
須田作次男36歳×各選考委員 
「烏のしらが」
中篇 166
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
中村光夫
男51歳
5 「ひどく冗漫で、読んで行くのが苦痛でしたが、読み終ると何かあるという気がしました。いい気でひとり合点なところをなくなせといっても無理でしょうが、それをうまく文章に生かしてもらいたいと思います。」
瀧井孝作
男68歳
3 「「楢山節考」などの捨老譚にも似通う哀音めいたものに、古めかしいものに、溺れすぎた小説だろう。」
石川淳
男63歳
0  
永井龍男
男58歳
7 「二篇(引用者注:「美談の出発」と「烏のしらが」)を、私は選んだ。」「独自な才能を持ちながら、なんとしても無駄が多く、筆が迂回し過ぎて、支持を失ったようである。」
石川達三
男57歳
4 「私ははじめから、今回は授賞作無しと思っていたが、その中でも「烏のしらが」や「石の微笑」や「雪」ならば、それが受賞されても特に強い反対は云わなくても済むはずだった。」
舟橋聖一
男57歳
0  
井上靖
男55歳
3 「面白く読めたし、力倆のある作家だとは思うが、この作品に関する限り冗漫のそしりは免れ得まいと思う。」
井伏鱒二
男64歳
7 「今回は該当者なしと答えたいが、須田作次と川村晃に注目した。」「初めの方に民話を一つ二つ取入れて(あるいは創作して)それを手際よく書いてある。」「しかし作品全体から云って、物語をどぎつく荒っぽくまとめてあるので見送る気持に傾いた。」
丹羽文雄
男57歳
4 「神経質な文学鑑賞は野暮のような気がする。しかし、そう思う私は作者を知っているせいかも知れない。これだけでもなかなかユニークな作品である。」
川端康成
男63歳
3 「愛好の部分はあったが、これは疑点、欠点が多く、無駄も多いと思った。」
高見順
男55歳
2 「饒舌の面白さに淫し、説得につとめすぎる。」
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他の候補作
川村晃
「美談の出発」
坂口䙥子
「猫のいる風景」
小佐井伸二
「雪の上の足跡」
田久保英夫
「睡蓮」
吉村昭
「石の微笑」
久保輝巳
「白い塑像」
河野多恵子
「雪」
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