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第71回
  • =受賞者=
  • 藤本義一
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藤本義一
Fujimoto Giichi
生没年月日【注】 昭和8年/1933年1月26日~平成24年/2012年10月30日
受賞年齢 41歳5ヵ月
経歴 本名=藤本義一(フジモト・ヨシカズ)。大阪府堺市生まれ。大阪府立大学(入学時は浪速大学)経済学部卒。在学中よりラジオドラマ、舞台劇の脚本募集に次々入選。卒業後、宝塚映画、大映などでシナリオを数多く執筆する。昭和40年/1965年~平成2年/1990年、テレビ番組『11PM』の司会を務めた。
受賞歴・候補歴
  • 第12回芸術祭賞[脚本賞](昭和32年/1957年度)「つばくろの歌」《ラジオドラマ》
  • 第2回文藝賞[戯曲部門][佳作第一席](昭和38年/1963年)「日時計の家」《戯曲》
  • |候補| 第61回直木賞(昭和43年/1968年下期)『ちりめんじゃこ』
  • |候補| 第62回直木賞(昭和44年/1969年上期)「マンハッタン・ブルース」
  • |候補| 第65回直木賞(昭和46年/1971年下期)「生きいそぎの記」
  • 第1回「噂」小説賞(昭和47年/1972年)
  • 第71回直木賞(昭和49年/1974年上期)「鬼の詩」
  • |候補| 第31回日本推理作家協会賞[短編部門](昭和53年/1978年)「街に殺意が一杯」
  • 第1回関西大賞(昭和61年/1986年)
  • 第7回日本文芸大賞(昭和62年/1987年)『螢の宿』
  • 大阪芸術賞[文芸](平成10年/1998年)
備考
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直木賞 第61回候補  一覧へ
『ちりめんじゃこ』(昭和43年/1968年11月・三一書房/さんいちぶっくす)
媒体・作品情報
印刷/発行年月日 発行 昭和43年/1968年11月5日(第1版)
発行者等 発行者 竹村 一 印刷所 文栄印刷株式会社 製本所 本間製本株式会社
発行所 株式会社三一書房(東京都) 形態 新書判 並製
総ページ数 353 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
42字
×18行
×1段
本文ページ 3~353
(計351頁)
測定枚数 606
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書誌
>>初出『静岡新聞』連載
>>昭和49年/1974年3月・角川書店/角川文庫『ちりめんじゃこ』
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候補者 藤本義一 男36歳
選考委員 評価 行数 評言
松本清張
男59歳
3 「それなりに面白いが内容も文章も少々軽すぎる。」
大佛次郎
男71歳
0  
海音寺潮五郎
男67歳
6 「大へんおもしろく読んだ。ねばっこくテーマを追求して行くところ、いい素質である。この人はきっとまたよいものを書くであろう。」
川口松太郎
男69歳
0  
石坂洋次郎
男69歳
10 「達文で精細によく描かれてあるが、題材が特殊なものなので見送られてしまった。」「一本立ちが出来る力を備えていることはたしかだ。」
今日出海
男65歳
13 「大衆小説として充分通用する作品であることに間違いはないが、ベテランのすり(原文傍点)と刑事との物語を綿々と語って、人間の味わいがその割に滲み出ない。」「新人だけに職業化するよりももっと冒険をしてもいいのではないかとも思われる。」
源氏鶏太
男57歳
10 「構成力を高く評価していたので、そのことを主張した。」「描写が柔軟なのがいい。力まないで全力投球をしているといった感じである。今も授賞に値いするのではなかったのか、と思っている。」
村上元三
男59歳
13 「わたしには一ばん面白かった。八篇の中で、これだけが大衆文学であり、刑事と掏摸との関係も、戦前によく読んだマッカレーの「地下鉄サム」よりも人間くさい。しかし、これを推したのは源氏鶏太氏とわたしだけなので、多勢に無勢という形になった。」
柴田錬三郎
男52歳
15 「かなり買ったが、直木賞としては、どうか、と思われたので、つよくは推しかねた。」「佐藤愛子がこん後大いに書ける作家というならば、藤本義一もこん後期待できる作家というべきである。」
中山義秀
男68歳
4 「すでにプロとして充分なものがあり、賞を与えるまでもないように思われます。」
水上勉
男50歳
9 「達者である。村上さんが推された大衆小説の面白さもある。だが、「戦いすんで……」と比べた場合、ユーモアの質もちがう」
選評出典:『オール讀物』昭和44年/1969年10月号
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文量
長篇
章立て
「開幕」「約束」「親子」「計画」「方船」「虹の影」「風花」「白描」「水面」
時代設定 場所設定
[同時代]  大阪~京都~有馬温泉~静岡
登場人物
平平平平(ヒラダイラ・イッペイ、通称ヒラやん、ベテラン掏摸)
船好和成(掏摸係刑事、ヒラやんの戦友)
紙江(ヒラやんの若い後妻)
平一郎(ヒラやんの息子、やくざ)
昭子(船好の娘、法務局事務官)




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「マンハッタン・ブルース」(『別冊文藝春秋』110号[昭和44年/1969年12月])
媒体・作品情報
誌名 「別冊文藝春秋」  別表記背・表紙 「別册文藝春秋」 目次・奥付 「別冊文藝春秋」 裏表紙 「別冊 文藝春秋」
巻号 第110号  別表記新春特大号
印刷/発行年月日 発行 昭和44年/1969年12月5日
発行者等 編集兼発行人 印南 寛 印刷人 澤村嘉一 印刷所 凸版印刷株式会社
発行所 株式会社文藝春秋(東京都)
総ページ数 360 表記上の枚数 目次 100枚 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×25行
×2段
本文ページ 196~227
(計32頁)
測定枚数 100
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書誌
>>昭和46年/1971年10月・文藝春秋刊『贋芸人抄』所収
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候補者 藤本義一 男36歳
選考委員 評価 行数 評言
大佛次郎
男72歳
0  
石坂洋次郎
男69歳
2  
川口松太郎
男70歳
0  
村上元三
男59歳
6 「材料も舞台も面白いのに、力みすぎている。「ちりめんじゃこ」のように、あぐらをかいた作品がほしい。」
海音寺潮五郎
男68歳
8 「皆うまいと思った。」「若い人々の技倆はここまで上ったのである。この中からぬきんでることは、なまなかの努力では追いつけまい。」
柴田錬三郎
男52歳
8 「出来としては、八篇中随一だが、どこかで読んだことのあるようなストーリイのつまらなさは、掩いがたく、損をした。」
今日出海
男66歳
0  
水上勉
男50歳
5 「前作ほどの生彩がない。」「語り口の特異な軽快さはおもしろいのだ。」
源氏鶏太
男57歳
5 「終末に近づくにつれて凄味が出てくるのだが、全体として発想に独自の物が感じられなかった。」
司馬遼太郎
男46歳
0  
松本清張
男60歳
13 「今回も前作とは違う意味で私は推さなかった。テーマも目新しいものではないが、とりあげ方も古い。」「文章の軽重変化はあっても、作者の文体が無いと、作者の眼(あるいは思想)を感じさせない。」
選評出典:『オール讀物』昭和45年/1970年4月号
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文量
短篇
章立て
「一」~「六」
時代設定 場所設定
同時代  ニューヨーク
登場人物
おれ(語り手、留学生くずれ)
小林圭子(米国を転々とする戦争花嫁)
織田(ルポライター)




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生きいそぎの 記」(『別冊小説現代』昭和46年/1971年初夏号[7月])
媒体・作品情報
測定媒体 昭和53年/1978年5月・講談社/講談社文庫『生きいそぎの記』
形態 文庫判 並製
総ページ数 297 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
43字
×19行
×1段
本文ページ 7~71
(計65頁)
測定枚数 117
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書誌
>>昭和47年/1972年3月・三一書房刊『現代の小説 1971年度後期代表作』所収
>>昭和49年/1974年10月・講談社刊『生きいそぎの記』所収
>>昭和53年/1978年5月・講談社/講談社文庫『生きいそぎの記』所収
>>平成3年/1991年2月・ファラオ企画刊『鬼の詩・上方苦界草紙』所収
>>平成13年/2001年1月・河出書房新社刊『川島雄三、サヨナラだけが人生だ』所収
>>平成25年/2013年4月・河出書房新社/河出文庫『鬼の詩/生きいそぎの記』所収
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候補者 藤本義一 男38歳
選考委員 評価 行数 評言
石坂洋次郎
男71歳
2  
水上勉
男52歳
20 「川島氏という人間の面白さはよく書けている。だがこの人には作家としての定着性がない、という意見がつよく、私もそれに屈した。」「すでに多作時代に入った氏である。傑作はすぐそこに見えている。」
源氏鶏太
男59歳
9 「最も議論をよんだ作品であった。」「私自身は、藤本氏のこういう作品よりも、もっと軽妙な作品が好きである。」
川口松太郎
男71歳
13 「主人公のモデルが委員たちと交際のあった人だけに損をした。」「こんな単純平板な見方でなくもっと真剣に主人公を掘り下げ長編でも書くつもりで取り組んだらいい小説が書けると思う。」
柴田錬三郎
男54歳
6 「作者自身とっておきの材料であったかも知れぬが、川島雄三という映画監督をよく知る者にとっては、もの足りぬ描きかたであった。」
司馬遼太郎
男47歳
0  
今日出海
男67歳
0  
村上元三
男61歳
10 「この作者の、近来の力作であろう。だが、力みすぎて、面白い作品を書くことを、ここでは忘れている。これは、直木賞にふさわしい大衆小説ではない。」
大佛次郎
男73歳
0  
松本清張
男61歳
18 「これまでの氏の作品でいちばんよく、また今回の候補作中でも秀作だった。だが、氏の従来の多くの作品に個性がみられず、いわば小器用に何でも書くといった姿勢が不満である。」
選評出典:『オール讀物』昭和46年/1971年10月号
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文量
短篇
章立て
「一」~「九」
時代設定 場所設定
昭和33年/1958年  大阪
登場人物
おれ(語り手、見習いシナリオライター)
川島雄三(映画監督)




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おに うた
鬼の 詩」(『別冊小説現代』昭和49年/1974年陽春号[4月])
媒体・作品情報
誌名 「別冊小説現代」
巻号 第9巻 第2号  別表記陽春号
作品名 別表記 目次 「(おにのうた)」併記 本文 ルビ有り「おに」「うた」
印刷/発行年月日 発行 昭和49年/1974年4月15日
発行者等 編集人 駒井晧二 発行人 三木 章 印刷人 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社(東京都)
発行所 株式会社講談社(東京都)
装幀/装画等  下高原健二ルビ有りしもたかはら けんじ
総ページ数 344 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
20字
×26行
×3段
本文ページ 18~41
(計24頁)
測定枚数 86
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書誌
>>昭和49年/1974年7月・講談社刊『鬼の詩』所収
>>昭和50年/1975年☆月・講談社/ロマン・ブックス『鬼の詩』所収
>>昭和51年/1976年12月・講談社/講談社文庫『鬼の詩』所収
>>平成3年/1991年2月・ファラオ企画刊『鬼の詩・上方苦界草紙』所収
>>平成7年/1995年8月・ぎょうせい刊『ふるさと文学館 第三三巻 大阪2』所収
>>平成25年/2013年4月・河出書房新社/河出文庫『鬼の詩/生きいそぎの記』所収
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候補者 藤本義一 男41歳
選考委員 評価 行数 評言
柴田錬三郎
男57歳
13 「努力すれば努力するほど、生きることの惨めさを露呈する人間の哀しさが、まことに巧妙に、描かれている。作者は、ようやく器用貧乏を脱して、自分独特の鉱脈を掘りあてたようである。」
源氏鶏太
男62歳
19 「ちょっと達者過ぎないかと思われるほど、世にも凄じい落語家の話が次から次へと描かれていて、強いての欲をいえば、多少の余裕がほしかった。」「明治の末頃の大阪での「芸」の意味について司馬遼太郎氏からの詳しい説明があって、私は、更に「鬼の詩」を高く評価する気になった。」
今日出海
男70歳
20 「東京では芸と趣向を殊更に区別する。こんな風習の相違は一般読者にはわかってみればまた興味もあるが、説明が必要であろう。しかし手練の作品として推すことにやぶさかではない。」
石坂洋次郎
男74歳
12 「芸能人であれ、作家であれ、私は破滅型の生活には共感がもてない。」「藤本氏よ、作品には破滅型の人物を描いても、貴方自身の私生活を崩すことがないように……。」
村上元三
男64歳
24 「こんどは藤本義一氏以外にはない、と思って銓衡会場へ行った。」「人間をつきつめて行って、えげつない、きたなさを描く最近のこの作者の傾向に反対はしないが、「ちりめんじゃこ」のような大阪特有の明るさ、のんきさを描くことも忘れないでほしい。わたしの入れた点は、「鬼の詩」プラス従来の実績、ということであった。」
川口松太郎
男74歳
39 「藤本義一君は既に作家として名を成していて直木賞に入らなくともさほどの失望はあるまいと思い、阿部、半村の二作を推薦して決定は委員諸氏の判断に任せた。」「人気作家になってからも生活を変えず、社会との接触面を大事にして頂きたいと思う。」
松本清張
男64歳
19 「曾つては長谷川幸延氏の世界でもあったが、藤本氏のは芸人の怨念といったものがこもっている。」「藤本氏はようやく腰がきまり、しかもこれに脂が乗った感じである。積極的に推すことができた。」
水上勉
男55歳
22 「候補作品のどれよりもぬきん出て個性的な光りがあった。」「藤本さんの世界が腰をすえて、確りと打ち出された感じで、しかもその出来に妙があった。妙は藤本さんの心田の所産である。」
司馬遼太郎
男50歳
35 「候補七編のうち、(引用者中略)ぬきん出た作品だった。」「初代春団治もまかりまちがえばこの作品の主人公のようなバケモノになりかねない所があったが、春団治の天才性がそれを救った。この主人公には十分な才能がなかったために、春団治にはなれずにバケモノになってしまった。その人間の問題のきわどさが、この作品によってよくわかるような気がした。」
選評出典:『オール讀物』昭和49年/1974年10月号
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文量
短篇
章立て
「一」~「七」
時代設定 場所設定
明治末期  大阪
登場人物
桂馬喬(狂的な落語家)
露(馬喬の妻、夭折)
桂文我(馬喬がライバル視する落語家)




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