芥川賞のすべて・のようなもの
第44回
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昭和35年/1960年下半期
(昭和36年/1961年1月23日決定発表/『文藝春秋』昭和36年/1961年3月号選評掲載)
選考委員  井伏鱒二
男62歳
中村光夫
男49歳
瀧井孝作
男66歳
石川達三
男55歳
佐藤春夫
男68歳
丹羽文雄
男56歳
永井龍男
男56歳
川端康成
男61歳
井上靖
男53歳
舟橋聖一
男56歳
宇野浩二
男69歳
選評総行数  13 33 43 33 31 25 37 17 31 35 53
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
三浦哲郎 「忍ぶ川」
74
男29歳
6 15 12 19 18 5 6 6 15 13 9
小野東 「川中島の花さん」
115
男36歳
0 0 2 0 0 9 3 0 0 0 6
泉大八 「ブレーメン分会」
192
男32歳
0 6 6 0 0 0 7 4 3 0 5
小林勝 「架橋」
64
男33歳
0 0 4 0 0 0 6 0 0 4 3
倉橋由美子 「夏の終り」
31
女25歳
0 0 3 3 3 0 3 0 0 12 6
柴田翔 「ロクタル管の話」
56
男26歳
4 0 4 0 0 0 5 0 3 0 8
野村尚吾 「花やあらむ」
77
男49歳
4 0 2 4 0 2 3 4 4 9 6
坂口䙥子 「蕃婦ロポウの話」
57
女46歳
0 5 5 4 16 11 3 6 13 4 7
木野工 「紙の裏」
112
男40歳
4 3 5 3 0 2 4 0 3 0 7
欠席                    
年齢/枚数の説明   見方・注意点

このページの選評出典:『芥川賞全集 第六巻』昭和57年/1982年7月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和36年/1961年3月号)
1行当たりの文字数:26字


選考委員
井伏鱒二男62歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
貧乏を書く 総行数13 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
三浦哲郎
男29歳
6 「清純である点に私は心をひかされた。沈痛な感もあるようだ。美しく貧乏することは難しいが、そういう貧乏をまた美しく書いてある。」「私は(引用者中略)この作品を第一候補にあげ、」
小野東
男36歳
0  
泉大八
男32歳
0  
小林勝
男33歳
0  
倉橋由美子
女25歳
0  
柴田翔
男26歳
4 「(引用者注:「忍ぶ川」の次に)あげるという意味を、日本文學振興会へ申入れておいた。」「いきなり懸河の弁で才筆である。」
野村尚吾
男49歳
4 「(引用者注:「忍ぶ川」「紙の裏」「ロクタル管の話」の次に)あげるという意味を、日本文學振興会へ申入れておいた。」「良い題材で清潔だが、ノート風に処置されているのは遠慮ぶかすぎると思った。」
坂口䙥子
女46歳
0  
木野工
男40歳
4 「(引用者注:「忍ぶ川」の次に)あげるという意味を、日本文學振興会へ申入れておいた。」「題材が良いと思った。」
          - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
中村光夫
瀧井孝作
石川達三
佐藤春夫
丹羽文雄
永井龍男
川端康成
井上靖
舟橋聖一
宇野浩二
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選考委員
中村光夫男49歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
できた作品 総行数33 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
三浦哲郎
男29歳
15 「一口に云えばいかにも古めかしいので、童話のように幸福な恋愛と結婚を物語りながら、恋愛が一方的に前提とされているだけで、少しも描かれていないという気がします。」「ともかく一応できた作品であり、作者の性格の或る強さが感じられることはたしかです。」
小野東
男36歳
0  
泉大八
男32歳
6 「未熟で作者が自分ひとり面白がっているようなところは気になりますが、その代り、自分の経験をあまり気兼ねしないで、のびのび書いているらしいところが、将来を期待させるので、これがまず一番当選に近いと思って行きましたが、席上では意外に不評でした。」
小林勝
男33歳
0  
倉橋由美子
女25歳
0  
柴田翔
男26歳
0  
野村尚吾
男49歳
0  
坂口䙥子
女46歳
5 「これほど支持があつまるとは、意外で、僕には水準以下の作品と思われました。」
木野工
男40歳
3 「(引用者注:「忍ぶ川」が)当選作とすると、「紙の裏」のように欠点はあってもそれなりの力作といえる小説は気の毒という感じがのこります。」
  「候補作の粒がそろっているわりに、これといって当選作に推したいものはありませんでした。」「今度の審査会は、候補作の水準が丁度そうなっていたせいか、各自の文学観の違いが、試験紙の反応のようにはっきりでて、いい勉強となりました。」
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他の選考委員
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選考委員
瀧井孝作男66歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
甘美な恋愛小説 総行数43 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
三浦哲郎
男29歳
12 「一番佳いと思った。」「筆致が清澄で、事物がわかりやすい。短篇としての構成も、うまい。」「十七字音の定型の俳句を見るような古風なもので、この古風なのも却って面白いと思った。」
小野東
男36歳
2 「一応読ませる何かを持っている人だと思った。」
泉大八
男32歳
6 「二番目に(引用者中略)佳いかと思った。」「在来のプロレタリヤ小説とくらべて、これは明るいうまみがあって、長いけれど面白く読めた。」「筆には、明るい若いやわらかい味がある、これが佳いと思った。」
小林勝
男33歳
4 「この人のものは、以前に一寸佳いのがあったが、これはどうも拙い。しまいまで読んでも「架橋」という題の意図もわからない。」
倉橋由美子
女25歳
3 「この人のものも、以前に「パルタイ」を読んだきりだが、この「夏の終り」は、いやなもので、よくない。」
柴田翔
男26歳
4 「スッキリとは描けてないようだが。」
野村尚吾
男49歳
2 「筆が大方説明的、又咏嘆調で浅いようだ。」
坂口䙥子
女46歳
5 「佐藤春夫さんがほめられて、少し見直したが、文章がどうも弱く淡いようだ。終末の蕃婦が荒い谷に落ちて心中する所も、これは話の芯になる所だろうが、どうも惹きこまれない。」
木野工
男40歳
5 「新聞の販売拡張の機構を描いた小説か、新聞配達少年の恋を描いた小説か、どちらか、しまいの方で話が二つに割れて、出来栄は拙い。筆も粗雑だ。」
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井伏鱒二
中村光夫
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川端康成
井上靖
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選考委員
石川達三男55歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
自信をもって三浦君を 総行数33 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
三浦哲郎
男29歳
19 「推す決心をして委員会に出席した。二度読み返してみて、これを推すことに自信を得た。」「何よりも私がこれを推そうと考えたのは、この作品が報告書や作文や記録や日記や、そう云ったかたちのものではなくて、小説の原型とも云うべき正しい形のものであることと、表現の一字一句がまさしく小説であって、それ以外のものではないと云うことであった。」「小説の大きな要素の一つである「美の表現」ということを感覚的に正しく知っている人だと私は信じ得た。」
小野東
男36歳
0  
泉大八
男32歳
0  
小林勝
男33歳
0  
倉橋由美子
女25歳
3 「自分の作品について再考すべき時期に来たのではないかと思った。この作品にはこの作者の観点が一番大きく出ているように思われる。」
柴田翔
男26歳
0  
野村尚吾
男49歳
4 「労作であろうと察しられたが、評伝的なものであって、評伝に終っているのが欠点であろう。」「連歌というものが全く書かれていないので、連歌師の人柄も浮んで来ない。」
坂口䙥子
女46歳
4 「当選作とするには足りない気がしたが、面白い作品であると思う。技巧の鼻につく点もなくはないが、歯切れのいい冴えた表現もあって、なかなかの作者である。」
木野工
男40歳
3 「選者の永井氏が直木賞の方に推したかったと云ったように、面白いところはたくさん有るが、新聞記者的な文章と創作態度とが、私には物足らなかった。」
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他の選考委員
井伏鱒二
中村光夫
瀧井孝作
佐藤春夫
丹羽文雄
永井龍男
川端康成
井上靖
舟橋聖一
宇野浩二
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選考委員
佐藤春夫男68歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
「忍ぶ川」と「蕃婦ロポウの話」 総行数31 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
三浦哲郎
男29歳
18 「当選圏内に入れる作品」「起承転結のよく調ったなかなか作法を心得た出来栄えで、結末のさびしいハッピーエンドもよく利いているとは思ったがその題に表われているようなふるさ(原文傍点)が少々気にならないでもなかった。」「誰でも好意が持たれそうなところにふるさと甘さがあるようでもある。それにしても九篇のうち第一等ではないにしても第一級の作品であることに疑いない。」「当選に不満はなかった。」
小野東
男36歳
0  
泉大八
男32歳
0  
小林勝
男33歳
0  
倉橋由美子
女25歳
3 「幼稚なこしらえものの観念小説」
柴田翔
男26歳
0  
野村尚吾
男49歳
0  
坂口䙥子
女46歳
16 「当選圏内に入れる作品」「たどたどしい表現でちと読みづらいがなかなか適切に表現力のあるもので、ひょっとするとこのたどたどしさも意識しての技巧ではないかと思わせるほどで、これは大した達者な文章だと感心した。「忍ぶ川」にくらべてこの方が新しい。」「第一級の作品と見て、(引用者中略)僕は第一を「蕃婦ロポウ」第二を「忍ぶ川」と考えて出席した。」
木野工
男40歳
0  
  「(引用者注:「夏の終り」以外は)みなそれぞれに取得もありおもしろく読んで候補作品に値すると思った」
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他の選考委員
井伏鱒二
中村光夫
瀧井孝作
石川達三
丹羽文雄
永井龍男
川端康成
井上靖
舟橋聖一
宇野浩二
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選考委員
丹羽文雄男56歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
人間の哀しさ 総行数25 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
三浦哲郎
男29歳
5 「私は第二位に置いていた。」「上手な小説である。小説のコツをのみこんでいる。新しい感じはすこしもないが、気持のよい小説である。」
小野東
男36歳
9 「三位」「私一人がみとめることになった。」「調子が低いといわれた。あれは、私がひとからきいた話を書くといった形式をとったせいであろう。が、諷刺的でもあり、ユーモアもあり、私には十分面白かった。」
泉大八
男32歳
0  
小林勝
男33歳
0  
倉橋由美子
女25歳
0  
柴田翔
男26歳
0  
野村尚吾
男49歳
2 「四位」
坂口䙥子
女46歳
11 「一位」「私と蕃婦ハツエの話の中でこれだけロポウを描き出した技巧は、大したものである。霧社事件のことだが、すこしも古く感じさせなかった。」「物語は低調になりやすいものだが、人間の哀しさがしみじみと感じられた。」「「忍ぶ川」にくらべて新しいともいえる。」「二、三の審査員も一位に推していた。」
木野工
男40歳
2 「四位」
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他の選考委員
井伏鱒二
中村光夫
瀧井孝作
石川達三
佐藤春夫
永井龍男
川端康成
井上靖
舟橋聖一
宇野浩二
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選考委員
永井龍男男56歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
「紙の裏」の再録 総行数37 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
三浦哲郎
男29歳
6 「読んでいる間は、ホッとした気分だった。神経の行き届いた文章で、安心して物語りについて行くことが出来、美しいと思ったが、芥川賞というものが新風を重んずるとすれば、その点どういうものだろうと発言して、他の委員から余計な心配はいらぬというような言葉でたしなめられた。」
小野東
男36歳
3 「洪水までが冗漫に過ぎて、こちらの気持が終始小説のテンポに合わない感じだった。」
泉大八
男32歳
7 「この種の作品としては明るく角が取れている。」「小説として以外の目的を持っている作品だということが、教科書に似ていると思う。」
小林勝
男33歳
6 「(引用者注:「夏の終り」と共に)もっとも短篇小説的だが覇気に比べて筆はかなり粗雑なようである。」「よくまとまった短篇だと思うが、前作にもっと好い作品があったと云う他の委員の言葉を、さらにはね返すだけの強い感銘は、私にもなかった。」
倉橋由美子
女25歳
3 「(引用者注:「架橋」と共に)もっとも短篇小説的だが覇気に比べて筆はかなり粗雑なようである。」
柴田翔
男26歳
5 「ロクタル管の説明から書き出したために、随分損をしていると思ったが、私には一番魅力のある作品だった。」「説明の文章の中にも、正確な美しさがある。」
野村尚吾
男49歳
3 「控えめな表現に好感を持つが、同時に小説としての味や厚みに欠けていると思った。」
坂口䙥子
女46歳
3 「語り手である「私」の感動を、素直に受け取れなかった。技巧にみちた身振り手振りが、度を過ぎたように思われる。」
木野工
男40歳
4 「ひき込まれたが、芥川賞よりは直木賞に向けたい作品だと思った。題材も珍しいし、確りした作品なので、文藝春秋誌上に再録してもらえればと希望した。」
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他の選考委員
井伏鱒二
中村光夫
瀧井孝作
石川達三
佐藤春夫
丹羽文雄
川端康成
井上靖
舟橋聖一
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選考委員
川端康成男61歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
古く純な感銘 総行数17 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
三浦哲郎
男29歳
6 「(引用者注:「忍ぶ川」と「蕃婦ロポウの話」の決選投票の時)困って、迷ったが、「忍ぶ川」をとった。」「幼くて、古いが、純な感銘があったからである。」「自分の結婚を素直に書いて受賞した、三浦氏は幸いだと思える。」
小野東
男36歳
0  
泉大八
男32歳
4 「労働組合運動の小説として異色があり、この傾向の作品が芥川賞の候補となるのは稀なので、選びたいようだが、おもしろく書き過ぎた感じを受けた。」
小林勝
男33歳
0  
倉橋由美子
女25歳
0  
柴田翔
男26歳
0  
野村尚吾
男49歳
4 「宗祗とその時代は、私もかねて興味を寄せているものだが、この作では材料に終っているようで、長編にでも書くべきではなかったか。」
坂口䙥子
女46歳
6 「「忍ぶ川」に劣るとは考えない。」
木野工
男40歳
0  
  「私は特に推したい作品はなく、委員としては棄権のようなものであった。該当作はないと思うのだが、授賞者はあった方がいいので、他の委員諸氏にまかせるという、退いた気持だった。」
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他の選考委員
井伏鱒二
中村光夫
瀧井孝作
石川達三
佐藤春夫
丹羽文雄
永井龍男
井上靖
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選考委員
井上靖男53歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
二篇について 総行数31 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
三浦哲郎
男29歳
15 「清純な小説であり、これだけ汚れのない作品になると、却って新しくさえ見える。これが当選作たることにいささかも異存はないが、きびしく言えば非難するところのない作品としての物足りなさは、やはりあるようだ。」
小野東
男36歳
0  
泉大八
男32歳
3 「(引用者注:「ロクタル管の話」と共に)授賞作たり得る風格と、ある完成とを持った作品と言えよう。」
小林勝
男33歳
0  
倉橋由美子
女25歳
0  
柴田翔
男26歳
3 「(引用者注:「ブレーメン分会」と共に)授賞作たり得る風格と、ある完成とを持った作品と言えよう。」
野村尚吾
男49歳
4 「(引用者注:「紙の裏」と共に)自分の持場で丹念に仕事をしていて、好感の持てる作品だった。」
坂口䙥子
女46歳
13 「第一に推した。」「蕃人たちの原始的感情の美しさと、その悲劇的運命とを、手ぎわよく一枚の織物に編んだところに感心した。またところどころはっとするような感覚的に冴えた描写もあった。」
木野工
男40歳
3 「(引用者注:「花やあらむ」と共に)自分の持場で丹念に仕事をしていて、好感の持てる作品だった。」
  「どれも一応面白く読んだ。」「特に優れた作品もなかった替りに、ひどく見劣りする作品もなかった。」
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他の選考委員
井伏鱒二
中村光夫
瀧井孝作
石川達三
佐藤春夫
丹羽文雄
永井龍男
川端康成
舟橋聖一
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選考委員
舟橋聖一男56歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
正直な「忍ぶ川」 総行数35 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
三浦哲郎
男29歳
13 「正直な作風であった。そこが買われた。」「わかりよくって、明るいのがいい。今までの私小説につきものの、ジメジメした退嬰味がなくて、善意に満ちた闘魂がある。」「石川(達)氏が最大級にほめていたが、私は石川氏ほどには思わないが、こんどの候補作の中では、好意のもてるものだった。」
小野東
男36歳
0  
泉大八
男32歳
0  
小林勝
男33歳
4 「読後の印象にのこった」「当選作とするまでには到らなかった。」
倉橋由美子
女25歳
12 「失敗作で、底の浅いつくりものに過ぎず、どうにも取りようがなかった。この前嘱望しただけに、私はがっかりさせられた。」「然し、この人は目下、デッド・ロックへのり上げているので、そのうちにまた調子を回復すれば、やはり光ったところが出てくる人だ。長い目で見てやるというのが、ほんとうのところだろう。」「こういう年若い新人を、既成の大将連が、口を極めて悪評するのは、大人気ない。」
柴田翔
男26歳
0  
野村尚吾
男49歳
9 「読後の印象にのこった」「当選作とするまでには到らなかった。」「宗祗や肖柏や三条西の、もっと嫌味なところを抉って書いたら、面白い歴史小説が書けたろうにとおもう。」
坂口䙥子
女46歳
4 「読後の印象にのこった」「当選作とするまでには到らなかった。」
木野工
男40歳
0  
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他の選考委員
井伏鱒二
中村光夫
瀧井孝作
石川達三
佐藤春夫
丹羽文雄
永井龍男
川端康成
井上靖
宇野浩二
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選考委員
宇野浩二男69歳×各候補作  年齢/枚数の説明
見方・注意点
難儀な銓衡 総行数53 (1行=26字)
候補 評価 行数 評言
三浦哲郎
男29歳
9 「古めかしい感じがし、主人公の恋愛も幼稚であり、書き方も弱弱しくたどたどしいのに、それらが今もてはやされている勢いのよい露骨な主人公が活躍する作品となにもかも違って大へん穏かである、」「私も、芥川賞には該当しないけれど、まずその候補ぐらいなら、と云った」
小野東
男36歳
6 「ここに語られている話はことごとく人の意表に出る事ばかりであるけれど、唯それだけであるから、話にならぬ小説である。」
泉大八
男32歳
5 「長すぎるけれど、それだけに、実に克明に書いてはあるが、もっと引きしめて書くべきだ。」
小林勝
男33歳
3 「筆致は手がたく、題材はちょっとは面白いとしても、これだけでは何とも仕様のない作品だ。」
倉橋由美子
女25歳
6 「文章はいくらか独得でテキパキしたところがあるけれど、私がこれまで読んだこの作者の幾つかの小説とくらべると、取り上げない方がよい作品である。」
柴田翔
男26歳
8 「しいて云えば、なにか新奇な物がありそうに思われたけれど、そう思われただけで、そんな物はなく、これは、なにか取り得があるとしても「ナンセンス」な小説のように思われる、少し酷評か。」
野村尚吾
男49歳
6 「すらすらと書かれてはあるけれど、それが少しも長所にはならず、肝心の主人公の一代の連歌師の宗祗の姿も心境も殆んど全く出ていない、この小説が失敗した理由の一つは、作者の才能がこういう題材をこなすのに不向きであるからであろう。」
坂口䙥子
女46歳
7 「これでは、小説として、未だしであり、成っていない。」
木野工
男40歳
7 「直木賞の銓衡委員に見てもらったらという説も出たが、私は、長すぎる事は別として、話が二つに割れている事でも、この作品はとらない。」
  「結局、いつもそうではないか、と云われるかもしれないが、私はこんどは、(こんども、)芥川賞に該当するものなし、である。」
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他の選考委員
井伏鱒二
中村光夫
瀧井孝作
石川達三
佐藤春夫
丹羽文雄
永井龍男
川端康成
井上靖
舟橋聖一
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受賞者・作品
三浦哲郎男29歳×各選考委員 
「忍ぶ川」
短篇 74
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
井伏鱒二
男62歳
6 「清純である点に私は心をひかされた。沈痛な感もあるようだ。美しく貧乏することは難しいが、そういう貧乏をまた美しく書いてある。」「私は(引用者中略)この作品を第一候補にあげ、」
中村光夫
男49歳
15 「一口に云えばいかにも古めかしいので、童話のように幸福な恋愛と結婚を物語りながら、恋愛が一方的に前提とされているだけで、少しも描かれていないという気がします。」「ともかく一応できた作品であり、作者の性格の或る強さが感じられることはたしかです。」
瀧井孝作
男66歳
12 「一番佳いと思った。」「筆致が清澄で、事物がわかりやすい。短篇としての構成も、うまい。」「十七字音の定型の俳句を見るような古風なもので、この古風なのも却って面白いと思った。」
石川達三
男55歳
19 「推す決心をして委員会に出席した。二度読み返してみて、これを推すことに自信を得た。」「何よりも私がこれを推そうと考えたのは、この作品が報告書や作文や記録や日記や、そう云ったかたちのものではなくて、小説の原型とも云うべき正しい形のものであることと、表現の一字一句がまさしく小説であって、それ以外のものではないと云うことであった。」「小説の大きな要素の一つである「美の表現」ということを感覚的に正しく知っている人だと私は信じ得た。」
佐藤春夫
男68歳
18 「当選圏内に入れる作品」「起承転結のよく調ったなかなか作法を心得た出来栄えで、結末のさびしいハッピーエンドもよく利いているとは思ったがその題に表われているようなふるさ(原文傍点)が少々気にならないでもなかった。」「誰でも好意が持たれそうなところにふるさと甘さがあるようでもある。それにしても九篇のうち第一等ではないにしても第一級の作品であることに疑いない。」「当選に不満はなかった。」
丹羽文雄
男56歳
5 「私は第二位に置いていた。」「上手な小説である。小説のコツをのみこんでいる。新しい感じはすこしもないが、気持のよい小説である。」
永井龍男
男56歳
6 「読んでいる間は、ホッとした気分だった。神経の行き届いた文章で、安心して物語りについて行くことが出来、美しいと思ったが、芥川賞というものが新風を重んずるとすれば、その点どういうものだろうと発言して、他の委員から余計な心配はいらぬというような言葉でたしなめられた。」
川端康成
男61歳
6 「(引用者注:「忍ぶ川」と「蕃婦ロポウの話」の決選投票の時)困って、迷ったが、「忍ぶ川」をとった。」「幼くて、古いが、純な感銘があったからである。」「自分の結婚を素直に書いて受賞した、三浦氏は幸いだと思える。」
井上靖
男53歳
15 「清純な小説であり、これだけ汚れのない作品になると、却って新しくさえ見える。これが当選作たることにいささかも異存はないが、きびしく言えば非難するところのない作品としての物足りなさは、やはりあるようだ。」
舟橋聖一
男56歳
13 「正直な作風であった。そこが買われた。」「わかりよくって、明るいのがいい。今までの私小説につきものの、ジメジメした退嬰味がなくて、善意に満ちた闘魂がある。」「石川(達)氏が最大級にほめていたが、私は石川氏ほどには思わないが、こんどの候補作の中では、好意のもてるものだった。」
宇野浩二
男69歳
9 「古めかしい感じがし、主人公の恋愛も幼稚であり、書き方も弱弱しくたどたどしいのに、それらが今もてはやされている勢いのよい露骨な主人公が活躍する作品となにもかも違って大へん穏かである、」「私も、芥川賞には該当しないけれど、まずその候補ぐらいなら、と云った」
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他の候補作
小野東
「川中島の花さん」
泉大八
「ブレーメン分会」
小林勝
「架橋」
倉橋由美子
「夏の終り」
柴田翔
「ロクタル管の話」
野村尚吾
「花やあらむ」
坂口䙥子
「蕃婦ロポウの話」
木野工
「紙の裏」
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候補者・作品
小野東男36歳×各選考委員 
「川中島の花さん」
短篇 115
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
井伏鱒二
男62歳
0  
中村光夫
男49歳
0  
瀧井孝作
男66歳
2 「一応読ませる何かを持っている人だと思った。」
石川達三
男55歳
0  
佐藤春夫
男68歳
0  
丹羽文雄
男56歳
9 「三位」「私一人がみとめることになった。」「調子が低いといわれた。あれは、私がひとからきいた話を書くといった形式をとったせいであろう。が、諷刺的でもあり、ユーモアもあり、私には十分面白かった。」
永井龍男
男56歳
3 「洪水までが冗漫に過ぎて、こちらの気持が終始小説のテンポに合わない感じだった。」
川端康成
男61歳
0  
井上靖
男53歳
0  
舟橋聖一
男56歳
0  
宇野浩二
男69歳
6 「ここに語られている話はことごとく人の意表に出る事ばかりであるけれど、唯それだけであるから、話にならぬ小説である。」
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他の候補作
三浦哲郎
「忍ぶ川」
泉大八
「ブレーメン分会」
小林勝
「架橋」
倉橋由美子
「夏の終り」
柴田翔
「ロクタル管の話」
野村尚吾
「花やあらむ」
坂口䙥子
「蕃婦ロポウの話」
木野工
「紙の裏」
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候補者・作品
泉大八男32歳×各選考委員 
「ブレーメン分会」
中篇 192
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
井伏鱒二
男62歳
0  
中村光夫
男49歳
6 「未熟で作者が自分ひとり面白がっているようなところは気になりますが、その代り、自分の経験をあまり気兼ねしないで、のびのび書いているらしいところが、将来を期待させるので、これがまず一番当選に近いと思って行きましたが、席上では意外に不評でした。」
瀧井孝作
男66歳
6 「二番目に(引用者中略)佳いかと思った。」「在来のプロレタリヤ小説とくらべて、これは明るいうまみがあって、長いけれど面白く読めた。」「筆には、明るい若いやわらかい味がある、これが佳いと思った。」
石川達三
男55歳
0  
佐藤春夫
男68歳
0  
丹羽文雄
男56歳
0  
永井龍男
男56歳
7 「この種の作品としては明るく角が取れている。」「小説として以外の目的を持っている作品だということが、教科書に似ていると思う。」
川端康成
男61歳
4 「労働組合運動の小説として異色があり、この傾向の作品が芥川賞の候補となるのは稀なので、選びたいようだが、おもしろく書き過ぎた感じを受けた。」
井上靖
男53歳
3 「(引用者注:「ロクタル管の話」と共に)授賞作たり得る風格と、ある完成とを持った作品と言えよう。」
舟橋聖一
男56歳
0  
宇野浩二
男69歳
5 「長すぎるけれど、それだけに、実に克明に書いてはあるが、もっと引きしめて書くべきだ。」
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他の候補作
三浦哲郎
「忍ぶ川」
小野東
「川中島の花さん」
小林勝
「架橋」
倉橋由美子
「夏の終り」
柴田翔
「ロクタル管の話」
野村尚吾
「花やあらむ」
坂口䙥子
「蕃婦ロポウの話」
木野工
「紙の裏」
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候補者・作品
小林勝男33歳×各選考委員 
「架橋」
短篇 64
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
井伏鱒二
男62歳
0  
中村光夫
男49歳
0  
瀧井孝作
男66歳
4 「この人のものは、以前に一寸佳いのがあったが、これはどうも拙い。しまいまで読んでも「架橋」という題の意図もわからない。」
石川達三
男55歳
0  
佐藤春夫
男68歳
0  
丹羽文雄
男56歳
0  
永井龍男
男56歳
6 「(引用者注:「夏の終り」と共に)もっとも短篇小説的だが覇気に比べて筆はかなり粗雑なようである。」「よくまとまった短篇だと思うが、前作にもっと好い作品があったと云う他の委員の言葉を、さらにはね返すだけの強い感銘は、私にもなかった。」
川端康成
男61歳
0  
井上靖
男53歳
0  
舟橋聖一
男56歳
4 「読後の印象にのこった」「当選作とするまでには到らなかった。」
宇野浩二
男69歳
3 「筆致は手がたく、題材はちょっとは面白いとしても、これだけでは何とも仕様のない作品だ。」
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他の候補作
三浦哲郎
「忍ぶ川」
小野東
「川中島の花さん」
泉大八
「ブレーメン分会」
倉橋由美子
「夏の終り」
柴田翔
「ロクタル管の話」
野村尚吾
「花やあらむ」
坂口䙥子
「蕃婦ロポウの話」
木野工
「紙の裏」
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候補者・作品
倉橋由美子女25歳×各選考委員 
「夏の終り」
短篇 31
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
井伏鱒二
男62歳
0  
中村光夫
男49歳
0  
瀧井孝作
男66歳
3 「この人のものも、以前に「パルタイ」を読んだきりだが、この「夏の終り」は、いやなもので、よくない。」
石川達三
男55歳
3 「自分の作品について再考すべき時期に来たのではないかと思った。この作品にはこの作者の観点が一番大きく出ているように思われる。」
佐藤春夫
男68歳
3 「幼稚なこしらえものの観念小説」
丹羽文雄
男56歳
0  
永井龍男
男56歳
3 「(引用者注:「架橋」と共に)もっとも短篇小説的だが覇気に比べて筆はかなり粗雑なようである。」
川端康成
男61歳
0  
井上靖
男53歳
0  
舟橋聖一
男56歳
12 「失敗作で、底の浅いつくりものに過ぎず、どうにも取りようがなかった。この前嘱望しただけに、私はがっかりさせられた。」「然し、この人は目下、デッド・ロックへのり上げているので、そのうちにまた調子を回復すれば、やはり光ったところが出てくる人だ。長い目で見てやるというのが、ほんとうのところだろう。」「こういう年若い新人を、既成の大将連が、口を極めて悪評するのは、大人気ない。」
宇野浩二
男69歳
6 「文章はいくらか独得でテキパキしたところがあるけれど、私がこれまで読んだこの作者の幾つかの小説とくらべると、取り上げない方がよい作品である。」
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他の候補作
三浦哲郎
「忍ぶ川」
小野東
「川中島の花さん」
泉大八
「ブレーメン分会」
小林勝
「架橋」
柴田翔
「ロクタル管の話」
野村尚吾
「花やあらむ」
坂口䙥子
「蕃婦ロポウの話」
木野工
「紙の裏」
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候補者・作品
柴田翔男26歳×各選考委員 
「ロクタル管の話」
短篇 56
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
井伏鱒二
男62歳
4 「(引用者注:「忍ぶ川」の次に)あげるという意味を、日本文學振興会へ申入れておいた。」「いきなり懸河の弁で才筆である。」
中村光夫
男49歳
0  
瀧井孝作
男66歳
4 「スッキリとは描けてないようだが。」
石川達三
男55歳
0  
佐藤春夫
男68歳
0  
丹羽文雄
男56歳
0  
永井龍男
男56歳
5 「ロクタル管の説明から書き出したために、随分損をしていると思ったが、私には一番魅力のある作品だった。」「説明の文章の中にも、正確な美しさがある。」
川端康成
男61歳
0  
井上靖
男53歳
3 「(引用者注:「ブレーメン分会」と共に)授賞作たり得る風格と、ある完成とを持った作品と言えよう。」
舟橋聖一
男56歳
0  
宇野浩二
男69歳
8 「しいて云えば、なにか新奇な物がありそうに思われたけれど、そう思われただけで、そんな物はなく、これは、なにか取り得があるとしても「ナンセンス」な小説のように思われる、少し酷評か。」
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他の候補作
三浦哲郎
「忍ぶ川」
小野東
「川中島の花さん」
泉大八
「ブレーメン分会」
小林勝
「架橋」
倉橋由美子
「夏の終り」
野村尚吾
「花やあらむ」
坂口䙥子
「蕃婦ロポウの話」
木野工
「紙の裏」
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候補者・作品
野村尚吾男49歳×各選考委員 
「花やあらむ」
短篇 77
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
井伏鱒二
男62歳
4 「(引用者注:「忍ぶ川」「紙の裏」「ロクタル管の話」の次に)あげるという意味を、日本文學振興会へ申入れておいた。」「良い題材で清潔だが、ノート風に処置されているのは遠慮ぶかすぎると思った。」
中村光夫
男49歳
0  
瀧井孝作
男66歳
2 「筆が大方説明的、又咏嘆調で浅いようだ。」
石川達三
男55歳
4 「労作であろうと察しられたが、評伝的なものであって、評伝に終っているのが欠点であろう。」「連歌というものが全く書かれていないので、連歌師の人柄も浮んで来ない。」
佐藤春夫
男68歳
0  
丹羽文雄
男56歳
2 「四位」
永井龍男
男56歳
3 「控えめな表現に好感を持つが、同時に小説としての味や厚みに欠けていると思った。」
川端康成
男61歳
4 「宗祗とその時代は、私もかねて興味を寄せているものだが、この作では材料に終っているようで、長編にでも書くべきではなかったか。」
井上靖
男53歳
4 「(引用者注:「紙の裏」と共に)自分の持場で丹念に仕事をしていて、好感の持てる作品だった。」
舟橋聖一
男56歳
9 「読後の印象にのこった」「当選作とするまでには到らなかった。」「宗祗や肖柏や三条西の、もっと嫌味なところを抉って書いたら、面白い歴史小説が書けたろうにとおもう。」
宇野浩二
男69歳
6 「すらすらと書かれてはあるけれど、それが少しも長所にはならず、肝心の主人公の一代の連歌師の宗祗の姿も心境も殆んど全く出ていない、この小説が失敗した理由の一つは、作者の才能がこういう題材をこなすのに不向きであるからであろう。」
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他の候補作
三浦哲郎
「忍ぶ川」
小野東
「川中島の花さん」
泉大八
「ブレーメン分会」
小林勝
「架橋」
倉橋由美子
「夏の終り」
柴田翔
「ロクタル管の話」
坂口䙥子
「蕃婦ロポウの話」
木野工
「紙の裏」
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候補者・作品
坂口䙥子女46歳×各選考委員 
「蕃婦ロポウの話」
短篇 57
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
井伏鱒二
男62歳
0  
中村光夫
男49歳
5 「これほど支持があつまるとは、意外で、僕には水準以下の作品と思われました。」
瀧井孝作
男66歳
5 「佐藤春夫さんがほめられて、少し見直したが、文章がどうも弱く淡いようだ。終末の蕃婦が荒い谷に落ちて心中する所も、これは話の芯になる所だろうが、どうも惹きこまれない。」
石川達三
男55歳
4 「当選作とするには足りない気がしたが、面白い作品であると思う。技巧の鼻につく点もなくはないが、歯切れのいい冴えた表現もあって、なかなかの作者である。」
佐藤春夫
男68歳
16 「当選圏内に入れる作品」「たどたどしい表現でちと読みづらいがなかなか適切に表現力のあるもので、ひょっとするとこのたどたどしさも意識しての技巧ではないかと思わせるほどで、これは大した達者な文章だと感心した。「忍ぶ川」にくらべてこの方が新しい。」「第一級の作品と見て、(引用者中略)僕は第一を「蕃婦ロポウ」第二を「忍ぶ川」と考えて出席した。」
丹羽文雄
男56歳
11 「一位」「私と蕃婦ハツエの話の中でこれだけロポウを描き出した技巧は、大したものである。霧社事件のことだが、すこしも古く感じさせなかった。」「物語は低調になりやすいものだが、人間の哀しさがしみじみと感じられた。」「「忍ぶ川」にくらべて新しいともいえる。」「二、三の審査員も一位に推していた。」
永井龍男
男56歳
3 「語り手である「私」の感動を、素直に受け取れなかった。技巧にみちた身振り手振りが、度を過ぎたように思われる。」
川端康成
男61歳
6 「「忍ぶ川」に劣るとは考えない。」
井上靖
男53歳
13 「第一に推した。」「蕃人たちの原始的感情の美しさと、その悲劇的運命とを、手ぎわよく一枚の織物に編んだところに感心した。またところどころはっとするような感覚的に冴えた描写もあった。」
舟橋聖一
男56歳
4 「読後の印象にのこった」「当選作とするまでには到らなかった。」
宇野浩二
男69歳
7 「これでは、小説として、未だしであり、成っていない。」
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他の候補作
三浦哲郎
「忍ぶ川」
小野東
「川中島の花さん」
泉大八
「ブレーメン分会」
小林勝
「架橋」
倉橋由美子
「夏の終り」
柴田翔
「ロクタル管の話」
野村尚吾
「花やあらむ」
木野工
「紙の裏」
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候補者・作品
木野工男40歳×各選考委員 
「紙の裏」
短篇 112
年齢/枚数の説明
見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
井伏鱒二
男62歳
4 「(引用者注:「忍ぶ川」の次に)あげるという意味を、日本文學振興会へ申入れておいた。」「題材が良いと思った。」
中村光夫
男49歳
3 「(引用者注:「忍ぶ川」が)当選作とすると、「紙の裏」のように欠点はあってもそれなりの力作といえる小説は気の毒という感じがのこります。」
瀧井孝作
男66歳
5 「新聞の販売拡張の機構を描いた小説か、新聞配達少年の恋を描いた小説か、どちらか、しまいの方で話が二つに割れて、出来栄は拙い。筆も粗雑だ。」
石川達三
男55歳
3 「選者の永井氏が直木賞の方に推したかったと云ったように、面白いところはたくさん有るが、新聞記者的な文章と創作態度とが、私には物足らなかった。」
佐藤春夫
男68歳
0  
丹羽文雄
男56歳
2 「四位」
永井龍男
男56歳
4 「ひき込まれたが、芥川賞よりは直木賞に向けたい作品だと思った。題材も珍しいし、確りした作品なので、文藝春秋誌上に再録してもらえればと希望した。」
川端康成
男61歳
0  
井上靖
男53歳
3 「(引用者注:「花やあらむ」と共に)自分の持場で丹念に仕事をしていて、好感の持てる作品だった。」
舟橋聖一
男56歳
0  
宇野浩二
男69歳
7 「直木賞の銓衡委員に見てもらったらという説も出たが、私は、長すぎる事は別として、話が二つに割れている事でも、この作品はとらない。」
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他の候補作
三浦哲郎
「忍ぶ川」
小野東
「川中島の花さん」
泉大八
「ブレーメン分会」
小林勝
「架橋」
倉橋由美子
「夏の終り」
柴田翔
「ロクタル管の話」
野村尚吾
「花やあらむ」
坂口䙥子
「蕃婦ロポウの話」
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