芥川賞のすべて・のようなもの
第8回
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Last Update[H28]2016/4/28

中里恒子
Nakazato Tsuneko
生没年月日【注】 明治42年/1909年12月23日~昭和62年/1987年4月5日
受賞年齢 29歳1ヵ月
経歴 本名=中里恒。神奈川県藤沢市生まれ。川崎高等女学校卒。昭和3年/1928年結婚、その前後より『火の鳥』などに創作を発表。
受賞歴・候補歴
個人全集 『中里恒子全集』全18巻(昭和54年/1979年10月~昭和56年/1981年3月・中央公論社刊)
備考
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芥川賞 第8受賞  一覧へ

のりあいばしゃ
乗合馬車」(『文學界』昭和13年/1938年9月号)
媒体・作品情報
誌名 「文學界」
巻号 第5巻 第9号  別表記9月号
作品名 別表記 合馬車」
印刷/発行年月日 印刷 昭和13年/1938年8月10日 発行 昭和13年/1938年9月1日
発行者等 発行兼印刷編輯人 菊池武憲 印刷所 共同印刷株式会社(東京市)
発行所 株式会社文藝春秋社(東京市)
総ページ数 284 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
54字
×19行
×1段
本文ページ 24~69
(計46頁)
測定枚数 102
上記のうち紫の太字はブラウザでの表示が困難な異体字(主に正字など)
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書誌
>>『文藝春秋』昭和14年/1939年3月号
>>昭和14年/1939年4月・小山書店刊『乗合馬車 他五篇』所収
>>昭和24年/1949年2月・細川書店刊『現代日本文学選集 第4巻』所収
>>昭和24年/1949年4月・鎌倉文庫刊『まりあんぬ物語』所収
>>昭和24年/1949年8月・小山書店刊『芥川賞全集 第3巻』所収
>>昭和40年/1965年4月・現代芸術社刊『芥川賞作品全集 第1巻』所収
>>昭和44年/1969年7月・集英社刊『日本文学全集49 宇野千代・中里恒子集』所収
>>昭和49年/1974年11月・集英社刊『日本文学全集49 宇野千代・中里恒子』[豪華版]所収
>>昭和49年/1974年12月・文藝春秋刊『わが庵』所収
>>昭和54年/1979年12月・中央公論社刊『中里恒子全集 第1巻』所収
>>昭和57年/1982年3月・文藝春秋刊『芥川賞全集 第2巻』所収
>>昭和62年/1987年12月・小学館刊『昭和文学全集 第19巻 中里恒子・芝木好子・大原富枝・河野多恵子・大庭みな子』所収
>>平成7年/1995年8月・ぎょうせい刊『ふるさと文学館 第18巻 神奈川』所収
>>平成11年/1999年5月・角川書店刊『女性作家シリーズ5 網野菊・芝木好子・中里恒子』所収
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候補者 中里恒子 女29歳
選考委員 評価 行数 評言
久米正雄
男47歳
15 「閨秀画家の水彩を見るように、鮮かで綺麗だ。綺麗ごと過ぎるかも知れない。苺入りのクリーム菓子のようでもある。只フレッシュな事は間違いない。」「ここで中里さんが受賞したに就ては、私は同じ鎌倉仲間の川上喜久子さんに、あの時やらなかったばかりに、やる機会を失しそうな後悔が、此人に恵まれたような気がしてならない。」
小島政二郎
男45歳
11 「強いて入選するとすれば、中里恒子さんか吉川江子さんか、どっちかだと思った。」「文章も繊細だし色彩感もあるし、柔軟性にも富んでいるし、僕の好きな描写型だし、唯どうも僕には底が浅い気がした。」「中里さんが授賞されることに不服はなかった。」
川端康成
男39歳
9 「中里氏を推すことに賛成である。」「少し弱いけれども、素質のいいところを認めたい。またこういう刺戟の強くない、賞向きでない作家、初めての女流作家の受賞は、喜ぶに足るだろうか。」「長い間この材料を扱って来た作品は、柔かく細かい花である。」
横光利一
男40歳
5 「日本人の妻となっている外国婦人の憂愁、希望、諦念などよく出ている。味わいも細い。」「後世この作者の一聯の外人物は、更科日記のように幾度も繰り返し人々から読まれるであろうと思う。」
佐佐木茂索
男44歳
0  
室生犀星
男49歳
14 「大変にうつくしい小説だと思った。小説というものに野心を持たず、にごった気持やすたれたところも見えず、美しい一方であった。」「(引用者注:第二回の委員会で)私は「乗合場所」をすいせんした。」「未熟の美しさを認めるとすればお帳場(引用者注:「お帳場日誌」)もいいし、中里氏もいいわけである。」
佐藤春夫
男46歳
24 「二作のうちでは「日光室」より後でよんだ「乗合馬車」の方が幾分はいいであろう。しかしそれにしても四十篇の推薦が二十篇になり、更に三四篇の予選に入るほど傑出したものかどうか不敏にして、実は自分は多少の疑念を持っている。」「素質のいい素人の水彩画が何かのように明るい新鮮な趣の好もしさはある。けれどもあまり弱くたどたどしくさえある。」「一家を成すのはまだ少々歳月を要するのではなかろうか。相当年期を入れているとすると稍心細い気もしてくる。」
瀧井孝作
男44歳
12 「国際結婚の人々の心持が描かれていて、これはこの作者の独特の題材らしかった。」「幾分弱いと云う非難もあったが、それは女らしい美しさにもなっているから、欠点とは云えないと思った。女性らしい繊細な心持が美しく見事に描かれて、人々の心持でも、風景でもその明るみも影もなかなかうまく、上品な絵のような所もあった。」
宇野浩二
男47歳
25 「『乗合馬車』は、少しごたごたしたところが難ではあるが、作品として決して悪いものではないし、(否、なかなか好い作品であるし、)この一二年来、どちらかというと暗い小説がつづいて芥川賞になっているから、作者が女であるからなどという意味でなく、明るい小説であるということだけでも、まず芥川賞に値する作品であろう。」
菊池寛
男50歳
  「題材が珍しいのと、少したどたどしいところもあるが、文章に気品と落ち着きがあり、死んで行く外国婦人が、弟子兼女中の菊代というあいのこに、自分の生命の後継者を見出すところなどに、作者の明るさも感じられるので、ある程度の不満もあったが、この人を推薦することにした。」
選評出典:『芥川賞全集 第二巻』昭和57年/1982年3月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和14年/1939年3月号)
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にっこうしつ
日光室」(『新潮』昭和13年/1938年11月号)
媒体・作品情報
誌名 「新潮」
巻号 第35巻 第11号  別表記11月号
印刷/発行年月日 印刷 昭和13年/1938年10月10日 発行 昭和13年/1938年11月1日
発行者等 編輯者発行者 中根駒十 印刷者 佐々木俊一 印刷所 富士印刷株式会社(東京市)
発行所 新潮社(東京市)
総ページ数 303 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
54字
×19行
×1段
本文ページ 22~43
(計22頁)
測定枚数 48
上記のうち紫の太字はブラウザでの表示が困難な異体字(主に正字など)
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書誌
>>昭和14年/1939年4月・小山書店刊『乗合馬車 他五篇』所収
>>昭和14年/1939年4月・小山書店刊『日本小説代表作全集 第2 昭和13年・後半期』所収
>>昭和24年/1949年4月・鎌倉文庫刊『まりあんぬ物語』所収
>>昭和33年/1958年3月・筑摩書房刊『現代日本文学全集87 昭和小説集(二)』所収
>>昭和44年/1969年7月・集英社刊『日本文学全集49 宇野千代・中里恒子集』所収
>>昭和49年/1974年11月・集英社刊『日本文学全集49 宇野千代・中里恒子』[豪華版]所収
>>昭和49年/1974年12月・文藝春秋刊『わが庵』所収
>>昭和54年/1979年12月・中央公論社刊『中里恒子全集 第1巻』所収
>>昭和57年/1982年3月・文藝春秋刊『芥川賞全集 第2巻』所収
>>昭和62年/1987年12月・小学館刊『昭和文学全集 第19巻 中里恒子・芝木好子・大原富枝・河野多恵子・大庭みな子』所収
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候補者 中里恒子 女29歳
選考委員 評価 行数 評言
久米正雄
男47歳
15 「閨秀画家の水彩を見るように、鮮かで綺麗だ。綺麗ごと過ぎるかも知れない。苺入りのクリーム菓子のようでもある。只フレッシュな事は間違いない。」「ここで中里さんが受賞したに就ては、私は同じ鎌倉仲間の川上喜久子さんに、あの時やらなかったばかりに、やる機会を失しそうな後悔が、此人に恵まれたような気がしてならない。」
小島政二郎
男45歳
11 「強いて入選するとすれば、中里恒子さんか吉川江子さんか、どっちかだと思った。」「文章も繊細だし色彩感もあるし、柔軟性にも富んでいるし、僕の好きな描写型だし、唯どうも僕には底が浅い気がした。」「中里さんが授賞されることに不服はなかった。」
川端康成
男39歳
9 「中里氏を推すことに賛成である。」「少し弱いけれども、素質のいいところを認めたい。またこういう刺戟の強くない、賞向きでない作家、初めての女流作家の受賞は、喜ぶに足るだろうか。」「長い間この材料を扱って来た作品は、柔かく細かい花である。」
横光利一
男40歳
5 「日本人の妻となっている外国婦人の憂愁、希望、諦念などよく出ている。味わいも細い。」「後世この作者の一聯の外人物は、更科日記のように幾度も繰り返し人々から読まれるであろうと思う。」
佐佐木茂索
男44歳
0  
室生犀星
男49歳
14 「大変にうつくしい小説だと思った。小説というものに野心を持たず、にごった気持やすたれたところも見えず、美しい一方であった。」「(引用者注:第二回の委員会で)私は「乗合場所」をすいせんした。」「未熟の美しさを認めるとすればお帳場(引用者注:「お帳場日誌」)もいいし、中里氏もいいわけである。」
佐藤春夫
男46歳
24 「二作のうちでは「日光室」より後でよんだ「乗合馬車」の方が幾分はいいであろう。しかしそれにしても四十篇の推薦が二十篇になり、更に三四篇の予選に入るほど傑出したものかどうか不敏にして、実は自分は多少の疑念を持っている。」「素質のいい素人の水彩画が何かのように明るい新鮮な趣の好もしさはある。けれどもあまり弱くたどたどしくさえある。」「一家を成すのはまだ少々歳月を要するのではなかろうか。相当年期を入れているとすると稍心細い気もしてくる。」
瀧井孝作
男44歳
12 「国際結婚の人々の心持が描かれていて、これはこの作者の独特の題材らしかった。」「幾分弱いと云う非難もあったが、それは女らしい美しさにもなっているから、欠点とは云えないと思った。女性らしい繊細な心持が美しく見事に描かれて、人々の心持でも、風景でもその明るみも影もなかなかうまく、上品な絵のような所もあった。」
宇野浩二
男47歳
25 「『乗合馬車』は、少しごたごたしたところが難ではあるが、作品として決して悪いものではないし、(否、なかなか好い作品であるし、)この一二年来、どちらかというと暗い小説がつづいて芥川賞になっているから、作者が女であるからなどという意味でなく、明るい小説であるということだけでも、まず芥川賞に値する作品であろう。」
菊池寛
男50歳
  「題材が珍しいのと、少したどたどしいところもあるが、文章に気品と落ち着きがあり、死んで行く外国婦人が、弟子兼女中の菊代というあいのこに、自分の生命の後継者を見出すところなどに、作者の明るさも感じられるので、ある程度の不満もあったが、この人を推薦することにした。」
選評出典:『芥川賞全集 第二巻』昭和57年/1982年3月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和14年/1939年3月号)
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