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第145回
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Last Update[H27]2015/10/15

島本理生
Shimamoto Rio
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生没年月日【注】 昭和58年/1983年5月18日~
経歴 東京都板橋区生まれ。立教大学文学部日本文学科中退。小学生の頃から小説を書き始める。平成13年/2001年に群像新人文学賞優秀賞を受賞し、作家デビュー。
受賞歴・候補歴
  • 第44回群像新人文学賞[小説部門][優秀作](平成13年/2001年)「シルエット」
  • |候補| 第128回芥川賞(平成14年/2002年下期)「リトル・バイ・リトル」
  • |候補| 第130回芥川賞(平成15年/2003年下期)「生まれる森」
  • 第25回野間文芸新人賞(平成15年/2003年)『リトル・バイ・リトル』
  • |候補| 第18回山本周五郎賞(平成16年/2004年度)『ナラタージュ』
  • |第6位| 第3回2006年本屋大賞(平成18年/2006年)『ナラタージュ』
  • |候補| 第135回芥川賞(平成18年/2006年上期)「大きな熊が来る前に、おやすみ。」
  • |候補| 第33回川端康成文学賞(平成19年/2007年)「Birthday」
  • |候補| 第145回直木賞(平成23年/2011年上期)『アンダスタンド・メイビー』
  • 第21回島清恋愛文学賞(平成26年/2014年度)『Red』
  • |候補| 第153回芥川賞(平成27年/2015年上期)「夏の裁断」
  • |候補| 第6回山田風太郎賞(平成27年/2015年)『Red』
備考
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「リトル・バイ・リトル」(『群像』平成14年/2002年11月号)
媒体・作品情報
誌名 「群像」  別表記表紙 「GUNZO」併記
巻号 第57巻 第13号  別表記11月号
印刷/発行年月日 印刷 平成14年/2002年10月5日 発行 平成14年/2002年11月1日
発行者等 編集人 石坂秀之 発行人 宮田昭宏 印刷人 足立直樹 印刷所 凸版印刷株式会社(東京都)
発行所 株式会社講談社(東京都)
総ページ数 356 表記上の枚数 表紙・目次 182枚 基本の文字組
(1ページ当り)
27字
×25行
×2段
本文ページ 6~60
(計55頁)
測定枚数 178
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書誌
>>平成15年/2003年1月・講談社刊『リトル・バイ・リトル』
>>平成18年/2006年1月・講談社/講談社文庫『リトル・バイ・リトル』
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芥川賞 芥川賞 128回候補 一覧へ
候補者 島本理生 女19歳
選考委員 評価 行数 評言
黒井千次
男70歳
8 「好感を持って読んだ。」「人と人との距離感やバランス感覚に優れたものがあるが、そこを突き破っていくもう一つの力が欲しかった。」
三浦哲郎
男71歳
4 「なんでもすらすら書けてしまうのはむしろ危険なことだと知ってもらいたい。」
宮本輝
男55歳
9 「十九歳とは思えない穏かさと行儀の良さを感じさせる。逆にそのことが作品を一味も二味も足りなくさせている。」
古井由吉
男65歳
0  
高樹のぶ子
女56歳
12 「その素直な感性に好感を持ったが、受賞作にするには幼い。去年の長嶋有さん(「猛スピードで母は」)が、もっと幼い子供の視線(幼さ装い)でやはり母子家庭を書いて、その実したたかな大人の女を掴んでいたのに較べて、やはり力不足は否めず、今後の成長に期待することにしよう。」
石原慎太郎
男70歳
13 「可憐な青春小説の域を出ない。」「青春なる不定形な年代の、それなるが故の気味悪さなどどこにもなく、PTAや教育委員会が喜びそうな話立てとしかいいようない。」
河野多恵子
女76歳
14 「素直さが取り得という、消極的な取り得が見られるに留まっている。」「十九歳の作者だそうだが、まだ視方が弱い。平林たい子の二十一歳の作『嘲る』(引用者中略)や二十二歳の作『施療室にて』などの視線がいかに勁いか、識ってもらいたい。」
村上龍
男50歳
4 「好感を持った。だが受賞作に推すためには好感だけでは足りない。」
池澤夏樹
男57歳
6 「あまりに淡泊。しかしそれは作者の歳を考えれば当然のことだから、育つ苦労を経た上でいつかまた書いてください。」
選評出典:『文藝春秋』平成15年/2003年3月号
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もり
生まれる 森」(『群像』平成15年/2003年10月号)
媒体・作品情報
誌名 「群像」  別表記表紙 「GUNZO」併記
巻号 第58巻 第12号  別表記10月号
印刷/発行年月日 印刷 平成15年/2003年9月5日 発行 平成15年/2003年10月1日
発行者等 編集人 石坂秀之 発行人 宮田昭宏 印刷人 足立直樹 印刷所 凸版印刷株式会社(東京都)
発行所 株式会社講談社(東京都)
総ページ数 388 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
27字
×24行
×2段
本文ページ 48~103
(計56頁)
測定枚数 175
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書誌
>>平成16年/2004年1月・講談社刊『生まれる森』
>>平成19年/2007年5月・講談社/講談社文庫『生まれる森』
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芥川賞 芥川賞 130回候補 一覧へ
候補者 島本理生 女20歳
選考委員 評価 行数 評言
宮本輝
男56歳
5 「今回は少し力足らずだった。しかし、いずれは自分の花を咲かせる力を持っている。」
古井由吉
男66歳
0  
石原慎太郎
男71歳
0  
黒井千次
男71歳
7 「女友達の描き方には温かなリアリティーを感じるが、主人公の妊娠に至る経過や女友達の母親の死に方などが書かれていないことに不満が残る。」
村上龍
男51歳
0  
池澤夏樹
男58歳
7 「前回(第百二十八回)の候補作と同じく何かが欠けているという感じがつきまとう。話の展開では性が重要なのに、それがすっぱり省かれている。」
山田詠美
女44歳
12 「素直だ。好感が持てる、と称すべきなのだろう。でも、文学に好感なんて、そんなに必要か?」「お行儀が良いものは、退屈と紙一重。この作品は、その中間にいる。」
河野多恵子
女77歳
0  
三浦哲郎
男72歳
21 「すぐれたバランス感覚と率直な文章で難問を抱えている女子大生の暮らしを静かで落ち着いた作品に仕立て上げている島本理生さんの力量に感心したが、その候補作「生まれる森」には全く疑義がなかったわけではない。」「好意を寄せはじめている相手の男性(彼は親友の兄でもある)の母の死の真相が遂に語られずに終わっている」「おそらく意識的に伏せたのだろうが、それは何故なのか。」
高樹のぶ子
女57歳
0  
選評出典:『文藝春秋』平成16年/2004年3月号
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『ナラタージュ』(平成17年/2005年2月・角川書店刊)
書誌
>>平成20年/2008年2月・角川書店/角川文庫、角川グループパブリッシング発売『ナラタージュ』
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他文学賞 山本周五郎賞 18回候補 一覧へ
候補者 島本理生 女21歳
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎
男53歳
40 「小説の王道を歩んでいる。いや正しくは、小説の王道をまさに歩み始めた。」「これほど肉体の感覚を鮮かに文章化する技術を持った作家は珍しく、読みながら思わず溜息をつくことしきりであった。」「惜しむらくは、メロドラマふうの展開と速度である。」「小説的に退屈であったのはたしかである。」「それでも私は、この作品を高く評価した。理由はただひとつ、一個の男性読者として主人公に愛情を抱いたからである。」
北村薫
男55歳
63 「この作品を読み始め、引き込まれ、ふと我に返った時、「この作品には、比喩があったのかな」と思い、不思議な気持ちになった。見返すと、勿論ある。しかし、どれもが自然で巧んだところがない。」「生きた語り手が、目の前にいるような気にさせていた」「しかし今回は、候補作の一方に、読ませるということに関して職人芸を見せる作があった。」
小池真理子
女52歳
46 「もしも後半、200ページ目あたりからの部分のみ、候補作として読んでいたとしたら、間違いなく、私はこの作品を推していただろう、と思われる。」「前半は感心しない。ヒロインの女の子に魅力はあっても、彼女を囲む若者たちの人物造型がステレオタイプであった。」「作中、演劇というとても面白い素材を利用しながら、そのせっかくの仕掛けを使いこなせないままに終わってしまったのも残念であった。」
重松清
男42歳
37 「まだ若い作者の繊細な描写や文章表現に幾度となく舌を巻きながらも、僕にはこの物語が回想形式でなければならなかった理由が最後まで読み取れなかった」「〈私〉は過去の物語の中で、まるで生きることと語ることが同時におこなわれているように、不安定に揺れ動く。じつを言えば、僕が感じた本作の最大の魅力はそんな〈私〉の揺れ動くさまのせつなさで、だとすれば、作者はなぜリアルタイムの物語として描かなかったのだろう……。」
篠田節子
女49歳
53 「あまりの視野狭窄ぶりと、内輪話の世界に辟易としながら読んだ」「しかしそれはあくまで個人的趣味の範疇の話だ。小説的な質の高さを感じさせる部分がいくつかあったために、私は受賞作「明日の記憶」と同点をつけた。」「視野狭窄と内輪話は、主人公の視点であり、作者の焦点は、主人公とその周辺の人間に正確に合っており、その二つの視点が物語に立体感を生み出し、効果を上げている。」「都合の良い設定と物語展開が多すぎ、作品から普遍性と緊張感を奪っている。」
選評出典:『小説新潮』平成17年/2005年7月号
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おお くま まえ
大きな 熊が 来る 前に、おやすみ。」(『新潮』平成18年/2006年1月号)
媒体・作品情報
誌名 「新潮」  別表記表紙 「今年102年目の文芸誌」「THE SHINCHO MONTHLY」併記
巻号 第103巻 第1号  別表記新年号/1212号
印刷/発行年月日 発行 平成18年/2006年1月1日
発行者等 編集兼発行者 矢野 優 印刷者 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社(東京都)
発行所 株式会社新潮社(東京都)
総ページ数 452 表記上の枚数 表紙 80枚 基本の文字組
(1ページ当り)
27字
×25行
×2段
本文ページ 74~101
(計28頁)
測定枚数 87
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書誌
>>平成19年/2007年3月・新潮社刊『大きな熊が来る前に、おやすみ。』所収
>>平成22年/2010年3月・新潮社/新潮文庫『大きな熊が来る前に、おやすみ。』所収
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芥川賞 芥川賞 135回候補 一覧へ
候補者 島本理生 女23歳
選考委員 評価 行数 評言
高樹のぶ子
女60歳
21 「父親の暴力がトラウマとなった娘の恋愛に影響を及ぼすのは、図式的な気がしないでもない。若さが甘やかに匂う文体だが、裏を返せば幼い。ただこの作品を読んで、感じることは多々あった。昨今の若い男女が同棲するとき、性的モチベーションはさほど大きくないらしい。」
宮本輝
男59歳
0  
黒井千次
男74歳
6 「幼児体験が現在の男の上に投影する様を女の側から描こうとするが、このパターンを越えたもう一歩先を見せて欲しい。」
石原慎太郎
男73歳
8 「他の選考委員がかなりの高点をつけた」「作品としての構図がいかにも浅く平凡でしかない。」
山田詠美
女47歳
0  
池澤夏樹
男61歳
7 「今っぽいテーマをぜんぶ盛り込んで、それだけで終わっている。その先なのだ、こちらが読みたいのは。」
村上龍
男54歳
0  
河野多恵子
女80歳
5 「△をつけた。よい感性の人なのに、迂闊な言葉の使い方に出会うことがあるのが惜しまれる。」
選評出典:『文藝春秋』平成18年/2006年9月号
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まわたそう じゅうにん
真綿荘の 住人たち』(平成22年/2010年2月・文藝春秋刊)
書誌
>>平成25年/2013年1月・文藝春秋/文春文庫『真綿荘の住人たち』
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大衆選考会 143回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
ゆゆ 平成22年/2010年6月22日 (なし)
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直木賞 第145回候補  一覧へ
『アンダスタンド・メイビー』(上)(下)(平成22年/2010年12月・中央公論新社刊)
媒体・作品情報
印刷/発行年月日 (上)(下)発行 平成22年/2010年12月10日(初版)
発行者等 発行者 浅海 保 印刷 三晃印刷 製本 小泉製本
発行所 中央公論新社(東京都) 形態 四六判 上製
装幀/装画等 (上)(下)装画 小林直未 装幀 多田和博
総ページ数 (上)367 (下)333 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
43字
×18行
×1段
本文ページ (上)3~367 (下)3~332
(計695頁)
測定枚数 1223
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書誌
>>書下ろし
>>平成26年/2014年1月・中央公論新社/中公文庫『アンダスタンド・メイビー』(上)(下)
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候補者 島本理生 女28歳
選考委員 評価 行数 評言
伊集院静
男61歳
21 「候補作の中でもっとも好きな作品だった。読んでいて、センスの良い小説だと感心した。このセンスが才気としたら、“タレント”より“ギフト”ではないかと思った。小説家の大切な資質だ。北関東の小都市の街の風土、湿っぽさ、人の肌合い。そこで苦悩する一人の少女が女性へと変わる姿が島本さんにしか生み出せない世界で描かれている。」「私は本作品を推したが受賞におよばなかった。」
桐野夏生
女59歳
20 「もしかすると、この作品を冗漫だと感じる方も多いかもしれない。トーンが一定していない、と不満に思う人もいるだろう。だが、青春というものはこういう姿をしているのではなかったか、と何度も思った。」「おそらく、大勢の若い女性がこの物語によって救われることだろう。よい小説を読んだ。」
宮城谷昌光
男66歳
21 「やや冗長である。すっきりした輪郭をみせてくれれば、質は上昇したであろうに、小説の体形が良くない。」「ただし氏にはユーモアがあり、そのユーモアは対象との知的な距離のとりかたを示唆している。それをもっと活かすべきである。氏にたいして少々わかりにくいことをいえば、小説のなかに傾斜を作ることを考えてもらいたい。その上に人と物を載せれば、押さなくても、すべっていってくれるのである。」
北方謙三
男63歳
35 「トラウマの中に、人間の存在に対するひたむきな問いかけがあり、それが観念ではなく描写という段階の表現に達しているところに、この作家の非凡さを感じた。」「ただ主人公の自殺未遂のあとの病院の描写や、宗教についての書きようなど、どこか安直さがあった。」「これを直木賞としてどう評価するかについては、私は最後まで迷った。」「私は迷った末、『下町ロケット』と『アンダスタンド・メイビー』に丸をつけて臨んだ。」
阿刀田高
男76歳
21 「若い作家だが、筆致にも技巧にも小説家らしさが漲っていて、そこに不足はない。ただ楽しめる小説かどうかと問えば(楽しみの種類はいろいろあるにせよ)評価はむつかしい。」「結局“受賞作は一作としたい”という(つねには守られていない)願いが私の心を強く占めた。」
渡辺淳一
男77歳
24 「高校を中退して通信教育を受け、写真家のアシスタントになる過程が比較的テンポよく書かれているが、そこから今一歩、踏み込んだ青春の苦渋や迷いにまでは達していない。」「「窓辺の席で頬杖をついて左右に揺れながら、うっすらと目を細めると、かすかな眠気と空腹が立ち上がってきた」とは、なんたる駄文。かつてこんな文章を平気で書く作家もいなかったが、また、これを平然とのせる編集者もいなかった。」
林真理子
女57歳
20 「私はどうしても評価出来なかった。」「幼女の性的虐待、レイプ、新興宗教と、小道具が次から次へと出てくる。主人公のキャラクターを設定するのに、これほどたくさんのものが必要であったろうか。愚かさや不幸にこれだけの理由がいるのか、おおいに疑問で、物語世界に入っていけなかった。」
浅田次郎
男59歳
16 「作品としての完成度には疑問を抱いたが、この作者のうちには「小説とはこういうもの」という法律があるようで、その無意識の心構えが、たとえば礼節を弁えた良家の子女のような居ずまいたたずまいのよさを感じさせた。」「おそらく受賞は力に変わると信じて推奨した。」
宮部みゆき
女50歳
40 「真摯に丁寧に描かれているからこそ、ヒロイン・黒江たどる道筋は、創作というより、現実の酷い事象の物語化に留まってしまった感がありました」「この作品で図抜けて凄い創作は、むしろ黒江のお母さんの人間像の方ではないでしょうか。」「主人公の選択を誤ったのではないかという残念な思いが残りました。」
選評出典:『オール讀物』平成23年/2011年9月号
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大衆選考会 145回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
廣嶋広志 平成23年/2011年6月17日 ブラウザから直で書きこむのは無理だと判断したのでエディタで書きます。初回も、推薦文書き込みに失敗しました。
リロードしたら再投票みたいなことになってしまって申し訳ありません。
ついでというか、結果としては偶発的な推薦文になってしまいますけれど、島本理生さんの「アンダスタンド・メイビー」を推したのは、現在が書かれていて、実用的だからです。読書を、一部の趣味人のものにしないで、現実に還元するには、最良の小説だと思います。
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文量
長篇
章立て
「第一章」~「第四章」
時代設定 場所設定
約10年前  茨城~東京~沖縄~長崎など
登場人物
私(語り手、藤枝黒江、中学三年生~高校を経てカメラマンアシスタント)
浦賀仁(カメラマン)
酒井彌生(黒江の中学時代の同級生)
羽場(フリーター、黒江の友人の先輩)
小田桐綾乃(大学生、元モデル)
母(黒江の母親、研究所勤務)





なつ さいだん
夏の 裁断」(『文學界』平成27年/2015年6月号)
媒体・作品情報
誌名 「文學界」
巻号 第69巻 第6号  別表記6月号
印刷/発行年月日 発行 平成27年/2015年6月1日 発売 平成27年/2015年5月7日
発行者等 編集人 武藤 旬 発行人 吉安 章 印刷人 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社 DTP制作 株式会社ローヤル企画
発行所 株式会社文藝春秋(東京都)
総ページ数 328 表記上の枚数 目次 180枚 基本の文字組
(1ページ当り)
27字
×26行
×2段
本文ページ 96~149
(計54頁)
測定枚数 177
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書誌
>>平成27年/2015年8月・文藝春秋刊『夏の裁断』
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芥川賞 芥川賞 153回候補 一覧へ
候補者 島本理生 女32歳
選考委員 評価 行数 評言
宮本輝
男68歳
18 「島本さんが上手な書き手になったことを示す作品である。それだけにかえって内容の幼稚さがあらわになってしまって、私はまったく評価できなかった。」「もっといい小説が書ける人なのに、幼いころのトラウマをひきずる女性の心の奥底にまで踏み込んで行かない。」
川上弘美
女57歳
17 「人間の「へん」を描いていることにかんしては、六作の中で抜きん出ていました。ただ、私には主人公の「あくまで受け身。受け身を解くのはコーチから指示が出た時」という姿勢が、首肯できなかったのです。」
山田詠美
女56歳
20 「主人公の若い女性作家と〈瞳の奥に妙な影を映し〉て〈女好きする笑みを浮かべ〉た男性編集者の出会い、そして、そのやり取り……これが私にとっては、まるで、ホラーかSFか島耕作か……と呆気にとられる代物なのだ。」「気恥しい台詞が満載。ちりばめられた比喩も大仰。」
小川洋子
女53歳
9 「語り手は、隣の老婦人、西藪さんが隠し持ついやらしさを鮮やかにあぶり出す。なのになぜ、自分自身に対してはこれほど盲目的なのだろう。」
高樹のぶ子
女69歳
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堀江敏幸
男51歳
14 「若い女性作家と得体の知れないところのある編集者との、被害者加害者の境界が曖昧な関係に一種の種明かしがなされたあとでも、胆汁質の言葉の痕がはっきり残される。この得がたい成分を油に使えば、ギアはもっと大きな回転軸を持ちうると思う。」
村上龍
男63歳
24 「わたしは、この作者は、以前にはなかった重要な何かを獲得しているのかも知れないと思った。言葉にすると陳腐になってしまうが、それは「退廃の萌芽」のようなものだ。」「『夏の裁断』には、その(引用者注:魅惑的で危うい退廃の)萌芽のようなものがあり、わたしは静かな興奮を味わうことができた。」
島田雅彦
男54歳
11 「登場人物の薄気味悪さを際立たせる筆は立っているが、自己批評を徹底するべきところをカウンセラーに任せてしまうのはどうかと思う。」
奥泉光
男59歳
12 「出版業界の狭い世界を前提にしすぎている点を含め、自分には理解が難しかった。とはいえ、本作の「私小説」的な叙述ぶりには、伝統の後押しもあって、ある種の迫力を覚えたが、積極的に推すまでには至らなかった。」
選評出典:『文藝春秋』平成27年/2015年9月号
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