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第60回
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Last Update[H26]2014/12/10

阪田寛夫
Sakata Hiroo
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生没年月日【注】 大正14年/1925年10月18日~平成17年/2005年3月22日
経歴 大阪府大阪市生まれ。東京大学文学部国史学科卒。在学中に、三浦朱門たちと第十五次『新思潮』を興す。卒業後、大阪朝日放送入社。昭和37年/1962年退社後、文筆業に。詩、小説、放送脚本、童謡、絵本などを手掛ける。「土の器」で芥川賞受賞。娘は元宝塚スターの大浦みずき。
受賞歴・候補歴
  • |候補| 第56回芥川賞(昭和41年/1966年下期)「音楽入門」
  • 久保田万太郎賞(昭和43年/1968年)ラジオドラマ「花子の旅行」
  • |候補| 第60回直木賞(昭和43年/1968年下期)『わが町』
  • |候補| 第62回直木賞(昭和44年/1969年下期)「日本の童謡」
  • 日本童謡賞(昭和48年/1973年)「うたえバンバン」
  • 第72回芥川賞(昭和49年/1974年下期)「土の器」
  • |候補| 第16回日本児童文学者協会賞(昭和51年/1976年)『サッちゃん』《詩集》
  • 赤い鳥文学賞[特別賞](昭和51年/1976年)
  • 第1回赤い靴児童文化大賞(昭和53年/1978年)『夕方のにおい』《詩集》
  • 第18回野間児童文芸賞(昭和55年/1980年)『トラジイちゃんの冒険』
  • |候補| 第10回川端康成文学賞(昭和58年/1983年)「遠近法」
  • 第38回毎日出版文化賞(昭和59年/1984年)『わが小林一三――清く正しく美しく』
  • 第7回絵本にっぽん大賞(昭和59年/1984年)『ちさとじいたん』
  • |候補| 第22回谷崎潤一郎賞(昭和61年/1986年)『まどさん』
  • 第9回巌谷小波文芸賞(昭和61年/1986年)
  • |候補| 第15回平林たい子文学賞[小説部門](昭和62年/1987年)『戦友』
  • 第14回川端康成文学賞(昭和62年/1987年)「海道東征」
  • 第45回日本藝術院賞[+恩賜賞][文芸](昭和63年/1988年度)"作家としての業績"
  • 第20回赤い鳥文学賞[特別賞](平成1年/1989年)『まどさんのうた』
  • 第40回産経児童出版文化賞[美術賞](平成4年/1992年)『まどさんとさかたさんのことばあそび』(共著)
  • 勲三等瑞宝章(平成7年/1995年)
  • 第32回モービル児童文化賞(平成9年/1997年)
備考
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おんがくにゅうもん
音楽入門」(『文學界』昭和41年/1966年7月号)
媒体・作品情報
誌名 「文學界」  別表記表紙 「文藝春秋編集」併記
巻号 第20巻 第7号  別表記7月号
印刷/発行年月日 印刷 昭和41年/1966年6月20日 発行 昭和41年/1966年7月1日
発行者等 編集兼発行人 杉村友一 印刷人 高橋武夫 印刷所 大日本印刷株式会社
発行所 文藝春秋新社(東京都)
総ページ数 230 表記上の枚数 目次 60枚 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×24行
×2段
本文ページ 130~149
(計20頁)
測定枚数 59
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書誌
>>昭和44年/1969年☆月・三一書房/現代作家シリーズ『我等のブルース』所収
>>昭和48年/1973年2月・教文館刊『現代日本キリスト教文学全集2 日本への土着』所収
>>昭和50年/1975年3月・文藝春秋刊『土の器』所収
>>昭和59年/1984年1月・文藝春秋/文春文庫『土の器』所収
>>昭和62年/1987年10月・埼玉福祉会/大活字本シリーズ『土の器』所収
>>平成19年/2007年3月・講談社/講談社文芸文庫『うるわしきあさも―阪田寛夫短篇集』所収
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芥川賞 芥川賞 56回候補 一覧へ
候補者 阪田寛夫 男41歳
選考委員 評価 行数 評言
三島由紀夫
男42歳
8 「いい作品だった。」「巧みな構成であり、古風なハイカラな銅版画的な味のある作品だ。」
瀧井孝作
男72歳
0  
井上靖
男59歳
5 「面白く読んだ。」「音楽好きの一家の音楽始末書とでもいったものを軽く諷刺的に描いた作品だが、なかなか気の利いたしゃれたものである。私はこの作品を一位に推した」
石川達三
男61歳
0  
丹羽文雄
男62歳
3 「好意のもてるものだったが、授賞となるとすこし軽いと思った。」
石川淳
男67歳
0  
永井龍男
男62歳
4 「残った六篇のうち、まず「音楽入門」と「健やかな日常」が落ちた。」「才能ある作品だったが、ここには筆を略させていただく。」
大岡昇平
男57歳
2 「最後まで残った。」
川端康成
男67歳
0  
中村光夫
男55歳
3 「野心作ですが、人物を劇画化しすぎているために、かえって独り合点に陥っています。」
舟橋聖一
男62歳
2 「(引用者注:授賞作につづくものとして)あげて置きたい。」
選評出典:『芥川賞全集 第七巻』昭和57年/1982年8月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和42年/1967年3月号)
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直木賞 第60回候補  一覧へ

まち
『わが 町』(昭和43年/1968年9月・晶文社刊)
媒体・作品情報
印刷/発行年月日 印刷 昭和43年/1968年9月25日 発行 昭和43年/1968年9月30日
発行者等 発行者 中村勝哉   中央精版印刷・美行製本
発行所 株式会社晶文社(東京都) 形態 四六判 並製
装幀/装画等 カバーデザイン 灘本唯人
総ページ数 216 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
44字
×17行
×1段
本文ページ 8~216
(計209頁)
測定枚数 340
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書誌
>>初出『放送朝日』昭和40年/1965年4月~連載+『第十五次新思潮』7号「平城山」を改稿
>>昭和50年/1975年3月・晶文社刊『わが町』
>>昭和55年/1980年7月・講談社/講談社文庫『わが町』
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候補者 阪田寛夫 男43歳
選考委員 評価 行数 評言
川口松太郎
男69歳
6 「文体も素直で、好意の持てる作品だが、小説的構成が薄弱で読後のあと味はよくとも強い感動は得られない。」
石坂洋次郎
男68歳
0  
源氏鶏太
男56歳
8 「何れも気持のいい話である。が、この小説(?)の場合、誰からも反駁を受けぬということがひとつの欠点になっているようだ。」
今日出海
男65歳
0  
中山義秀
男68歳
7 「一通り年功が感じられた」「痛快な筆触で面白く通読できたが、内容も軽快すぎて何やら物足りない。」
大佛次郎
男71歳
19 「私には面白かった。」「現代風で明るく微笑を誘うエスプリを持っている。」「淡々と描いてあるが、こうまとまったのを読むと小説の肉体を持ったものと考えてよかった。」「小説に書かなかったところに、逆しまに素直に小説の効果を出したのである。直木賞にしてよいと私は思った。」
海音寺潮五郎
男67歳
5 「やわらかい詩情と、都会人的感覚と、詩情にみちた文章とに感心した。これもいつもの場合だったら当選したろう。」
村上元三
男58歳
5 「小説としてよりも、エッセイとして捨てがたい味があった。だが、この作者が真向から小説に取り組んだ作品を期待する。」
柴田錬三郎
男51歳
4 「面白かった。しかし、これは、小説の面白さではないところに、損があった。」
松本清張
男59歳
0  
水上勉
男49歳
27 「もし二人授賞というようなことがあれば、私は(引用者注:陳舜臣と)阪田さんの「わが町」だと思った。」「いい小説だと思う。わかりやすい、清潔な文章だし、これは正しく作者の心田の処産である。」「私はとにかく感心した。」
選評出典:『オール讀物』昭和44年/1969年4月号
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文量
連作短篇集〔15篇〕
登場人物
私(語り手)
宝塚
章立て
なし
時代設定 場所設定
昭和10年前後  大阪~兵庫県仁川
登場人物
イトー君(私[小学五年生]の同級生、宝塚ファン)
コマチ君(私の同級生)
上福島
章立て
なし
時代設定 場所設定
昭和初期  大阪上福岡
登場人物
三郎(私[小学生~中学生]の叔父、私の父の店に勤務)
帝塚山
章立て
なし
時代設定 場所設定
昭和初期  大阪帝塚山
登場人物
カメダ(私[小学生]の担任教員)
コマチ君(私の同級生)
阪南町
章立て
なし
時代設定 場所設定
昭和10年代  大阪阪南町
登場人物
田辺桂子(幼稚園の先生、私[中学生]の片恋の相手)
ゼンバ(大学生)
瓢箪山
章立て
なし
時代設定 場所設定
昭和初期  大阪瓢箪山
登場人物
波並新子(「大地を信ずる村」住民、30代の独身女性、私[小学生]の家と家族ぐるみの付き合い)
河内
章立て
なし
時代設定 場所設定
昭和初期~終戦後  大阪
登場人物
ばあや(私[幼児~小学生]の家の住み込み女中、河内出身)
天王寺
章立て
なし
時代設定 場所設定
明治後期~終戦後  大阪
登場人物
九老人(天王寺の庚申堂わきに住む老人、元・人絹工場経営)
上町
章立て
なし
時代設定 場所設定
昭和18年~終戦後  高知~大阪上町
登場人物
シモン(私[高校生]の同級生)
織田作之助(大阪の作家)
アベノ
章立て
なし
時代設定 場所設定
太平洋戦争中~戦後  大阪~中国大陸
釜ヶ崎
章立て
なし
時代設定 場所設定
昭和20年代~[同時代]  大阪釜ヶ崎
登場人物
フレッド・カプチノ(アメリカ人、学生クリスチャン奉仕隊員)
加古川
章立て
なし
時代設定 場所設定
昭和20年代後半  兵庫県加古川~大阪
登場人物
宗近(私[民間放送会社社員]の同僚、加古川出身)
キナサ(加古地方の伝説の英雄)
平城山
章立て
「1」~「3」
時代設定 場所設定
[昭和20年代後半]  大阪~奈良
登場人物
僕(私の書いた小説の主人公、阪田、ラジオ会社助手)
本荘(僕より年下のプロデューサー)
新川
章立て
なし
時代設定 場所設定
明治末期~昭和34年  神戸新川~大阪など
登場人物
賀川豊彦(貧民窟伝道者、組合運動の指導者)
臨南寺
章立て
なし
時代設定 場所設定
[昭和30年代]  大阪
登場人物
お婆さん(犬猫の墓の管理人、寺の坊主の内縁の妻)
奈良学園町
章立て
なし
時代設定 場所設定
[昭和30年代]  奈良
登場人物
父(私の父親、会社社長、キリスト信者)
母(私の母親)




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にほん どうよう
日本の 童謡」(『別冊文藝春秋』110号[昭和44年/1969年12月])
媒体・作品情報
誌名 「別冊文藝春秋」  別表記背・表紙 「別册文藝春秋」 目次・奥付 「別冊文藝春秋」 裏表紙 「別冊 文藝春秋」
巻号 第110号  別表記新春特大号
作品名 別表記 本文 ルビ有り「にほん」「どうよう」
印刷/発行年月日 発行 昭和44年/1969年12月5日
発行者等 編集兼発行人 印南 寛 印刷人 澤村嘉一 印刷所 凸版印刷株式会社
発行所 株式会社文藝春秋(東京都)
総ページ数 360 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×25行
×2段
本文ページ 276~292
(計17頁)
測定枚数 53
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書誌
>>昭和61年/1986年11月・文藝春秋刊『戦友』所収
>>平成19年/2007年3月・講談社/講談社文芸文庫『うるわしきあさも―阪田寛夫短篇集』所収
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候補者 阪田寛夫 男44歳
選考委員 評価 行数 評言
大佛次郎
男72歳
0  
石坂洋次郎
男69歳
2  
川口松太郎
男70歳
0  
村上元三
男59歳
4 「前作の「わが町」と同様、捨て難いよさはあるが、所詮これは直木賞の作品ではない。」
海音寺潮五郎
男68歳
8 「冴えているという点では、これが一番だと思ったが、何せ短かすぎるので損であった。」
柴田錬三郎
男52歳
0  
今日出海
男66歳
8 「心憎いばかりに巧みであり、皮肉な批評眼も鋭いものがある。」「だからといって作品に重量感が乏しく、且つ薄手にさえ見えたのは惜しまれる。」
水上勉
男50歳
8 「阪田氏の才能は、(引用者中略)独特で、今回は「わが町」とちがった好短篇だ。だが器用につくりあげているところが気になるのだった。」
源氏鶏太
男57歳
5 「うまい作品であり、最後に主人公の戦時中のことをあばく効果も活きているが、小品というところでとどまっている。」
司馬遼太郎
男46歳
0  
松本清張
男60歳
0  
選評出典:『オール讀物』昭和45年/1970年4月号
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文量
短篇
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  東京
登場人物
おれ(語り手、放送局幼児番組班)
耳鳴黎吉(ベテラン童謡詩人)





つち うつわ
土の 器」(『文學界』昭和49年/1974年10月号)
媒体・作品情報
誌名 「文學界」
巻号 第28巻 第10号  別表記10月号
印刷/発行年月日 発行 昭和49年/1974年10月1日
発行者等 編集兼発行人 西永達夫 印刷人 北島義俊 印刷所 大日本印刷株式会社
発行所 株式会社文藝春秋(東京都)
総ページ数 256 表記上の枚数 基本の文字組
(1ページ当り)
26字
×24行
×2段
本文ページ 56~96
(計41頁)
測定枚数 122
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書誌
>>『文藝春秋』昭和50年/1975年3月号
>>昭和50年/1975年3月・文藝春秋刊『土の器』所収
>>昭和57年/1982年11月・文藝春秋刊『芥川賞全集 第10巻』所収
>>昭和59年/1984年1月・文藝春秋/文春文庫『土の器』所収
>>昭和62年/1987年10月・埼玉福祉会/大活字本シリーズ『土の器』所収
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芥川賞 芥川賞 72受賞 一覧へ
候補者 阪田寛夫 男49歳
選考委員 評価 行数 評言
丹羽文雄
男70歳
10 「新人らしからぬ作品である。端正に出来上っている。」「「あの夕陽」はまちがっても直木賞にはなれないが、「土の器」は直木賞にも通用する。小説が上手すぎるのだろう。器用すぎる。吉行君が、この人は芥川賞にも直木賞にも通用するということに無神経になって書いていると評した。」
吉行淳之介
男50歳
13 「私は阪田・日野両氏の作品が他作品を数歩離しているとみていた」「瀧井さんが「ぬるい」とおっしゃったが、これはおもしろい表現の鋭い批評である。」「今度のものは、その「ぬるさ」がふんわりした品格のある良さになってきた、とおもった。芥川賞と直木賞の候補にときどきなって、最後に芥川賞を受賞した例は珍しいのではなかろうか。」
大岡昇平
男65歳
0  
井上靖
男67歳
9 「作家としてのでき上がっている眼が感じられる点で目立っていた。」「この小説の面白さは、作者の観察の正確さから出て来るもので、そういう意味では大人の小説である。」
永井龍男
男70歳
7 「今回ははっきり「土の器」と「あの夕陽」に絞られるのではないかと予想した。」「この作があって救われた。主人公への作者の愛情が、それを囲んだ一族の人物を描出するのに過不足なく役立ち、一老女の終焉がやわらか味のある物語として伝わってくる。」「一作ならば「土の器」を選ぶつもりであった。」
瀧井孝作
男80歳
8 「読みごたえのある力作と見た。私はひきこまれて読んだが、わかりやすい文章は結構だが、しかし、一般向きで弱く平凡で、私は、この作家の目に、もっときびしさが見えてきて、もっと実感が出たら尚好きだが、この作家が自分の文体を確立したら、私は申分がないと思った。」
中村光夫
男63歳
5 「ある特異な精神力を持つ老母の死という刺戟の強い題材を、過不足ない筆致で最後まで破綻なく描ききった中篇で、「あの夕陽」と正反対の作風であることが、或る安定感をあたえ、二作授賞は妥当と思われます。」
舟橋聖一
男70歳
11 「きめこまかく丹念に書きこまれていて量感もある。」「ガンによる臨終は概ね長い。作者の作意ではなく、ありのままの写実である。ただ齢に不足のない老母の死は、所詮随筆的であって、ほんとうにロマネスクなのは、愛人との生と死の葛藤であろう。」
安岡章太郎
男54歳
16 「二作(引用者注:「土の器」と「あの夕陽」)が最も優れていると思った。」「私の最も感銘し、かつ同感したのは、「怪我の話とか、大手術中に麻酔がきれて構わず讃美歌をうたった話とか、肉体の痛みを素材にした話」が、じつに「泥絵風の呪力ではなくて、逆に痛みだけが抽き出されて物質化されてくるという感じ」に、主人公が聞いていていい気持になるというあたりだ。」
選評出典:『芥川賞全集 第十巻』昭和57年/1982年11月・文藝春秋刊 再録(初出:『文藝春秋』昭和50年/1975年3月号)
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